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King of Kings

 格闘技イベント「King of Kings」。通称「KoK」。日本格闘技の頂点に立つこの団体は、夏と冬の年2回、大きな大会を開催する。会場は、さいたまスーパーアリーナ。大人気のこのイベントに集まる観客は3万人を超えるという。


 もちろん、ファイトマネーも国内最高を誇るので、この大会を目指さない格闘家はいないとまで言われる。

 チアキ先輩も、大晦日のこの大会に出るのが夢だと言っていた。


 さいたまスーパーアリーナまでは、みゆきと西野と3人で、電車に乗って行った。西野が以前、コンサートに行ったことがあったので、迷うことはなかった。


 さいたま新都心駅から、会場へ向かう。既に「KoK」のTシャツを着た熱狂的なファンが、街に溢れていた。


「こんなに人が多いの?アーティストのコンサート並みね」

「そうなんですよ。最近の格闘技人気は、すごいんですよ」


 格闘技イベントがはじめての西野は、その熱気に驚き、2回目のみゆきは先輩風を吹かせている。

 そんな中、会場入口の前で、見慣れた一団に遭遇した。前の大会で隣り合わせた、金髪スカジャンさんとお仲間たちだ。


「お、修さんじゃないですか?お疲れ様です」


 金髪スカジャンさんの挨拶をきっかけに、十数人の一団が一斉に挨拶してきた。


「お疲れ様です」


 彼らは、このノリが当たり前なんだろうけど、こっちは慣れていない。ただ、ただ恐縮して、ぺこぺこするばかりだ。


「そっちは、西野の姐さんですね。お疲れ様です」


 西野は姐さんと呼ばれて、固まっている。西野のこんな顔は、滅多に見られるものではない。

 みゆきは、金髪スカジャンさんの前に進み出て、丁寧に挨拶をしていた。何ともみゆきらしい行動だ。


「お三方とも、チケットはお持ちですか?」

「あ、はい。3枚、持ってきてますよ」

「おい、てめえ。お三方を席までご案内しろ。失礼があったら、俺がぶっ殺す」


 俺と同い年くらいの男の子が、声に反応して出てきた。どうやら、チアキ先輩の彼女や弟分はVIP待遇のようだ。

 彼のおかげで、迷うことなく席に着くことができた。その上、3人分のドリンクまで買ってきてくれた。悪い気はしないが、さすがに申し訳ない。


「何だか、申し訳ないなぁ」

「そうですね。やっぱり、みなさんにお菓子を買ってくれば良かったですね」

「チアキさんって、すごいのね。ビックリしたわ」


 感想は三者三様。身に余るもてなしだということだけは一致していた。

 そうこうしているうちにも、着々と会場は埋まっていった。俺たちの周りにも、金髪スカジャンさんをはじめとした、チアキ先輩応援団が陣取って、ノボリを立てるなどの準備をしている。


 今日の試合は、全部で12試合。チアキ先輩の試合は5試合目だ。

 この大会は、テレビ中継がある。ライフ中継ではないから、カットされる試合も多い。逆に中継されることがあれば、知名度は飛躍的に高まる。


 メインステージに大会の主催者が現れて、開会を宣言する。ステージ後ろのスクリーンに大会のテーマである「天下布武」が表示されると、観客のボルテージが一層高まる。


 スクリーンが左右に開いて、選手が順に入場してきた。花道の両側から花火が上がるド派手な演出付きだ。


 チアキ先輩の入場の時は、周りのみんなと一緒になって声援を送った。この大会場では、少数派だけど、こもっている思いは負けていないはずだ。


 次に、チアキ先輩の対戦相手が入ってきた。フランシスコ・シウバ。全身にタトゥーが入っていて、異様な雰囲気を醸し出していた。


 生で見るシウバ選手は、うまく言葉にできないけど、嫌な感じがする。チアキ先輩と交わらせてはいけない。そんな感じがした。

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