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チアキ先輩の頼み

 バイトの休憩時間、チアキ先輩がいつもの調子で話しかけてきた。


「おぉ、今日もうまそうな弁当だな」

「はい、メッチャうまいっすよ」

「へいへい。ところで、修。ゴールデンウィークは、何か予定があんのか?」

「いや、まだ決めてないっす」


 ゴールデンウィークは、みゆきとデートしたいと思っている。できれば、そこで告白したい。ただ、そう考えると、なかなか目的地が決められないでいた。


「5月4日のみどりの日なんだけどさ。試合があるんだよ。良かったら、みゆきちゃんと一緒に応援に来ないか?」

「試合なんですか?いいですよ。みゆきにも聞いてみます」

「おぉ。試合が終わったら、控え室に来て、みゆきちゃんを紹介してくれよ」


 チアキ先輩には、まだみゆきを紹介してなかった。写真も撮ってないので、見せようがない。


「試合前は、ダメだぜ」

「わかってますよ。試合前は集中しなきゃいけませんからね」

「そうじゃねぇよ。試合前に、かわい子ちゃんを紹介されたら、試合したくなくなるだろ」


 チアキ先輩は、ふざけて言ってるけど、本当は集中したり、恐怖感と戦ったり、色々と大変なんだと思う。


「試合後に、みゆきちゃんと会う約束をしてたら、顔をボコボコにされる訳にはいかねぇしな」

「相手は強いんですか?」


 格闘技にはまったく詳しくないので、名前を聞いても、強さがイメージできない。


「相手は、期待の若手ってヤツだ。今度の大会で勝って、夏の大きな大会で結果を残して、大晦日にはチャンピオンに挑戦するって筋書きさ」

「エェッ!それって……」

「まぁ、咬ませ犬だよな」

「ひどい……」


 普段から、チアキ先輩が努力してるのを知ってるだけに、そんな筋書きができあがっていることが許せなかった。


「怒んなよ、修。俺だって、負けてやるつもりはねぇよ。勝てば、夏のイベントに出れるかもしれねぇしな」

「頑張ってくださいね」

「ありがとよ」


 そう言って、チアキ先輩はカバンから茶封筒を取り出した。中には、チケットが2枚入っていた。


「指定席だから、ゆっくり来てくれよ。その席の周りは、みんな俺の応援だからさ」

「はい。しっかり応援します」


 チアキ先輩には、何としても勝ってもらいたい。そのためなら、声が枯れるまで応援するつもりだ。

 でも、チケットを差し出した先輩の手が、小刻みに震えてるのを、俺は見逃さなかった。

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