表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異能モノノケ録  作者: 長尾景虎
68/148

第68話 対岸でも火事

 種咲市にほど近く、戦線がほぼ真横を掠めているとある街。

 それなりに大きな街ではあるが、その割には“社”の規模が小さい。

 これまで特に大きな問題は発生していないために、それについて何かを言う人間は少ないが。

 比較的平和で、これと言って目立つ要素も無く、極めて平凡な街。そして、そんな場所だからこそ、後ろ暗い人間が隠れるには絶好の街だ。

 “社”が置かれているのは協会の管理している銀行の地下。一部の銀行員の裏の顔は影で鬼と戦う正義の退魔師。ピンクの制服を着た受付嬢や、地味めで眼鏡をかけてお札を数えている行員が実は、その辺の特殊部隊なんか小指1本で倒せるほど強いなどと、誰も想像すらしないだろう。

 銀行強盗などを毛ほども心配する必要が無い仕事場の管理職は、引退した退魔師の天下り先としては快適そのものだった。

 ぬるま湯の環境、程々の安全。何より、誰もそんなケチな場所に注目しようとしないというのは、男にとって理想的な隠れ蓑の機能を果たしている。

 チラッと横に目をやれば気付く筈の、人類を脅かす戦争が起こっている事も分からないほど平和だ。


 その日までは。


「あの~、すみません」


 眼鏡に、くたびれた背広、丸みを帯びた背中、使い古した鞄を胸の前に抱えるなど、いかにも腰の低い気弱なサラリーマン風の男が受付の女性に恐々と話しかけた。どこか挙動不審な様子に悪目立ち気味だ。


「お客様、ご用の際は整理券を――――」


「ああ、いえ、違うんです。実はその……アポは無いんですが、こちらの田中部長に緊急の用件なんです」


「……生憎と、田中は只今会議に出席しておりまして、多忙もあり今日中にはお会いになれないと思います。後日、アポを取ってお越しください」


 形式的に事実を述べて男を追い返そうとする。アポ無しで訪ねた人間への対応として、完璧にマニュアル通りだ。

 受付が把握している上司の客の中に、目の前の男がいないことも理由の一つ。さらには、男がそれほど重要そうな人物に見えないのも、それを後押ししていた。


「本当に大事な用件なんです。伝えるだけ伝えてもらえませんか? 出来ればすぐに」


「はぁ、何とお伝えしましょう」


 受付嬢は何とか顔には出さなかったものの、声には渋い空気を含んでいる。

 男はそんな受付の様子に気付かないふり(・・)をしつつ、どこか他人事のようにその言葉を伝えた。


「ええっと……仁科 賢十郎という人の件で、陸道さんからの遣いが来たと」


「……確かに承りました。ただやはり、お会いになる際は事前にアポを取っていただく必要がありますので、また後日お越しください」


 仁科の名前にも陸道の名前にも反応を示さなかった所を見ると、この受付嬢は退魔師の関係ではないのだろう。

 男は内心でウンザリしつつ、少し大袈裟な動きで周囲に人がいないかを確認する。そして受付嬢をチョイチョイと手招きして顔を寄せ、小声で、ただしドスの効いた声で話しかけた。


「なあ、ねぇちゃん。あんたや、あんたの上司の首だけで済む話じゃない。悪徳な銀行に勤めてた職歴なんて、これから先の履歴書に書きたかないだろ?」


「!!」


 男の豹変ぶりに受付嬢の目が見開かれる。

 多分に脅しを含んでいるのは火を見るより明らかだ。


「言いたかねぇが、今すぐに俺の言葉が田中ナントカさんに届かないようなら、国内にあるあらゆる企業のブラックリストにあんたの名前が載る事になるぜ? 銀行が無くなった後に絶望的な就職活動を延々とこなしたくなきゃ、俺が整理券持って大人しく待ってる間に会議室に乗り込んでナントカさんを引っ張ってきてもらおうか」


