ハロウィーンの夜
ハロウィーンのその週末に、都心では祭とは程遠いお祭り騒ぎが催された。人々は奇態な衣装を身に纏い、我先にとその衆合へと駆けつける。
群衆は装飾され、踊り出すように、蠢く百足のように、あるいはのた打つ龍のように、ずるずると街路に流線を形作る。用意は出来ていた。
まず監視カメラというものがいかに無力か、私は喧騒の中をホラー映画に出てくるキャラクターマスクを被りながらつくづく感じる。皆が異様なのだから私も正常なのだ。
ポケットにダイナマイトの形を模した爆竹を忍び込ませ、雑居ビルの中へと私は吸い込まれてゆく。事前に監視網の薄そうな死角は把握しておいた。それに今の私はマスクマンなのだ。醜い顔を隠す必要のないマスクマン。
蛍光灯がぼんやりと照らす薄暗い階段を登り、誰ともすれ違うことなくビルの屋上を目指す。鍵など壊してしまえ!えいっ!
そして私は屋上へ出た。爆竹は全部で十本ある。これらに一斉に点火して屋上から群衆へと撒き散らす。私は逃げる必要などない。
投擲された爆竹は、触れただけなら軽度の火傷で済むはずだ。さて、様子を見てみようか。
バチバチバチ!キャーキャーキャー!
何だ?!何だ?!何だ?!
人々が騒動から逃れきれずに薙ぎ倒される、ドミノのようにガタガタと。
私は十分楽しんだ。上から見下ろして、そして堂々とビルから出て行く。テロルの祭囃の中へと。




