罠
ファミレスでボンゴレロッソをつつきながら、高梁美香は新見浩太に話し掛けた。
「ねぇ、浩太…私との結婚とかって、真剣に考えてくれてたりすんの?」
こいつ、またこの話しかよ、と思いながら
「あぁ、勿論!でもウチって給料安いだろう?中々、金たまんなくってさ」と、最もらしく答えた。
「何だったら、お弁当作ったげようか?」
「持ち弁なんて、カッコ悪い事出来っかよ。ウチにも居んだよ、しかも自分の手製だぜ!」ミックスフライセットのエビフライをかじりながら言った。
「他にも節約出来るトコあるでしょ?パチンコとか…」美香の口元にボンゴレロッソのトマトソースが付いている。
それが色っぽく見え、新見はムラムラした。
「それより、これからどうする?ウチ来るよな?」新見の目的は、これだけだった。
「今日は、もう帰ろうかな?折角の安全日だけど」
この言葉が、新見の性欲に拍車を掛けた。
「何言ってんだよ!久しぶりじゃねぇか!そう言わずに、なっ?」
隠し切れない必死さを押さえて言った。
「仕方ないなぁ、でも、ホントに真剣に考えてよ」
口を尖らせて美香が言った。
「あぁ、勿論だ」
新見は久しぶりにゴムなしで、デキる事に、興奮を覚えた。
美香は、いつも以上に芝居をした。
その事が、より新見を興奮させた。
(こいつ、帰るとか言っといて、三回もねだるかよ)