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第一〇〇羽 校長室の木箱編

 大雨の降るある朝、鳥の巣に依頼が投稿されたが不思議な事にぬかるみの中にあったはずの木の周りには足跡ひとつなかった。


 依頼の内容が書かれた紙は茶色い染みがいっぱいだった。封筒も中の染みだらけの紙に合わせたかのように古びていた。


 タンチョウの机にそれが入れられた時、その封筒には松の葉や土がついていて一目で新しく付着したものだと分かった。


 それはいつもと変わりはなかったが手にした瞬間にタンチョウは背筋にひやりと何か冷たい物が走るのを感じた。


 中の紙を読んで依頼を確認するとグループのメンバーに集合をかけた。



≪依頼があった。今回はなんだかちょっと毛並みが違う様に思える。なんだか、背筋が寒くなったと言うか、なんだか上手く言葉に出来ないんだが。そんな感じだ≫


≪ちょっと、意味がよく分からないけれどタンチョウ、どうかしちゃったの?≫


≪いや、本当なんだって。持った時に何とも言えない感じがしたんだよ≫


≪馬鹿らしー≫


≪あたしもタンチョウがいつもとちょっと調子が違うような気がする。それってタンチョウがいつもと違うからだと思うんだよね。つまりタンチョウはいつもと様子が違うんだよ!≫


≪嫌な奴らだ≫


≪あーん、怒らないで。あは、怒っちゃった?≫


≪怒ってない≫


≪まあ、とりあえず投稿された依頼を載せなよー。もしかしたらわたしたちも見た瞬間に背筋が寒くなるかも!≫


≪分かった≫



 タンチョウはその依頼の書かれた染みだらけの紙を写真に撮ると封筒と一緒にアップロードした。



≪何これ? 嫌がらせ?≫


≪染みだらけだねえ、いつの紙かな?≫


≪えー、やるのー?≫



 その紙に書かれた依頼はとても綺麗な、およそ少女らしい濃やかな字だった。



[鳥の巣の神さまへ 校長室の木箱があの人へ届きますように。どうか、お願いです]



 タンチョウはその字を見て依頼主を好きになれると思った。


 書いた人の字を、さらに言うならとったノートを読みたいとさえ思った。引き込まれる何かがあったのである。このような事もまたタンチョウにとって初めての事だった。


 いつもならすぐに調査しようと言うのにタンチョウはなかなか切り出さなかった。


 グループ内にはタンチョウとオオルリ、キセキレイ、カッコウ、アオゲラ、ミソサザイの6名が集まっていた。



≪調査をするんだよね?≫


≪もちろん≫


≪今回の依頼は本当に神頼みって感じの依頼だよねー。わたしたちがする仕事じゃないんじゃない?≫


≪あの人にって事は好きな人かなあ?≫


≪かもねー≫


≪まずはその校長室の木箱がどんなもので、どこに保管してあるのかを調べよう。あとはこの依頼主についてと『あの人』についても出来るだけ調査しようか≫


≪今回は期限がないね。いつでもいいのかな?≫


≪アオゲラはいなかったから仕方がないが前に2つの依頼がブッキングした事がある。だから次の依頼が投稿される前に済ませておきたい。早めに越した事はないだろう≫


≪分かった。早くだね≫


≪餌付けは無しだよ!≫


≪もう、されないよ!≫


≪じゃあ、始めよう。頼んだぞ≫



 そして調査がされる事となった。方針が決まってやり取りを一通り終えた後でもタンチョウは長い間、悪寒に苦しんだ。


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