表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/41

ウェルカム パラレルワールド

「うわぁ!」

新見浩太は、悪夢で目覚めた。

右腕は、ギプスで固められ、身体中、包帯でグルグル巻きだ。

(あれは夢だったのか?いや、この身体を見る限り現実だよな?ってか、ここ何処だよ?)

新見は寝かされていた布団から、上半身だけ起こし、回りを見回した。

すると、今、自分がいる場所は、全く見覚えのない木造の古びた建物だと分かった。

「何だよ!ここ?まるで昔話の家じゃねぇか」

重症の身体でも、口の悪さは相変わらずだった。

全身に痛みが走るのをこらえて、何とか立ち上がった。左足が痛むので、ビッコを引きながら、隣の部屋を覗いた。

真ん中に囲炉裏が見えたが、火はついていなかった。

「マジ、何処だよ?」

不信に思っていると、外から足音が聞こえて来た。

目の前に玄関で、あろう、引き戸が見える。

新見の脳裏に、自分を痛め付けた男達が蘇り

「ヤバい!逃げなきゃ」

と小声で呟き、元いた、奥の部屋に移ろうとした。

しかし、身体の自由が利かず、その場に尻餅をついてしまった。


"ガララッ"と音を立てて引き戸が開いた。

そこには、如何いかにも農家という格好をしているが、とても美しい女性が立っていた。


「あらら、あんた目が覚めたのかえ?」

女性は身体ごと外に向けると

「父ちゃ~ん、あの人、目を覚ましたよ」

と叫んだ。


しばらくすると、これまた農家の格好をした、少し背が曲がった老人が現れた。


「おぉ!あんた生き返っただか?えがった、えがった」

と言いながら、ニッコリと笑った。


「おい!じいさん、ここ何処だよ?」

不安な精神状態が、新見をより毒付かせた。

「やっぱなぁ、あんた"ムコウ"から来たんだなぁ?」

老人は合点がいった様に言った。

「何だよ!"ムコウ"って?それよりマジここ何処だよ?」新見は益々苛立った。

「まぁ、落ち着けぇ。一言で言えるモンでもねぇ」老人は掌を下に向けて振りながら言った。

「恐らく、あんたはこの世界の住人じゃねぇ」

老人は、囲炉裏いろりの前に座ると、とつ々と語り始めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