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風の向こう側  作者: shun
1/1

初めての世界

子どもたちの元気な声と、全力で走る靴音が、陸上競技場に

響き渡っていた。

蒼羽(あおば) (しゅん)もまた、走ることに魅了された小学

4年生。

小学生一同:「ありがとうございました!!」

週に1度の陸上クラブの練習が終わった。

隼 :「はぁ~、今日もキツかったな~」

みなみ:「はい、おつかれ」

練習後、競技場入り口の階段に座り込む隼にスポーツドリンクを

渡すのは幼なじみの、「みなみ」だった。

結希みなみ(ゆうきみなみ):隼の幼なじみで、陸上クラブは

みなみの父親が経営するスポーツセンターで行われ、コーチも

してもらっている。

隼 :「サンキュー」

工 :「その割には余裕そうだな」

源工(みなもとたくみ):隼の幼なじみ。直感的走りをする隼に

対して計算されたプレイをする。

隼 :「当たり前だろ?帰って自主練なんだから(笑)」

みなみ:「ダメっ!!お父さんはみんなそれぞれに合った

メニュー考えてるんだから!!」

隼 :「えぇ~もの足りねぇーんだよ」

みなみ:「シュンちゃん速いんだからいいの、ケガしちゃうよ」

工 :「みなみムダだよ…」

みなみ:「もう…」

2人は呆れ返った。

隼 :「さぁ、帰ろうぜ」

3人は自転車で帰路についた。

その途中…

隼 :「遅いぞ~(笑)」

みなみ:「待ってよ~」

隼は下り坂を猛スピードでかけ降りていた。

交差点が目の前に差し掛かろうとしていた。

トラックが飛び出してきた自転車に対してクラクション

とブレーキ音が辺りに響き渡った。

「ガシャーーーン!!!」

みなみ:「きゃあーーー!!!」

隼は目の前が真っ暗になり気を失った。

???:「…ん、…ちゃん、隼ちゃん」

誰かに呼ばれて目を覚ました。

目の前には手を握り、泣きじゃくった顔のみなみがいた。

回りを見ると両親やナースがいる。「病院だ」

そう思った瞬間、体の異変に気付く。

上半身は体中痛みはあるものの、感覚があった。

しかし、下半身は痺れに加え、足先に感覚はなく、足は

なくなったものだと思っていた。

初めてベッドで体を起こした時、自分の体を触りながら現実を

受け入れる。自然と涙がこぼれ、泣きじゃくった。

毎日のようにみなみは小学校の帰りにお見舞いに来てくれた。

隼の母:「みなみちゃん!」

みなみ:「こんにちは!」

隼はみなみだと分かると出入口に背を向ける。

隼の母は身の回りのことを済ますと一旦家に帰るという。

隼の母:「みなみちゃん、なにもしてあげられなくてごめんね」

みなみ:「いえ、ありがとうございます。」

みなみは隼の母が帰ったのを確認すると隼の正面に腰をかける。

2人とも言葉を発しないまま時間が過ぎていく。すると、

突然みなみが、内に秘めていた想いを隼に話始めた。

みなみ:「良かった…隼ちゃんが生きてて」

隼は不思議そうにみなみの顔を見た。

みなみ:「目の前で隼ちゃんが死んじゃったらどうしようか

と思った。初めて好きになった人が死んじゃったらと

思うと私…」

隼はみなみの言葉の意味を一瞬理解できなかった。

隼 :「好きになった人?」

みなみ:「隼ちゃんのこと…」

みなみは初めて隼に想いを伝えた。

隼 :「マジかよ…実は俺もみなみのこと…」

2人は物心ついた頃から両思いだった。

それを聞いたみなみの目には光るものがあった。

病室の窓からの夕陽がみなみを照らし、

隼は障害を負いながらでも自分のことを想ってくれるみなみを

本当に大切にしたいと幼いながらに決意した。

隼 :「俺明日からリハビリ頑張るよ、どこまで回復するか

わからないけど…」

みなみ :「応援する!」

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