 男の纏った雰囲気からは有無を言わせぬ迫力がありありと伝わってくる。

 女には、男の言葉が嘘か本当かを吟味する余裕など無い。本能的に逆らえない強烈な言葉の数々に、女は勢いよく立ち上がり、駆け込むようにして会議室の中へと入っていった。

 男は満足そうにそれを見て、整理券を取って長椅子に腰を降ろした。

 周囲には相変わらず気弱そうなサラリーマンにしか見えておらず、地味だが、どこか挙動不審な男という印象を見る者の記憶の片隅に刻みこんだ。

 男が座ってから30秒としない内に会議室から壮年の男が出てきた。

 彼が田中。田中は気弱そうな男を見るや驚愕の表情を浮かべ、身体が触れそうな距離まで詰めよって小声で話しかける。


「どういうつもりだ。いや、どうやってここを突き止めた」


「おいおい、こんな所で話してもいいのか? 茶の一杯も無しで」


「……………」


 田中は不機嫌な顔そのままに、男を応接用の一室に連れ込んだ。

 さらに、説明の必要が無いのを知っているためか、扉を閉めるなり鍵をかけ、もう一つ奥の部屋に入り、また鍵をかける。

 そしてここが“社”の支部であることを考えれば当然とも思えるが、田中は男を伴って隠し扉からエレベーターに乗り込み、地下の簡素な一室へと速足で入った。

 そこでようやく本題だ。


「下手な変装までして乗り込んで来たと言うことは、どうせ非公式なのだろう? 陸道石刀」


 サラリーマン風の男は獰猛な笑みを浮かべながら高級なソファへとドスッと座った。

 鞄を横に放り、眼鏡を胸のポケットに引っかけ、替わりに取り出したサングラスをかける。ソファの背に腕を広げて乗せるという尊大な態度で、石刀は一息ついた。


「あんまり好きじゃねぇが仕事の話だ。まあ、今日ここに来たのは陸道石刀じゃなく、ただの挙動不審なサラリーマンなのは確かだがな。それと、受付の教育はちゃんとしておけ。一般の人間だろうと、もっと目端が利く程度にはな」


 そう言って石刀はテーブルに乱暴に乗せた足の先……靴を指して見せる。

 よれよれの背広と古びた鞄とは反対に、見る者が見ればかなり高級と分かる手入れの行き届いた逸品。そのギャップに気付けば、受付の女も石刀から要らぬ脅しを受ける前に態度を改めたことだろう。


「用件があるならさっさと言え。どうやってここを知ったのかは知らんが、お前に知られた以上はすぐに引き払わなければならん」


「くくっ、だろうな。仁科源造が死んでからはあんたも気が気じゃないだろう? おまけに――――」


 石刀はそこで言葉を切る。隣の部屋へと続く扉から女が出てきたからだ。

 スーツの女は二人分のお茶を持ち、一切の表情を排除した人形のような顔で近付いてくる。


「そいつは気にするな。独楽石の自動人形だ。完全な独立型だから、誰かに聞かれる心配はない」


「ああ、幹部会議の時に通していたのはこいつの声か。いい趣味だ」


 石刀が皮肉気に嗤ってみせる。

 元来が研究家気質な独楽石家が秘奥とする技術、『独神式(ひとりがみしき)』。その中でも特に有用とされるのがこの自動人形。完全なる人間の模造品だ。

 今でこそ殆ど廃れてはいるが、錬金術と呼ばれる(わざ)人造人間(ホムンクルス)を作る技術と、日本独自の式神と言う技術。それらを上手く掛け合わせて独楽石家が開発した。

