分岐その1《さやかが、青箱Aをお勧めしてくれたので》俺は素直に青箱Aを開けた結果、Xが出た。
箱を開けると、『外れ』だった。カードには、『校庭200周』と書いてあった。
「何でだよ!、俺はさやかを信じたのに!酷いじゃないか」
これはけっこう、ショックだった。仲良しの幼なじみへの仕打ちがこれかよ。
さやかは修羅場中の充血した目で俺をちろっと見て
「あははは、ザマーミロ!」
と高笑いをした。
西浦先輩がにっこりして言った。
「あまねとさやかは、本当に仲良しさんだね〜」
さやかと俺は同時に叫んだ。
「どこが!」
「どこがですか?」
「さやかは、本当はあまねのアシストをしようと、ちょっと変則なパスを出したんじゃないかと、僕は思う。
つまりさ、さやかは、あまねがいつも深読みをしようとすると思っていたんだ、だから、あえて間違いの方を教えたんじゃないかな?」
「え?」
俺は、ちょっと嬉しくなった。
俺のために、本当は素直なのに、ツンデレに振る舞う幼なじみの美少女…?
脳内にばら色の光景が瞬時に広がる…。
いつもよりスーパーMaxの美少女に変身したさやかが、俺に優しく微笑みかけて甘く囁く。
『ごめんなさい、本当はね、私…私、チョコを素直にあげたかったの。
あなたはいつもホームズのように一生懸命考えるでしょう?
だからね、私、わざと逆を指差してみたの。私を許してくれる?』
ゆ、許すよ。俺は平気だ。君のためなら校庭を何百周もしてやるさ…。
胸キュン死しそうな俺を妄想から正気に返す、アルトボイスが響く。
「とりあえず、チョコはまた本番の日に渡すね、大野。
このチョコは、あとで美人ナースの伊東さん達と印刷所に行く相談するから持っていくわ。
デパートで買った高級チョコだもん。味の分かる人に食べてもらった方が、チョコも幸せよねー」
あ…そう。そうですよねー。
あれ、でも今、『外れ』を引いた俺にチョコを渡したいって言ったよな?
なーんだ、14日の本番の日にやっぱくれるつもりなんだ。
「大野、手が止まってない?
チョコレートの報酬を約束したからには、きっちり働いてもらうからね!」
何だよ、やっぱさやかって…ツンデレなのかもしれない。
俺は、とにかくさやかの修羅場を助けに来たヒーローなんだもんな。
「…オーケー!任せて」
西浦先輩も、背景とか色々書き足しながら、俺ををねぎらった。
「あまね、頑張ってね、『校庭200周』。
けっこう大変そうだけど、応援してるよ。良い筋肉がつくといいね♪」
……『エンディング』へ続く。