再会?
配送は終わる時間がバラバラな為、事務所横にある休憩室で待ち合わせる事にしていた。
最後に笠岡が帰って来て、さぁ、飲みに行くぞと言う時、支店長の矢田圭太郎が呼び止めた。
「おい!新見!スマン、お前らの班の仕事じゃないんだが、直ぐ近くなんで追走頼まれてくれんか?」
新見は仕方ないなぁと言った感じに「はい!分かりました」
と言いかけた所で、玉野が左手で制した。
(今日は新見さんの班長昇進の祝い酒のつもりです
主役がいなきゃ始まりません
ここは僕に任せて)
と呟いた。
「スマン、玉野君、でも気をつけて!
それから出来るだけ早くな」
新見はすっかり頼もしくなった部下に感謝した。
「新見新班長に乾杯!」
とりあえず三人は宴を始めた。
「新見班長!これからもお願いしますね」
井原がジョッキを持った右腕で目を擦る仕草で泣き真似て言った。
「井原君!ペース早いよ!これじゃ玉野君が来る前に潰れちゃうよ!
スミマセン!ジョッキ追加で!」
新見は部下を気遣った。
「お待ちどう様です!追加のジョッキです!」
「あっ!お姉さん、ありが……」
新見は女性店員の顔を見て、息が止まりそうになった。
その店員の顔は、あの夢で見た"ケイ"そっくりだった。
次いで名札に視線を落とすと"はやしま けいこ"と記されていた。
「ケ…ケイさん?」
思わず口から飛び出していた。
「何ですか?お客さん!下手なナンパみたいな事止めてもらえますか?」
女性店員はハッキリと新見の顔を見たが、全く気付かない風だった。
「班長?どうしたんすか?」
二人の部下はいきなり様子を変えた新見を心配した。
「イヤッ!スマン、飲みすぎたか?」
「何言ってんすか?まだ一杯目っすよ」
「そっ…そうだよなぁ、何か変な予知夢でも見たかなぁ?」
新見の額からジンワリと脂汗が滲んだ。
「お疲れ様です!スミマセン、遅くなって」
ようやく、玉野がやって来た。
「お疲れ〜っす」
一同が快く迎えた。
「スミマセン!ジョッキ一つお願いします!」
井原が店員に声を掛けた。
「お待た…」
と言ったきり女性店員はジョッキを落としてしまった。
「タ…タマミツさん?」
女性店員はその場に立ち尽くしてしまった。
「ケイちゃん?」
今度は玉野がその場に立ち尽くした。




