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第一一羽 蔵書編

 庶務の2人が職員室を警戒する理由はタンチョウはすぐに察しがついた。


タンチョウが狙う鍵を警戒しているのだ。


 職員室に保管される鍵はこの学校の特別教室やその他の空いている教室が多い。そこに良からぬ者が入って何かを企てるのを防ごうという魂胆だろう。


 タンチョウはこのようにして結論付けた。そうするとやはり鍵を入手するのは簡単ではない事が分かった。


 そして同時に生徒会が天野先生が見たという生徒の影が誰なのかを把握していない事も分かってタンチョウは安心した。分かっていないからこそこうした要所を守っているのだ。


 それでもタンチョウは警戒を緩める事はしなかった。


 昼休みが終わった事を報せる鐘が響いた。校内の全員が耳にするであろう高らかな鐘の音だった。



≪職員室の出入り口で庶務が見張りに立っている≫


≪見た。それでも実行に支障はない。出来るさ≫


≪ヤマセミ、俺は不安でしかない。お前の言う計画は穴があるように思えてならない≫


≪くどいな。大丈夫だって言っているだろう。作戦の実行には時には大胆さも必要だ≫


≪タンチョウの方はどうなんだ?≫


≪ああ、図書室の鍵をどう入手するか悩んでる≫


≪警戒されているんでは容易に入るのは難しいだろうな≫


≪まあ、俺のように完ぺきな計画を立てるんだな。せいぜいがんばれ≫


≪だから、それほど完ぺきではないって≫


≪ピッキングは無理なの?≫


≪アオゲラ、ピッキングは無理だ。前はロッカーのような簡単な物だったから出来たが今回は物が違う。それにピッキングの経験もそれほどない≫


≪じゃあ、どうしようか?≫


≪そもそもさー、放課後じゃないとダメなの? 開いてるうちにやっちゃえば?≫


≪そうもいかない。図書室には常時2人の当番が受付にいる。すべてのパソコンは繋がっているから操作するのはひとつでいいんだがな≫


≪ふーん、まあそっちはタンチョウの請負だからねー。頑張ってね≫


≪キセキレイは協力してくれるのか?≫


≪頼むならね。力になってあげないでもないよ? お願いしてみ?≫


≪止めておく。それほど困ってないからな≫


≪なんだよー、素直じゃないな。可愛くないぞお?≫


≪さて、放課後を待とう≫



 ノートに無数の文字が記されていく。ページをぺらりとめくる音が教室に響くとそれはやがてぱたりと閉じる音へと変わった。


 タンチョウは図書室の鍵を手に入れるために職員室へと向かった。時刻は夕暮れ時、校内の生徒はほとんどが下校していた。


 職員室の出入り口の前にはやはり庶務が立っていた。入室の要件を庶務がタンチョウに尋ねるので簡単に答えると通してくれた。どうやらタンチョウはそれほど警戒されていないらしい。


 入室は簡単でも鍵を手に入れる事は難しい。だが、準備はして来た。返すのはどうとでもなる。まずはここから持ち出さなければならなかった。


 タンチョウは後輩から受け取った体育館倉庫の鍵を棚へ戻した。


その時に図書室の鍵を盗るつもりだったがその図書室の鍵が見当たらなかった。


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