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パラレルワールドの仕組み

もう、"コッチ"の世界に来て、どれ位経ったんだろう?

リュウさんとケイさんのおかげで、傷もすっかり癒えた。

自分を診てくれたお医者さんは"一級医師"と言うらしい。

"コッチ"の世界では、職業は下から五級から一級、そして特級の六段階あるそうだ。

階級は、その職業の能力は勿論の事、社会貢献度が大きく関わって来るらしい。

例えば、自分がお世話になったお医者さんで言えば、腕の良いのは当たり前として、患者をどれだけ、どう救ったか?が、大きな裁定基準となるそうだ。

自分の怪我の場合、本来は"三級医師"が診るらしいが、リュウさんの判断で"一級医師"を呼んでくれたらしい。


リュウさんは、農家だが、30年間も"特級農家"を守り続け、今は"永世名誉特級農家"と言う称号を得ている。

それだけ永い間、高品質の作物を大量に、世の中に納めて来たのだ。


職業階級は、毎年1月7日に更新され、ケイさんは今年、五年間二級で足踏みしてたのが、ようやく"一級農家"に昇格したそうだ。


収入は、職業の階級により決められるが、この世界に通貨はなく、いわゆる現物支給される。

その為、食糧や物品を作る職業にある者は、皆、決まって高品質の物を大量に納めて、世の中に貢献しようと頑張るのだそうだ。

自分がいた世界では、自分が良い暮らしをしたいから頑張るのに、"コッチ"の世界では、順番が逆なのだ。

その為、自分よりも良い暮らしをしている者を妬む事はなく、自分が社会貢献出来ていない事を悔やむのだ。


では、誰がその裁定を下すのか?なのだが、1月7日に更新が行われた後、順番で役員が変わるのだ。

役員は、10年に一度位のペースで回って来るので、贔屓などする者はいないし、仮にあっても間引かれるだけだ。


役員は、完全にボランティアなのだが、役員を務める年は、その仕事があるので、本来の仕事の成果は、ある程度軽視される。

にもかかわらず、リュウさんは品質は特級クラス、獲れ高は一級クラスを保ったそうだ。

本当は、そこまで収穫しなくても特級は保てたのだが、それだけリュウさんは、世の中に貢献しようと言う想いが強かったんだろう。


リュウさんの生き方は、この世界では…イヤ、元いた世界でも、お手本にすべきだと思った。


自分は、リュウさんに懇願して、農家として働かせて貰う事になった。

勿論、最初はケイさんに付いての下働きからだ。

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