 さらに、そこに三王山家の顕術である『憑依』を使うことで安全な場所から意識だけを飛ばして遠隔で操作する事も可能だ。

 もっとも、技術的な問題から量産は出来ないため、手に入れるとしたら六家であっても途方もない対価を必要とするが。


「私は忙しい身だ。話があるなら早くしろ。下らない用件なら叩き出すぞ」


 自動人形はお茶を出し終えると、石刀の向かいのソファに座った田中……本名、仁科 賢十郎の横に姿勢良く控えた。


「そうビクビクすんな。今も話に出した仁科源造、そしてそれを殺した橘花院士緒の件だよ」


「なに?」


 賢十郎の眼が鋭い光を帯びた。

 本格的に聞く姿勢になり、もはや石刀がこのまま帰ると言っても帰す気はない。

 なにせ自分はある意味、橘花院士緒に狙われる理由が一番強いのだから。狙われる身としてはどんな情報でも喉から手が出るほど欲しいくらいだ。


「どうやら(やっこ)さん、元“相談役”連中の居場所を掴んでるみたいだぜ? あんたはまだ知らないようだが、昨日の内に二人、仁科源造も含めると三人だが、おっ死んでいるのを確認した」


「!? 事実か!」


「ああ。退魔師協会でもまだ把握してないが確かだ。あんたらがこそこそ隠れるような真似をしてるせいで、仁科源造以外は消えた事にも気付かれてねえよ。その仁科源造にしても、死んだ事を知っているのは元“相談役”を含めたごく一部だけだしな」


「……くそっ! 忌々しき橘花院め! 石刀、私はすぐにでもここを離れる。お前も来い。今は一人でも戦力がいる。もちろん礼は弾むぞ」


 ソファから立ち上がってそわそわとこれからの事を考えだす賢十郎。

 対照的に、石刀は落ち着きはらった態度で賢十郎を制した。


「まぁそう慌てなさんな。まず、確かな情報によると、橘花院士緒がすぐにあんたを殺しに来る事は無ぇ。ひとまず座れよ」


 石刀が出された茶を飲んでのんびり落ち着いている様子を見て、賢十郎もなんとか逸る気持ちを抑えた。

 空調の効いた部屋でハンカチ片手に冷や汗を流し、石刀に向き直る。

 話が本当なら、石刀はこの上なく役に立つ。確かな情報とやらで先んじて逃げられるからだ。

 今や賢十郎にとって、頼りにできるのは自分だけという状況を作り出した石刀は、隠す事なく笑みを浮かべた。


「恐らく、橘花院士緒は仁科源造を殺す前にあんたらの居場所を吐かせたんだろうな。雲隠れしている仁科家の連中は既に見つかってるはずだ。実際、昨日見つかった二人は穴蔵から出て逃げようとした所を殺られてる。居場所がバレてる以上、下手に動けば刺激しかねないぜ」


「っ! で、では、どうすればいい!?」


「俺のやる事は決まってる。橘花院が他の元“相談役”を皆殺しにする前に、居場所を突き止めておかなけりゃならねぇ。今日はあんたにそれを聞きたくて来たんだ。元“相談役”である仁科賢十郎にな」


 石刀は先んじて元“相談役”の身柄を押さえて士緒を待ち伏せるつもりか、でなければ退魔師としての正義感から保護をしたいのかもしれない。

 賢十郎の知る石刀に限って後者を行うことは考え難いが、石刀にそれを依頼できる人物も何人か知っている。

 兄である鏡、石刀が特に実力を認めている稲生平、幼少の頃から縁のある五行一樹、そして仁科黎明。


(あの甘い黎明なら有り得る話だ。いや、私の居場所を突き止めた事を考えると、街が隣接する五行一樹の可能性もあるか)


