表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

悪役令嬢ってこんな感じ?

悪役令嬢ってこんな感じ?その5

作者: 星野☆明美

「冗談じゃないわ!なんで私がこんなひげ面禿げちゃびんと結婚しなきゃなんないの?!」

パラノ皇女が叫びました。

ネクスト国の王子の見合い用の写真をこっちに放り投げたので、わたくしはそれを拾って、見てみました。・・・確かに。ひげをはやして、禿頭の青年が写っています。目鼻立ちは整っていて気品が感じられるだけに、実になんていうか、惜しい。

「パラノ皇女?お嫌でしたら断られたら?」

「キャシー!この縁談は政略結婚で、断ることはできないのよ!」

パラノ皇女はぐすんぐすん泣きながら取り乱していました。

「変だな?この人、去年はふつーだったんだが」

ケイン皇子がわたくしの背後から写真を覗き込んで言いました。

「わたくしの近くに来ないでくださいまし!」

はっはっは。

わたくしの剣幕に、ケイン皇子は笑って離れました。わざとやっているのが見え見えですわ!

猫が毛を逆立てる気持ちがよくわかります。全く!

「お義兄様は私のことどうなっても良いんでしょ!」

パラノ皇女がケイン皇子に言いました。

言い忘れてましたが、この二人は異母兄妹です。皇室の正当後継者はケイン皇子ですので、パラノ皇女は外交の関係でネクスト国に嫁がされることになりそうでした。

ですけど、あんまりですわ!わたくしも皇室のやり方には言いたいことが山積みですのよ!

「パラノ皇女。わたくしにおまかせください」

「キャシー?」

唯一、わたくしのことをキャサリン、ではなくて愛称のキャシーで呼んでくださる年下のいたいけな皇女。助けて差し上げなくては。


3日後の園遊会にネクスト国のネクスター王子がお目見えしました。

「パラノ皇女は?」

キョロキョロ見渡してネクスター王子が尋ねました。

「パラノ皇女は高熱でふせっておられます」

「貴女は?」

「キャサリンと申します。ケイン皇子のいとこに当たります」

「パラノ皇女ともいとこなんですか?」

「いいえ。ケイン皇子のお母さまがわたくしの父の妹ですの」

「えい、ややこしい」

「ややこしいついでにもっとややこしくして差し上げましょうか?」

「えっ?」

「こちらへおいでになって」

わたくしはひとけのないついたての陰にネクスター王子を誘いました。

「あんな小娘より、わたくしのほうがよくありませんこと?」

「・・・」

わたくしは暑いふりをして胸元を少しはだけました。

ごくり。

唾を飲み込む音がして、明らかにネクスター王子の視線はわたくしの胸元に注がれていました。

「それもそうですね」

ネクスター王子は鼻の下を延ばしてわたくしを見ています。

「「ちょっと待ったあああ!」」

この場に、パラノ皇女とケイン皇子が乱入してきました。

もうちょっとだったのに・・・(なにが?)

「キャサリンは、僕の婚約者だぞ!手を出すからにはそれ相当の覚悟があるんだろうな?!」

美人局(つつもたせ)みたいなノリでケイン皇子がネクスター王子に詰め寄りました。

「パラノ皇女?具合はよろしいのか?」

ネクスター王子はパラノ皇女の方を見て言いました。

「最悪よ!私、あなたみたいな人と結婚なんてしないから!」

「だからこの人を俺にけしかけたんですか?」

ネクスター王子がわたくしを指差して聞きました。

えーと、独断でやってしまいましたから、誰も知りません。

「俺のどこがお嫌いですか?」

「ひげと禿げ!」

直球で言うパラノ皇女。

すると、ネクスター王子がふふん、と鼻で笑い、つけ髭と禿げのカツラをひっぺがしました。

「えええ?」

パラノ皇女がびっくりして叫び、まじまじとネクスター王子を見ました。

わたくしも、まじまじと彼を見ました。なんて良い男なんでしょう!

「できれば外見で選んでほしくなかったんですよ。パラノ皇女?」

「・・・はい」

「あちらで二人きりでお話しましょう」

「はい!」

あーこれは、上手くいくパターン?

苦笑しているわたくしに、ケイン皇子が言いました。

「続き、僕とやる?」

わたくしは無言でケイン皇子の股間を蹴りあげました。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] これ、続かないんですか? [一言] 面白すぎるので続きも書いてほしいです!
2019/05/15 07:44 退会済み
管理
[一言] う、うーん。 勘違いかなと思って、思わず始めから読み返してきました。やっぱり牢に来た彼女ですよね。 パラノ皇女、助けるんだぁ。キャサリン太っ腹というか、懐大きいですよね。 ついでに色気もある…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