昼食時の会話
配送センターに帰る前に、新見はコンビニに寄った。勿論、昼食を買う為だ。
満腹弁当に白ご飯、大盛カップ麺とペットボトルのお茶を買って、1019円を支払った。
センターに戻って、食堂に行くと、すでに玉野が席に着いていた。
「玉野、お疲れ、今日も持ち弁か?」
弁当を食べ始めていた玉野に声を掛けた。
「はい、節約の為なんで、毎朝…」
きれいに焼かれた卵焼きを頬張りながら言った。
「自分で作るとか、マジやべぇよな、お前。
それに水筒まで、遠足かよ」
玉野をバカにする様に鼻から空気を抜いた。
「まぁ、ここってあんま給料良く無いんで…」
玉野は、ご飯を箸で割りながら答えた。
「だよな、俺も毎月、給料ほとんど残んねえもん」
新見は何故か、少し自慢気に言った。
「えっ?」
新見の態度に玉野は意外そうに返した。
「何だよ!お前、そんな残んのか?」
「いえ…そんなには」
左手の親指と人差し指で小さな隙間を作って答えた。
昼食後、事務所に寄った新見だが、センター長の矢田圭太郎(48)は、何も言って来なかった。
(どうやら午前中の"かめだや"何も言って来なかったらしいな)
ホッとした新見は午後の便を出発していった。