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第一九羽 友人への手紙編

 タンチョウの1時限目はこうして憂鬱に始まった。



≪小池さんが教室にいなかった≫


≪休んでいるようだ≫


≪どうやって鳥の巣へ投稿したのかな?≫


≪朝早くに来たんだろう。裏庭に行って足跡を確認した。小さな足跡があったよ。あれが小池さんのものなら朝に来ていたはずだ≫


≪そうか。来ていて帰ったのならそうとうなショックだったんだろうな≫


≪うん、どんな喧嘩をしたのかな?≫


≪分からない。機会があったら調べてみよう。

でも、やっぱり謝意や思いを伝えるのなら口で言った方が伝わるはずだ。

コンタクトは手紙で、伝えるのは口で、直接の方がいいだろう。俺たちには立派な口と言葉があるんだから≫


≪そうね、手もあるし、瞳もある。どんな方法でも伝えられるわ≫


≪キセキレイ、どうしたの? いつもオオルリの寒い言い回しに反応するのに≫


≪見てるよー≫


≪寒くないだろう。自然と出るんだ≫


≪ゲームしてるんでしょ?≫


≪ううん、そんな気分じゃないから≫


≪落ち込んでるの?≫


≪ううん、ありがとうコマドリちゃん≫


≪小池さんが学校にいないとなると取り返した手紙はどうやって本人に渡せばいいのかしら?≫


≪そうだな、考えておこう。最悪、彼女の家の郵便ポストに入れておく事までしないといけないかもしれない≫


≪どうしてそこまでしなくちゃいけないの?≫


≪もし、喧嘩が原因でメッセージもブロックや着信拒否をされている場合には仲直りも出来ていないだろう。だから登校したくないんだ。そして手紙が渡せないのなら仲直りも期待できない≫


≪なら小池さんの住所も調べておこう≫



 1時限目を終えてタンチョウは手紙の保管場所を調べる事にした。


 彼はほとんど職員室の吉岡の机にあるだろうと考えていたがそれを確実な物にしたかった。だが、吉岡の机を調べるわけにはいかない。その手紙を肉眼で確認する時は吉岡から奪う時だった。


 そんな彼がまずとった行動は吉岡を追跡する事だった。


 職員室に入るのは決行の時しかない。どんな時に吉岡が机から離れるのか、席を立って何をする傾向にあるのかなど吉岡を丸裸にしようとしていた。


 吉岡に関する全てを成功へ導く鍵にしなければならなかった。


 職員室の扉の傍に立つタンチョウの視界の隅に映る見覚えのある影があった。


 キセキレイだった。

 彼女はタンチョウから隠れているつもりのようだったが彼女のショートボブの髪が出ている。チラチラと覗いてはタンチョウの動きを確認していたが、下手な仕草で仇となった。


 タンチョウにそれを見分けられないはずもなく声をかけようか迷いながらも吉岡の監視を続けていた。


 時間は過ぎていく。異様な三角関係は均衡を保っていて誰も動こうとしていなかった。


 吉岡が机から離れようとしないのでしびれを切らしたタンチョウはスマホで次の授業表を調べると吉岡の授業は入っていない事が分かった。


 タンチョウは職員室から離れる前に吉岡の方を一瞥した。机の中を調べる素振りを見せてくれる事を望んでいたがそれすらもなくただパソコンの作業を続けているだけだった。


 職員室から離れたタンチョウはキセキレイが隠れている廊下の端に向かった。


 彼女は近づいて来るタンチョウに気が付いて早くからその場から離れていた。それでも分かり切った事だがタンチョウの方が足が速い。


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