戦争準備
次の日、早速俺はユリルを呼び出して、「ドラゴン大帝国」の情報と、今回の作戦について伝える。
「流石です…深慮遠謀、恐れ入ります。」
「何か修正すべき点があれば忌憚のない意見を言ってくれ。」
「はい…、ドラゴン大帝国は強大です。我々魔王軍は屈強ですが、350万という圧倒的な数の前には無力です。今回の戦略の基本は「敵分隊へは先制攻撃による各個撃破」「敵本陣へは先手で最大火力を放ち即座に離脱」「正規軍の撃破」でよろしいかと。そして興奮して1人でも統率のとれない行動をしたらたちまち死地になります。戦争前には全員に厳命しておくべきでしょう。」
ドラゴン大帝国は卑怯な手段を使うという…。仮に囮に釣られて一人で敵本陣に突っ込む馬鹿がいたら、全滅の危機である。戦争前には必ず厳命することとしよう。
☆
あと戦争まで1カ月半となったが、特に何もやることはなく暇である。
「久々に冒険者としての受注を受けに行くか…。」
冒険者組合受付に行き受付嬢ユリルに話しかけ依頼を確かめる…。
Aランクの冒険者となった今、依頼のすべてを受けることができる。何か楽しいものがあれば受けよう。
この冒険者組合で依頼を受けることができる受注は以下の通りである。
SSランク1件 「堕神討伐」
Sランク2件 「ヤマタノオロチ討伐」「邪悪勇者一行討伐」
Aランク5件 「巨人王の軍勢討伐」「魔獣獅子王の軍勢討伐」「デューク・リザードマンの軍勢討伐」「ウィンディーネ鎮圧」「海賊王ドンキホーテ討伐」
Bランク6件 「ガーゴイルの軍勢討伐」「はぐれ上位龍討伐」「サウザン迷宮攻略」「エレクサー素材採取」「キングスライム討伐」「無法者バトルマスター討伐」
Cランク385件
Dランク944件
以下略
Sランク以上は全冒険者組合共通の受注であり、この世界共通の敵の討伐が主となる。いわゆるワールドエネミーというやつだ。
Aランク以下は各組合によって違うが、Aランクにおいては各大陸における脅威となる者の討伐である。
それにしても堕神討伐とか、今の俺に勝てるのだろうか?!仮にも敵は神である…。まぁいずれは戦う機会はあると思うが今ではないな…。多分負けるし…。
そして俺の討伐があったら間違いなく「魔王軍討伐Sランク」だろうなーとニヤニヤしていると、受付嬢からの厳しい視線が俺に降り注ぐ。
何この人?!依頼書見ながらニヤニヤ、気持ち悪い!!という視線である。
取り合えず早く決めようか。
「…よし、これに決めた!!Aランクのウィンディーネ鎮圧!!」
ウィンディーネは「水」を司る召還獣である。イフリートに比べて攻撃能力は低い気がするが何かの役には立つだろう。破邪の森の中にいるみたいだし、1ヶ月以内でできる受注としては悪くない。
依頼の詳細としては、本来温厚なウィンディーネが湖に通りかかる人々を攻撃してくるようになり、鎮圧もしくは討伐して欲しいという依頼だ。
この湖には高額で売ることのできる美味しい高級魚が取れるため、この湖専門の漁師にとっては死活問題となっているらしい。依頼主が漁師ということで報酬がゴミのような報酬であり低すぎて唖然としたが、依頼を戻そうとはしなかった。俺は仕事は金で選ばないというドヤ顔を受付嬢に見せ評価を上げることを選択した。
冒険者組合を出る瞬間、受付嬢が「もしかしてあの人お金の計算もできないのかな…」とボソッと聞こえたが俺のことではないだろう。
それにしてもウィンディーネか…。
本当は「神獣バハムート」とかカッコよくて強いのが欲しいけど、仕方ない。ウィンディーネで我慢するかと独り言を言いながら支度をする。
その日のうちに、俺に呪いをかけたセイコルドと共にウィンディーネがいるとされる破邪の森の中にある湖に行く。




