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第二〇羽 友人への手紙編

 タンチョウは離れていくキセキレイに追いついた。



「何してたんだ?」


「べつに、なにも。職員室に用事があったけどタンチョウの仕事を邪魔しちゃマズいと思って引き返しただけ」


「なら、今なら行ける」


「もういいよ。引き返しちゃってるし」


「本当か?」



「本当だよ。なに、なんかあるの?」


「なにもない。引き留めて悪かったな。すまん」



 謝るタンチョウにキセキレイは無言で答えた。


 それでもどちらからともなく離れようとしない。二人の間の沈黙を破ったのは2時限目が始まる鐘だった。



「鐘が鳴った。吉岡の監視をしてたんだ。奴が机から離れる時間とタイミングを知るためにな」



 タンチョウは苦笑いをしてそっぽを向いて目を合わせようとしないキセキレイに言った。彼女はそれにも返事をしない。



「キセキレイは隠れるのが下手だな」



 ようやく離れようとしたタンチョウが別れ際にキセキレイに言った。すると彼女はびくりと体を震わせてキッと鋭く強い目で彼を見据えた。



「私は、心配してるんだよ」


「誰を?」


「誰をって、タンチョウを心配してるに決まってるじゃん!」


「どうして心配するのさ?」


「だって、今回の依頼は、タンチョウが鳥の巣に初めて関わった件に似てるから」


「そうだな、似てるかもしれない。俺は、冷静さを欠いてるか?」


「ううん、そうは見えない。でも他に何かありそうだから」


「大丈夫だ、心配するな」



 キセキレイの肩に安心させるように優しく手を置くと教室へ戻って行った。



≪どうやら小池さんの喧嘩は事実らしい。あと衝撃の報告もある≫


≪なんだ?≫


≪小池さんの転校が決まっている。夏休み明けには県外の高校に通うみたいだ。離れる前に心残りは解消しておきたいんだろう≫


≪没収された手紙の保管場所は分かったの?≫


≪肉眼では確認していない。出来た時が奪う時だろう≫


≪仕方がないね。職員室の机を勝手に開けるのは出来ないから≫


≪潜入は放課後に行う。吉岡の机に狙いを定めて潜入する。そこにあればそれで終わりだ≫



 2時限目を終えるとタンチョウは前回の休み時間と同様に吉岡の監視をしていた。次の時間割では吉岡は2年生の教室で授業を行うはずだ。


 机の上を引っ掻き回して吉岡はその数学の授業の準備をしている。

 ちらほらと他の教員と話す事もあった。それでもやはり手紙の所在を確認するには至らなかった。


 職員室の机にはそれぞれ鍵穴が付いている。鍵を操る素振りも見せない吉岡は立ち上がって一度、伸びをすると授業に必要な諸々の物を持って職員室を出て行った。


 タンチョウは人の少なくなっていく職員室を見て好機と感じたが実行する決心がなかなかつかなかった。


 かける時間は短い方がいい。ピッキングの道具もポケットに忍ばせている。抜かりはないように思えた。


 昼休みには職員室は人が多くなる。教員が勢ぞろいしているかもしれないし部の顧問に午後から始まる部活動の内容を尋ねに来る者もいるだろう。


 授業の合間にある10分の休み時間のうちにやってしまいたいのが本音だった。

 3時限目が始まる鐘が響いた。職員室前で考えていたタンチョウの背後を吉岡が通っていく。


 タンチョウは次の休み時間に職員室に潜入する事に決めた。


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