 戦で忙しいこの時期に、一樹が自分なんかを心配する余裕があるかは疑問だが、賢十郎はその思考を一旦打ち切る。

 今は目の前の事に……自分だけでも助かる方法を考える事に集中していた。


「あんた、他の連中とは連絡取れるか? 気を付けるように忠告してやらないとな」


 こんな状況で何が楽しいのか、石刀はニヤニヤと賢十郎を見ている。石刀を少しでも知っていれば、この人を食ったような態度はいつもの事だと分かる。

 不愉快な事には違いないが、他人事ではない賢十郎にとって、今はどうでもいい事だった。


「あ、ああ。連絡を取る事は難しいが、注意を促すぐらいなら――――」


 その時だった。賢十郎が咄嗟に策を閃いた。

 思わずニヤリと笑ってしまうほどの手を思い付く。保身の一手としては上出来だ、と。


「我々は緊急の用件や、それぞれに何かあった場合、隠れ家から危険を報せる信号を送ると取り決めている。互いにとって都合の悪い証拠を消せるようにだ」


 賢十郎が石刀を頼りにしている表れか、聞いてもいない黒い部分の話をペラペラと語りだした。

 そしてこの部屋にあるという信号を送るスイッチの話になった。


「私がそれを押せば、他の者たちはすぐに後始末を済ませてその場を離れるだろう。だが、仁科家の後ろ暗い行いの証拠なら私も少なからず持っている。仁科家に限らず、独楽石に三王山、なんなら五行家の弱みもだ」


「………つまり、何が言いたい?」


「それらをお前に渡す。だから私がここから逃げるのに手を貸してくれ」


 そこに来て石刀のニヤつきも引っ込み、代わりに真剣さが窺える顔付きになった。サングラスの奥からは賢十郎を値踏みするような視線も送っている。


「私が連中に警戒を促せば、恐らく全員がそこを出て別の隠れ家に移ろうとする筈だ。そして、そうなれば橘花院とやらの目もそちらに向くだろう。ほんの僅かでも敵の注意が逸れて隙が出来れば、私一人なら逃げられる」


「つまり、他の連中を囮にするってことか。ウチの手勢をそいつらに付けた後なら好きにしても良いが、あんたは具体的には俺に何をしろと?」


「陸道家の保護を受けたい。こうなった以上、仁科家は黎明が完全に掌握することになるだろう。それもいい。これからは黎明が矢面に立って橘花院と事を構えてくれるのだからな。私は黎明が橘花院を片付けるまで身を隠す。だから陸道家には、ほとぼりが冷めるまで私を匿ってほしいのだ」


「くくく、清々しい屑っぷりだなぁ、おい。だが、悪くない考えだ。今言ったように、ウチのもんを仁科の連中に張り付けた後なら、文句は無ぇ。さっさと居場所を教えてもらおうか」


 石刀の言葉を聞き、賢十郎の顔に希望の色が浮かぶ。

 腐っても仁科家の元“相談役”。海千山千の妖怪どもだ。本来なら、この状況の不自然さにとっくに気付いただろう。

 未だかつて経験したことのない危機、すぐ側に迫った死の恐怖に冷静さを欠いた結果、自分が既に捕食者の口の中に入り込んでいる事に気付けていない。

 賢十郎はデスクの引き出しから手帳を取り出し、その内容を別の紙に書き出した。

 書き出したのは賢十郎が知っている限りの元“相談役”たちの潜伏先。それを躊躇う事無く石刀に手渡した。

 石刀はソファにふんぞりかえったまま、それにざっと目を通す。

 そして機嫌を良くしたのか、再びその顔に笑みを張り付けた。


「石刀、今日は非公式とはいえ、お前が来たということは陸道家の支援が受けられると考えても良いのだな? いや、たとえお前個人でも、味方となれば有り難い。1日でも早く橘花院の件が片付けば良いが………」


