不思議なクリスマスプレゼント
クリスマスなので、クリスマスっぽいのを書いてみたいな〜と思って書きました!
下書きとかせず書いたので、いつもより文が読みにくいと思いますが、是非読んでください!
「おねぇちゃんおねぇちゃん、サンタさん、来るかなぁ?」
くいくいっと私の袖を引っ張って、4歳の弟、ヤマトが言った。
「……来るよ、きっと。ヤマトは偉い子だったもんねぇ」
私、カレンは顔を見ずに頭を撫でてあげる。
泣きそうだった。
私たちには親がいない。
ヤマトがまだ2歳の時、事故で死んでしまった。
その後、親戚の人たちがもめていたのは覚えている。
私たちは遠縁のおじさんに引き取られたけど、明らかに邪魔そうだった。
必要最低限にしか関わりを持たないし、クリスマスなんてもってのほかだった。
私たちは今日も、違法に近いお手伝い(アルバイト)をさせられている。
ティッシュ配りだ。
これがマッチなら、マッチ売りの少女の様な光景になったのかもしれないが、ここは日本だし今は平成だ。
「さむいねぇ」
「そうだねぇ」
どちらともなくポツリと呟く。
でも、全て配り終えるまではお家に入れてくれない……。
町はクリスマスカラーで、電飾が沢山あってキラキラしていた。
あちらこちらで楽しそうな笑い声が聞こえていた。
目の前に女の人が通る。
半ば強引にティッシュを手渡し、1つ減った、とため息をついた。
「おねぇちゃん、大丈夫??」
ヤマトが心配そうに見上げてくる。
「大丈夫だよ?ささっと配っちゃお!」
姉として、しっかりしないと。
姉として、ヤマトを守らないと。
道行く人にティッシュを押し付けながら、カレンは考えていた。
目の前におじさんが通る
ティッシュを手渡すと、ぺこりと礼をしながら受け取り、
「こんな日に、どうしたんだい?」
優しく声をかけた。
普通なら怪しむべきなんだろうけど、でも、カレンもヤマトも優しさに飢えていた。
幸い、誘拐犯とかの類ではなかった様で、「頑張ってね」と、飴をくれた。
自分が貰った分の飴をヤマトにあげて、
残り数個になったティッシュを配る。
最後の1つを配り終わった時には、カレンもヤマトもすごく寒かった。
夜の7時。
普通の子供ならお家に帰る時間だが、2人は近くのデパートに入り、暖をとることにした。
クリスマスソングがいろんなところから流れてきて、周りには家族連れやカップルが沢山いた。
明らかに浮いていた2人だったが、周りの雰囲気も浮かれていたので特に声をかけられることはなかった。
ぐるぐると目的もなく歩いていると、ふとヤマトが足を止めた。
「かっこいい……」
見つめる視線の先には、カッコいいオモチャがあった。
(買ってあげたい!でも……)
ちらりとみえた値段にカレンはがっかりした。
自分の手持ちでは到底買える様な値段ではなかった。
ヤマトにクリスマスプレゼントをあげたいのに……。
悔しくなって、ふい、と斜めを見て、
パチッ。
誰かと目があった様な気がした。
きょろきょろと見渡すと、見覚えのある後ろ姿が見えた様な気がした。
「帰ろ、ヤマト。」
「うん!」
家に帰る途中に、大きなクリスマスツリーがあったけど、通り過ぎてそのまま帰った。
「「ただいま帰りました」」
声を揃えて挨拶をする。この家の決まりだ。
「飯を食え。」
『おかえり』も『お疲れ様』も無しに、必要なことだけを話すおじさん。
そそくさと席に着き、ひたすらに噛み、飲み込む。
おじさんは1人でビールを飲んでいた。
ピンポーン ピンポーン
食べ終わり、お皿洗いや片付けをしていたころ、呼び鈴が鳴った。
「でてきて。」
ヤマトがタタタッと玄関までかけて行き、ドアを開けた
「わぁぁっ!サンタさんだ!!!おねぇちゃん!サンタさん!!」
嘘でしょ?
キャイキャイとはしゃぐヤマトの声に、
手早く片付けを済ませ、玄関へ向かう。
そこには、さっきティッシュを配ったおじさんがサンタの格好で立っていた。
「えぇ……?」
「メリークリスマス!!ヤマトくん、カレンちゃん!プレゼントだよ!」
おじさんは、背負った袋から大きな箱とラッピングされた袋を取り出した。
「ありがとう!!」
ヤマトが箱に飛びつき、開け始める。
そこにはさっきヤマトが見つめていたオモチャが入っていた。
「わぁぁぁ…っ」
そっと手を伸ばし、ガシッと掴むとそのままピョンピョン、嬉しそうに跳ねてリビングへ走っていった。
「カレンちゃんの分だよ」
差し出すおじさんから、袋を受け取り恐る恐る開けてみる。
そこには可愛らしいマフラーが入っていた。
「2人とも、いい子だっただろう?だからサンタさんがプレゼントを渡しにきたんだ!」
サンタになりきったままおじさんが続ける。
「おじさん!みてみて!」
「あぁ、そう。」
部屋からは楽しそうなヤマトの声と、無関心そうなおじさんの声が聞こえる。
「ありがとうございます、本当に……。」
深く深く、お礼をする。
「でも、どうして……?」
不思議なことや、ききたいことが沢山だ。
でも、カレンが次に口を開く前に、サンタさんが話し始めた。
「今日はクリスマスだからね、不思議なことが起こる日なんだよ。」
ふふん、とキメ顔でおじさんが言い、
手を伸ばし、頭を撫でた。
きゅっ、と目を閉じ、撫でられる。
頭の感覚が無くなったころには、もうおじさんはいなかった。
「不思議……」
そっと玄関から出て辺りを見渡す。
誰も、いなかった。
もらったマフラーを、自分の首に巻いてみる。
楽しそうなヤマトの声を聞きながら、カレンはもう一度呟いた。
「ありがとう、おじさん。メリークリスマス」
読んでくれてありがとうございました!
おじさんは何者なんでしょう…?
うやむやな終わり方って言うのも、個人的に結構好きです(笑)
他の星宮未羽作品も是非読んでみてください(*´꒳`*)