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チアキ先輩の過去

 この日のイベントは、全部で7試合が予定されていた。チアキ先輩の試合は5試合目。セミファイナルの次に注目されているみたいだ。

 チアキ先輩の話だと、対戦相手が若手のホープだから、自然と注目度が高くなるらしい。


 最初の試合は、ルーキー同士の戦いだった。そのせいもあってか、2ラウンド目の途中から、スタミナ切れが目立ち、動きも緩慢になり、退屈な試合になった。場内からは容赦なくブーイングが浴びせられた。

 判定決着になったが、あと味の悪い試合だった。


 2試合目と3試合目は、最終の第3ラウンドでKO決着となった。はじめて知ったのだが、1ラウンドに3回ダウンするとダメなようだ。

 KOシーンは、格闘技初心者の俺やみゆきでも血が騒ぐようで、席から立ち上がって声援を送ってしまった。


「すごい試合だったね」

「はい、プロレスとは迫力が全然、違います」


 こんなに興奮してるみゆきは、はじめて見た。


「次の試合が終わったら、いよいよ、チアキ先輩の試合だね」

「そうですね。何だか、ドキドキしてきました」


 会場の雰囲気にも慣れてきて、少し余裕が出てきて、みゆきと話していたら、いきなり第4試合が終わった。

 一発KOってヤツだ。お互いが近づいていって、一発目で試合が決まったのだ。


「エェッ」

「おぉ!」


 2人とも、あまりの出来事に、ただ驚くばかりだった。

 まだチアキ先輩の試合を見る心の準備が整っていない。


 選手入場の時、その選手の経歴がアナウンスされる。それによると、チアキ先輩は千葉で大きな暴走族の総長だったらしい。しかも、ケンカでは色々と伝説を残しているという。

 俺の知ってるチアキ先輩からは、とても想像できなかった。それだけに、俺もまだ受け止めきれていない。


「修くん、チアキ先輩が入ってきましたよ」

「あ、あぁ、うん」


 唖然とする俺には気づかず、みゆきは大興奮していた。絶対に、格闘技好きの素質がある。


 今までの選手は、キックボクシングとか空手とか紹介されていたけど、チアキ先輩はストリートファイトと言われていた。

 オシャレに横文字で言っているが、断じてケンカはスポーツではない。空手とかキックボクシングと同列に扱ってはいけない気がする。


 それでも、入場曲に乗って入って来たチアキ先輩は、輝いていてカッコ良かった。

 両隣の金髪スカジャンさんもパンチパーマさんも、周りのみなさんも、総立ちで歓声をあげている。


 その興奮は、チアキ先輩のリングインと同時に最高潮に達し、歓声は絶叫へと変わっていった。


 次は対戦相手の入場だ。小学生から始めた空手で日本一になり、その後はエリート街道を歩んで来たらしい。

 入場曲も、チアキ先輩の曲よりも静かな曲だ。チアキ先輩のように野太い声の声援もない。


 顔立ちもイケメンで、アイドルグループにいてもおかしくない。きっと女性ファンが多いんだろう。

 リングインした時の落ち着きぶりが、ただ者じゃないことを物語っている。


「へぇ、カッコいい人ですね」


 みゆきも、カッコいいと感じているようだ。


 チアキ先輩は、ホントにこの相手に勝てるんだろうか。ここに来て、心配する気持ちが大きく膨らんでいた。

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