「ん? ああ、そうだな。っつーか、片ならあんたが思うよりも早く付くと思うぜ?」


「? どういう意味――――っ!?」


 理解が追いつかない。本人の意思とは関係なく、賢十郎の思考が完全に停止する。

 賢十郎の眉間に石刀が手に顕した『岩鋼剣(いわはがねのつるぎ)』が突き付けられているからだ。


「俺のボスがあんたのファンでね。これはパーティへの招待状だ」


 何がなんだか分からない内に石刀に命を握られた。そして硬直が解けない賢十郎の首を石刀の手が掴んだ。

 そのまま『月食み』によって通力を急速に奪い取る。


「なっ、なに……を……」


 力が抜けてへなへなとその場で倒れこむ賢十郎を石刀はサングラスを隔てて見下ろしている。


「悪く思うなよ? 俺はここに来てから一度も嘘はついてないんだからな。あんたが勝手に勘違いして、話を進めただけだ」


「き……さま……ぁ!」


 賢十郎の憎しみを込めた目を受けても、石刀は涼し気な表情だ。


「まぁ、オトモダチの潜伏先の情報は、こっちが持っているものと一致してるし、嘘を言ってないのはお互い様みたいだな。ついでに非常時に出す信号がこの部屋にあることも分かったし、言うこと無しだ」


 チラッと自動人形の方を確認したが、戦闘用の機能は付いていないのか、そもそも所有者を守ろうとするプログラムもされていないのか、目を伏せたまま全く動こうとしない。

 捨て置いても問題は無いだろうと判断し、石刀は口笛でメロディを奏でながら鞄から取り出したロープで賢十郎の手足を縛り上げ、猿轡を噛ませた。


「さあて、そろそろ表で騒ぎが起きる頃だ。次に目が覚めた時には拷問部屋の素敵なオモチャに囲まれてるだろうから、楽しみにしてな」


 石刀が再度、賢十郎の首に手をかける。

 賢十郎は壮絶な脱力感と、意識を奪われる感覚の中で、それでも力を振り絞って蚊の鳴くような声を出した。


「た……頼む……たす、け……」


「諦めな。うちのボスはあんたに大層ご立腹だ。なんでも、愚息の両親の仇(・・・・・・・)だとかって。意味はよく分かんねぇが」


「っ………ぁ………」


「どうやったら、あのおっさんをそこまで怒らせられるのかねぇ。俺ですら、あんたを憐れに思うよ」


 そして、石刀が賢十郎の意識を完全に刈り取り、時計を確認して騒ぎのタイミングを計ろうとした、その時だった。


「っ!?」


 パンパンパンッ!!


 それは乾いた破裂音……銃声だった。

 石刀の背後から連続して撃たれたそれは三発。

 一発は石刀を狙ったものであり、それを察知してすぐさま回避した。それ自体はなんのことはない、取るに足らない攻撃だ。

 問題は続く二発。一発は賢十郎の額を、もう一発は心臓を的確に撃ち抜いていた。足の沈みこむような高そうなカーペットに血溜まりを作っていく。


「てめぇ!」


 石刀が『岩鋼剣』を、銃を撃ったであろう犯人……自動人形の女に向けて身構える。しかし、女が持っていたのは銃だけでなく、もう一方にはもっと恐ろしい物が握られていた。

 四角い形状のそれにはスイッチが付いており、女の指はそれをしっかりと押し込んでいる。


「ちっ、デッドマンスイッチってやつかよ」


 女の指がスイッチから離れた瞬間、何が起こるのか。

 楽しい出来事が待っているわけもなし。良くてこの部屋が吹き飛び、土に埋もれる。悪ければ地上部分の建物と民間人を巻き込んで広範囲に吹き飛ぶ。

 意思無き自動人形ならではの自爆戦術だ。


「どこの手の者んだ?」


 石刀の誰何を受けても、自動人形は欠片も感情を表す様子は無い。

 これが『憑依』によって何者かが動かしている状態なら、少なくとも高度な顕術の使い手であるはず。そして同時に、自動人形に『憑依』した状態で()を体験すればどうなるかも知っている筈だ。

