恋愛成就大作戦
さて、どうしたものか。恋愛経験に乏しい俺に、恋の仲介役なんてできるはずがない。
でも、チアキ先輩には幸せになってもらいたいと思っている。いつも世話になってる分、少しは恩返ししたいとも思う。
西野については、もう恋愛感情はない。だけど、西野はどうだろう。俺にまだ気があるなんて、偉そうなことを言うつもりはない。ただ、あれだけの女性が、今、彼氏もいないなんてことがあるだろうか。
「という訳なんだよ……」
悩んだ末に、俺はありのままをみゆきに話すことにした。
今、みゆきは、いつものように、俺の向かいに座っている。少し俯いているので、表情は伺えない。
沈黙が重くのしかかってくる。
「修くんの元カノさん……」
「いや、ホントにもう、何とも思ってないよ」
「ホントですか?」
やっぱり、話さない方が良かったかもしれない。
そう思った瞬間、みゆきの口から、笑い声がもれた。
「あはは。ダメですね。やっぱり、我慢できないです」
「あぁ、みゆき。怒ったフリしてたのか?」
「あはは。ごめんなさい。修くん、すごく深刻な顔をしてたから……」
みゆきは、いたずらっぽい笑みを浮かべている。
「チアキ先輩の恋、応援しましょう。チアキ先輩は、いい人なので、幸せになって欲しいです」
「でも、どうしたらいいと思う?」
「うーん……Wデートとかどうでしょう?」
自分で言った言葉の意味を理解して、みゆきは一瞬で耳まで真っ赤になった。
「うん、いいアイデアだよ」
「そ、そうですか?エヘヘ……」
「場所は、どこにしようか?」
「水族館とか、どうですか?」
「なるほど。中に入れば、2人ずつになりやすいし、いいかもしれないね」
俺とみゆきの作戦は、みんなで遊びに行くノリで西野を誘う。そこで、雑談の中で色々と情報を聞きだす。あとは、チアキ先輩と西野が連絡先を交換することができれば、第1段階はクリアだ。
「そ、そういえば、俺たちもまだ連絡先を交換したないよね?」
「あ、そうでしたね。交換しましょう」
チアキ先輩と西野にかこつけて、みゆきと連絡先を交換することに成功した。
「なるほど。いいねぇ、修」
「ありがとうございます」
バイトの休憩時間、チアキ先輩に作戦を伝えた。まずは西野がフリーだということを確認するのが肝心だと力説した。
そうしないと、チアキ先輩が速攻で告白しそうな気がしたのだ。
休憩時間の後、上のフロアにあがる。今日は、オフィスに誰の姿もない。
いつものように、ゴミ箱の中身を回収しているの、机の上のある物に気がついた。
缶コーヒーが2本と、それにメッセージが添えられていた。
「松丸さん、並木くん。昨日は、どうもありがとうございました。休憩時間にでも飲んでください。西野」
西野のメッセージは、チアキ先輩が大事そうに2つ折りにして、ポケットに入れていたのを、俺は見逃さなかった。




