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世の中いろいろあるものです。

生まれも育ちも田舎の頼子さん。妹、弟のために東京で働いて無事役目も果たし、さてこれからわが春を謳歌しようと思いきや、後発組の妹が先に幸せをつかむのでした。

頼子さんに春は訪れるのか・・・

第2話投稿です。

同僚プラス妹、おまけで後輩君と揃ったので動物園へと入園していく。オランウータン、キリン等観て廻り皆それぞれ「へえ~」「ほ~」「あ、かわいいですよあの子」などど感嘆の言葉を漏らしつつ「ツキノワグマ」の檻にて妹がつい漏らしてしまった言葉。


「太っててうまそうですね」

「あれ、歳食ってそうだからあっちの若いのがいいんじゃない?」

「「え?」」


私も初っ端から妹の件があった事もあり、そののち動物を観ていて「ほっこり」していたのでしょうか?つい油断をしてしまっていて会話の流れに乗ってしまいました。私は驚いた2人と妹を交互に2、3度見まわしてからハッと気づき「あ・・」と言葉に詰まってしまったところで。


「「食べる(の)んですか?」」

「え・・ええ。私の故郷では”マタギ”という人達がいてよく祖父が家の野菜などと交換していましたから食べたことがあるんです。」

「そうそう!お鍋にして食べるとおいしいんだよ!他にも鹿とか猪、兎もおいしいよ。」


私達の言葉に2人は頬を引き攣らせながら「なかなか野性的ですね」と、どもった口調で話す2人を前に、あっけらかんとした妹の横で恥ずかしくて顔を真っ赤にして俯いてしまいました。そんなやり取りもありましたが、その後は順調に園内を観て廻り園内で昼食を取り、最近できた「海洋水族館」に行き閉園時間少し前まで楽しんだのでした。


「さて、それではお二人さん。聞きましょうか?」

「お姉ちゃん、ここで話すのもなんだから家で話さない?最近アパート借りたんだよ。」

「え?どこからそんなお金出したの?それに保障に」

「それも含めて話すから。ね?」


と、妹が切り出したので妹の借りているアパートに向かうのでした。その時武田くんが横で、ばつの悪そうな顔をしていて「?」と思いつつも妹を問いただす事に注力するのでした。


「で?何故武田くんと三好くんがついて来たのかな?」

「私は・・先輩が”一緒に来てくれ”と・・・」

「いや、その、落ち着かないというか収まりが悪いというか・・・」

「まあ、いいわ。こうなった経緯を教えて頂戴。曲がりなりにも恵の東京での保護者なのですから」


私は既に気づいていました。部屋に入った時に”2人が一緒に住んでいる事”を。

台所に茶碗など食器が2対あり、カップに差してある歯ブラシが2本あった事も。


―――経緯はこうでした上京してしばらく経った頃、「田舎」には無い綺麗な服、ボウリングなどの娯楽施設いっぱいあると・・・。

成人したし同期の友達と一緒に遊びまくって給料を使い果たし次の給料日まで生活がままならなくなってしまい、私にこっぴどく怒られるのを覚悟の上でお金を借りに来たのだが、生憎私は不在。もう自身の独身寮の門限も近くなってきていて途方に暮れていた所に会社から帰ってきた武田くんに出くわしたと。(この人いつも”丁度”って言葉が付くわね)

訳を話し「頼子ちゃんには内緒にしてあげる」ということでお金を借りた事がはじまり。そこからちょくちょくお金を借りたり返したりが繰り返され一緒に遊びに行くようになり、

「頼れる年上の人」から「いっぱい(遊び)を知っているお兄ちゃん」へ。

ついには「一緒にいたい最愛の人」となり一緒に住むようになった。―――


「はぁ、経緯は解ったわ。それで武田くんはどうしたいの?私も納得はできないけれども理解はしたつもり。東京での保護者でもある私から言わせてもらえば親や私を介さずに不義理をしてしまったって事。最近”同棲”ってのが流行っているからって、まさかウチの妹が・・・ねぇ?」

「もちろん俺としては責任を取るつもりで突き合わせてもらっている。同棲はしているが、メグの親御さんから了承を得られるまでは”お手付き”にはしていない。近々ご挨拶には伺おうと思っているんだ。」

「お手っ・・・まぁその時は私も一緒に帰ってお父さん達に謝るわ。」

「お姉ちゃん。勝手に何でもやっちゃってゴメンナサイ」

「頼子ちゃん。すまなかったな。」

「謝んなくっても、もういいわよ。多分お父さんは顔真っ青にしながら「うむ」で終わると思うから。但し!おばあちゃんは覚悟しておいた方がいいわよ?」

「?」

「あーおばあちゃんかー」

「とりあえず、直近のまとまった連休だと、お盆休みがいいわね。またその時が来たら話しましょ?」


ちょっとモヤモヤはするが、「しょうがない」と心に収めその日はお開きとなったのでした。それで巻き込まれた三好くんはというと、まるで借りてきた猫のようにおとなしく正座したまま出されたお茶に一口も口をつけずに終始無言を貫いていたのでした。外に出ると既に真っ暗。