 恐らくは予め特定の条件を満たせば賢十郎を殺すようにプログラムされていたのだろう。

 命令無しには動かない人形だと思い油断していた。石刀も、そして賢十郎もだ。


「『変革せよ。変革を迫られる前に』」


「………あん?」


 一瞬、接続術式の類かと思ったが、何かが起こる様子もない。そもそも、意思無き自動人形が接続術式を使った例など皆無だ。

 これは単なるメッセージだろう。


「変革を行うのは我々だ。正義は我らに有り、新世界は皆の手に有り……………じゃじゃーーーん!! 革命の狼煙3秒前ー!」


「やべ――――っ」


 あまりにも露骨な言葉の変調に、自動人形がせんとしている事を感じ取った石刀は即座に脱出ルートを探し、そして部屋まで来た道を猛スピードで遡った。


「さん……にー……い~ち……あすた ら びすた~~~!」


 突如として気の抜けそうになる明るい声音と表情に変化した自動人形。

 指をスイッチから離した直後、その部屋を起点として起こった爆発は、地上部分を含めた“社”を壊滅させるだけの威力で一帯の地面を陥没させ、その傷跡を刻み付けた。                                                                   

第二回キャラクター仕分け “きょうい編”


・梢

 ………サイズ C

   フォルム 優

   威力 マグナム級


  Q,最近の悩みなどはありますか?

  A,熊も殺せる威力なのに、うちの若ときたらそれを肌で跳ね返すんっすよ!? あんまりだと思うっす!


・四宮鶫

 ………サイズ C+~D

   フォルム 優

   威力 ドラグノフ級


  Q,サイズに誤差があるのは何故ですか?

  A,え!? いや、その、別に……た、体重が増えた時だけDになるとかそういうのじゃ全くなくて……ほ、本当です!


・浪川凛子

 ………サイズ E+

   フォルム 良

   威力 アンチマテリアル級


Q,評価について一言

  A,『浪花(なにわ)のパイスラッシャー』とはウチの事やで!!


・神崎風音

 ………サイズ A

   フォルム 良

   威力 デリンジャー級


  Q,小さい頃のあだ名を教えてください

  A,……小さい頃? それはもしかして……今も小さいですよね、と私に言わせて笑いものにするつもりの質問?

  Q,い、いえ、決してそんなつもりは……わわわっ、切れるキレる!!


・三王山梓

 ………サイズ AA

   フォルム 判定不可

   威力 クレイモア級


  Q,普段からブラを着用しますか?(地雷)

  A,……コロス


・斑鳩縁

 ………サイズ D+

   フォルム 可(?)

   威力 グレネード級


  A,『可』っ!? なんだその不当な評価は! さては梓の差し金か!?

  Q,実際のところはどうなんですか?

  A,それは………女子の標準などは知らぬし、『優』などと自惚れるつもりも無いが、せめて『良』………だな。うむ。それに少なくともっ、亜笠には全てにおいて勝っているはずだ。あの姉妹は色んな意味で地雷だからな。

  Q,……………(無言で記録を削除)


・咒水 虎子

 ………サイズ E-

   フォルム 優

   威力 C4級


  Q,え!? 今まで気になりませんでしたが、サイズと威力の表記に誤りはありませんか?

  A,ふふふ、にゃ。トラは着痩せするのにゃよ。脱いだら凄いのにゃ!


・ゲオルギーネ

 ………サイズ AA or C

   フォルム 判定不可 or 優

   威力 デザートイーグル級


  Q,“女帝”とか呼ばれてて恥ずかしくないですか?

  A,どういう意味なのじゃ!!


・マサキ

 ………サイズ EX

   フォルム 首席

   威力 ツァーリ・ボンバ級


  Q,スリーサイズを教えてください

  A,それは秘密だ。ふふん

  Q,今のように胸を張ると、チャックボーンってなりません?

  A,うんうん、たまになるんだ。どちらかというとワイシャツのボタンとかでチャックではないがな

  Q,ずばりチューの経験は?

  A,ひ、秘密……

  Q,君の真名(まな)

  A,ボクの事はマサキ先生と呼べ

  

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