くらうど・うぉー!
大きな入道雲がそらに浮かぶ。
わたしはその雲に頭が上がらない。あの憎っくき熱シャワーを断ち切ってくれてありがと。
隣で振られるリストバンド。セーラー服は夏服で暑さもだいぶマシになった。機嫌よく彼女は歩く。少し陰ってても、輝いて見える。
後ろで括ったその長い髪をわたしは目で追っている。襟からすくすく伸びた首筋は、思わず水をあげて日記につけたいなんて思う。
雷火はわたしの視線に気づいたのか、振り返ってこう切り出した。
「ねぇ、かんちゃんは雲がなんであるかわかる?」
唐突に科学クイズが始まった。えー、それは、地球上の水が蒸発してそれが固まりになって...あんな風になる?
雷火はあの大きな入道雲を指差して告げる。
「雲はね、隠すためにあるんだよ。」
クイズは科学的な観点じゃなく、なぞなぞのような突拍子もないものだった。
「なに隠すの?」
一応その理由を尋ねた。うまいことでも思いついたのかしら。
「戦争。」
「へ?」
「巨兵。」
遠くの山を指差して言う。
「今日もね、あれだけ大きいから。起きてるよ」
まじか。
「しばらく、続くだろうね 」
わたしはあっけにとられて、いつのまにか立ち止まった彼女を追い越していた。
「あ、待ってよ!」
しばらく無視して先へと進む。これは、雷火からの果たし状。
あの中でなにが繰り広げられているのか、わたしにも靄がかかり始めた。
空想戦が、始まった。