本当の再会
「やっと…やっと会えた!やっとタマミツさんに会えたよ!」
女性店員の早島景子(22)は仕事中なのも忘れて、少女の様に泣きじゃぐりながら玉野に抱きついた。
玉野もそれを受け止める様に、景子を抱きしめ「ケイちゃん、何でや?何でケイちゃんがコッチにおんねん?」と優しく言った。
「分からない!何も記憶がないの!ただ、ただ、何故かお父ちゃんとタマミツさんの記憶だけがハッキリと残ってて…」
横でやり取りを見ていた三人は、初めて聞く玉野の関西弁に面食らった。
そして、その中のたった一人だけが全てを悟ったのだった。
「やっぱり、あれは夢なんかじゃなかったんだ!
そして、オレの前の移住者はタマミツさん…
つまり、玉野君だったんだ!」
それを聞いた玉野は"フーッ"とため息をつき、景子を引き剥がした。
そして、玉野自身も悟った様に、また観念した様に喋り始めた。
「リュウさん、新見さんにワシの事、話しとったんやなぁ?
まさか、"ムコウ"の人間が"コッチ"来る事ないやろ思って黙っとったのに…」
とヤレヤレと言った感じで話した。
「じゃあ、あの日の夜、オレを助けてくれたのは玉野君だったんだろ?」
「そうですわ!あの日、ワシは新見さんが"ムコウ"に行くって分かっとって、ほんで助けた…
でも、勘違いせんとって欲しいんはアンタやったら絶対に帰って来れる思って助けたんや」
「何か、根拠はあったのかい?」
「根拠なんかはない!ただ、何やろ?上手く言われへんけど、ワシ自身、生きてきた環境ちゅうんか野生の勘みたいなんがそうさせるんやろなぁ!
"ムコウ"で二年間過ごした経験から間違いないって感じさせた!
結果論か知らんけど、当たっとったやろ?」
「まっ…まぁね!
でも、何でケイさんは新しい方のオレの記憶がないんだろう?」
「まぁ、これもワシの勘みたいなもんやけど、ムコウからコッチに戻る時、少なからず誰でも記憶障害みたいなもんを起こす!それがケイちゃんの場合、元々ムコウの人間やからそれが強う出たんやろ?でも、強う想っとる事だけ記憶に残ったんやろ?
でも、ワシが分からんのは、何でケイちゃんがコッチに来たかって言う事や」
「それは、多分オレしか説明出来ないと思うよ!
オレがコッチに帰って来る時、ケイさんの危機を救おうとして、誤って二人で崖下に転落したんだ!それでオレがコッチに戻って来たのと一緒にケイさんも…」
「そうだったんですか?記憶がないとは言え、先っきはごめんなさい…エーっとニイミさん?」
「嫌だなぁ!コウタって呼んでよ、ケイさん」
「ホントにごめんなさい!コウタさん」
新見は懐かしい響きに少しだけ胸がキュンとした。
「ほんだら、新見さんがワシらのキューピット言う訳や」
タマミツのままの玉野が珍しく、はにかんだ。
「イヤッ!玉野君…タマミツさんこそオレと美香のキューピットだよ」
「玉野でエエよ!もう"爆弾のタマミツ"は死んだんやから」
こうして五人の宴は朝方まで続けられた。