まだ、寮の門限には時間に余裕があるなと思いつつ同じ独身寮へと帰り道を共に歩いていると三好くんは「スゴイモノヲミテシマイマシタ」となぜか外国人が喋るような片言の日本語で言い「そうそうしょっちゅうあってたまるものですか!」と言いながらお互いに苦笑を浮かべたのでした。


「そういえば先輩」

「はい?何ですか?」

「今日は付き合ってくださってありがとうございました。そしてすみませんでした!」

「別に謝らなくていいわよ?ほんとに今日は何も予定がなかったし妹の事情も知ることもできたし。気にしないで?」

「あ、いえ謝罪の方はもっと別にありまして・・・」

「ん?」

「先輩と初めて会った結婚式の時の事です。」

”先輩みたいなひ弱な人と話すのがはじめてなもので”

「あーあーあー!それね!やだもう!もう気にしてないわよー。」


と後輩君の背中をバンバン叩きながらけらけらと笑っていると


「ッ!ゲホッゲホッ・・・いや、あの時とても緊張しちゃって。同じ会社に勤めているのに何でかわいい子が武田先輩の知り合いで気付かなかったのかと。」

「あら、そう言ってもらえると嬉しいわね。でも嫁ぎ遅れ寸前。いや嫁ぎ遅れの女性にかわいいはちょっとほねえ~」

「いやいや!本当に成人式まだじゃないのか?ってくらい若く見えますよ。」

「ホントに~」

「本当ですよ」

「ん~。とりあえず「ありがとう」って言っておくわ」

「いえいえ。本当ですからね!」


この時に私は誉め言葉に慣れておらず。嬉しいやら恥ずかしいやら顔が熱くなってきているのを覚えながら照れ隠しで先輩風を吹かしながら会話をするのでした。街灯があっても周りは暗かったから多分顔が赤くなっていると思うけど、後輩君気付いていないわよね?


それからというもの三好くんとは社内で会うと挨拶だけではなく軽く世間話をするようになり、武田&妹カップルを間に挟んで三好くんとは幾度かデート(?)をするようになり、その時の妹と武田くん両名が、ニヨニヨとこちらをあたたかい目で見ているのに気付いてはいたが、私は敢えて無視しているのでした。


そしていよいよお盆休みが来て武田&妹カップルの運命の時がやってきたのでした。


畑山家構成-4兄妹-(動物園エピソード時点)

畑山 義次よしつぐ:長男(28)

畑山家次期大黒柱候補。父義喜とは反対に専業農家として盛り立てるべく進学は北海道の某農業高校。卒業後、田畑だけではなく畜産業も兼ねるべく現在奮闘中。ただいまお嫁さん募集中との事。畑山家代々長男(跡継ぎ)には「義」がつく。


喜一郎きいちろう:次男(27)

工業高校卒業後、父の働く会社に入社。本人曰く「なんか違う」との事で1年後に退社。現在は某農業機械販売店内整備工場勤務。22歳の時に中学からの同級生と結婚し2児の父。整備部門とセールスも兼業し実家の農業を手伝いつつ実家や親族の農家に農機のセールスをし、勤務先のトップセールスの座を虎視眈々と狙っている模様。


頼子よるこ:長女(24)

本作主人公。中卒ながら某商社に就職。本人の持前の根性と目標があったため仕事のノウハウを全て叩き込み高学歴連中を差し置いて社内で誰よりも頼られる存在までになった。頼子に仕事を頼むと人の10倍の速度でこなす実力を認められ、社長の鶴の一声で年功序列の社内において一般職でありながら課長クラスの給料をもらっているという強者へと変貌を遂げている。後輩社員の間では「無冠の女帝」といわれている。

そういう事もあってか、「プチ姉御肌」の持ち主。


めぐみ:次女(21)

素朴な田舎娘であったが上京してすぐに垢抜けた存在となる。都会に来てからは夜な夜な遊びに歩き門限破りは数知れず。(独身寮の寮長涙目)一見尻軽そうではあるが、意外に身持ちが固く付き合ったことがある男性には「破れそうなのに破れない処女(おとめ)」と揶揄されている。現在は頼子の同僚である武田弘樹たけだひろきと同棲中。


秀正(しゅうせい):三男(20)

畑山家末っ子。頼子のおかげで無事に普通高校卒業。・・・までは良かったが何をしたいのか将来が定まらず1年フラフラとしていたが、我が家の業務拡張のために長男に捕まり家業手伝い中。父が名付けた「秀いでて正しい」という名前に完璧に名前負けしている。

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