第47話 大帝
阿刀田町の外れ、既に頓挫した町拡張の計画が出たときに建てられたホテル、その廃ビルとも言える建物に彼らはいた。
背広を着た人間が数人と、騎士鎧に身を包んだ中年の男が一人。ただ、異質な点で言えばセーラー服を着た女がその場で最も似つかわしくない。
また、セーラー服を着てはいるが雰囲気は少女のそれというよりは大人のそれだ。フワッとした金髪には緩くカールがかかり、まさに留学中のお嬢様然としていた。
その女は、グレートソードを床に突き立てソファに堂々と座る鎧騎士の前に、『ただいま~』と英語を用いて現れた。
『カールくんカールくん。本命の方に接触してきた退魔師の坊やがいたんだけど、そっちは私が相手していい? 最近退屈だったからそれぐらいいいでしょう? ねぇ』
カールと呼ばれた騎士はため息混じりに『許可しよう』と言った。
そして辛そうに頭を抱えた。
『皆殺し前提の任務など気が進まないよ。せめて退魔師たちにも邪魔されず“女帝”と一騎討ちに持ち込めれば……』
『もう、カールくんは相変わらずだね。そんなだから聖堂騎士でも2位止まりなんだよ。別に町の一つくらい消えたって問題無いでしょ? 実際、それだけの被害を出すのは私たちじゃなくてランクSSSの方なんだし、私らは犠牲を糧にして“悪魔”を殺すだけでいいんだよ』
『“女帝”がかつてトライSに見合うだけの被害を出した事は一度……祓魔師の大量虐殺の時だけ。その虐殺も、“真ノ悪”なる組織が裏で祓魔師たちを操って都市を狂乱に導いたから起きた事だって言うし。今回のようなことをしてまで殺さねばならぬほどの危険な悪魔とは思えな――――』
ガッ!
セーラー服の女が壁の一部に拳を打ち付け、蜘蛛の巣状に陥没させる。
顔は笑っているが、瞳の奥にはどす黒い憎悪、嫌悪、そしてカールを見下すような冷徹な感情がにじみ出ていた。
『カールくんさぁ……あまりガッカリさせないでくれないかな? 悪魔なんてみんな死ねば良いんだよ。私の身体の火傷、見る?』
そう言ってセーラー服のリボンを緩めて胸元をはだける。そこには痛々しいなどと言う言葉では言い表せないほどにどす黒く変色した醜い肌があった。
『医術でもオウスでも治せない火傷の痕……こんなアタシを、カールくんがお嫁に貰ってくれるのかなぁ?』
カールは目を伏せる。
励ましの言葉はいくつも浮かぶが、どれも目の前の女には届かないと分かっていた事だ。
カールは黙したまま、周囲でセーラー服の女の肌に不快感を隠しきれていない男たちに窘めるような視線を送る。
回りの男たちは居心地悪そうに顔を伏せてしまった。
セーラー服の女は服を正し、ニコニコと壁に背中を預けて話を続けた。
『それでぇー? ライオンくんの見張りの方はどうなったの?』
『はっ、それが……気づかれたらしく、始末されました』
男が一人進み出て言うと、女は『やっぱそうなるよねー』と無感動に呟くだけだった。
『ただ、その………どうやらその一連の流れが“社”の方に伝わったらしく、レドの死体は向こうに回収されてしまいました』
『レドが所持していたオラクルは回収できたのか?』
『カールくんカールくん。そんなの、ライオンくんに壊されたか“社”に回収されたかに決まってるでしょう。で? どっち?』
『はっ、後者のようです』
『あちゃー。『結界柱』が一つ消えたかぁ。こうなるとやっぱり、例の高山少年が一番のカギかー。じゃあ、その件は君に任せたよ』
今まで報告をしていた男はポンと肩を叩かれ、『承知しました』と言う。
『ライオンくんの事もあるし……そっちは私が交渉してみるから、決行は三日後ってところかな。いいよね、カールくん』
『異存はないよ。ただ、交渉が失敗したら、せめて敵対だけは避けてくれよ? まったく、こんな田舎の町にトライS……この国では災害級だったか? それが3体も集まっているだなんて、悪夢もいいところだ』
聖堂騎士序列2位、カール・デア・グローセは頭痛が絶えなかった。
★
阿刀田町には“社”が設置されていない。唯一、退魔師の家柄の神社が一つあるくらいで、拠点とするにはあまりにも不向きな町だ。
幸子と颯真は公浩と連絡を取って情報を共有した後、自然、隣町の“社”を拠点にして通いで阿刀田の情報収集をすることになる。この時、ギーネのことについては仁科黎明に確認が取れたと幸子から聞いた。
ギーネに確認はしていない―――むしろさせていない―――が、幸子たちが遭遇した黒い雄獅子は“女帝”の部下である可能性が高いという結論にいたった、のだが。
(まさか、彼とかち合うことになるとは………“女帝”とどんな因縁があるのか知りませんが、後で親父殿には文句を言っておかないといけませんね)
その雄獅子に士緒は心当たりがあった。よく似た別の鬼、という可能性も否定出来ないが、恐らくその鬼は知り合いだ。
正体を明かせば協力してくれるが、生憎と難しい。今は出方を見るしか無いだろう。
そして、退魔師を祓魔師が排除し、祓魔師は“女帝”に消される、そんな図式の中、幸子と颯馬に頼んだ役目は祓魔師および聖堂騎士の居所を調査することだ。
根城にしていると思われる廃屋はすぐに発見できたが、拠点防衛の術式が多く張り巡らされており、とてもじゃないが二人で潜入するのは不可能とのことだった。
それを現在、鬼王神社の居住スペースにて公浩と、虎太郎やベネディクトを同伴したギーネに報告をしていた。
「うーん……さすがに祓魔師や聖堂騎士の強制退去はこの段階では難しいか。向こうも引くに引けないだろうし、単純に力押しもできない」
“女帝”を倒すために派遣されてきたのだから、間違いなくそれなりの戦力だ。
災害級の実力を前に策の無い敵対は避けたい。
「退魔師協会から教会や大聖堂に正式に問い合わせと抗議が行っている頃だろうが……証拠も無く、祓魔師側にもそれなりの被害が出ているとあっては、向こうも頑なだ」
「そうね。せめて聖堂騎士をなんとかできれば……って、それが一番厄介で問題の本質なのよね」
「僕らの戦力では恐らく聖堂騎士は相手に出来ない。必然的にギーネさんをぶつける事になるんだけど、今までは相手の拠点が分からなかった。でも、今なら……」
そう言ってギーネに皆の視線が集まる。
策と言うほどのこともない。一瞬キョトンとしたギーネだったが、虎太郎の通訳を聞いてこれ以上無いほどのどや顔をしたかと思うと、おもいっきり高笑いをしだした。
『ウハハハハ!! 良いぞ良いぞ! 我ががいしゅーいっしょく、聖堂騎士など蹴散らしてくれるわ!』
ワーハッハッハ、と笑うギーネを公浩はニコニコと見ている。その笑顔のまま虎太郎へと聞いた。
「虎太郎君、ギーネさんで大丈夫なのだろうか。あ、これは通訳しなくていいよ」
「たぶん問題無いと思う。何度か戦うところを見たけど、前に特一級の鬼が出たときも、まさに鎧袖一触だったしね」
ギーネの実力に問題は無さそうだ。
だとするなら、敵の取る手はそう多くは無い。
ギーネの力を押さえ込む何かしらの策を用意するか、すでに抑えこまれている力を発揮させないように虎太郎をどうにかするかだ。
可能性として高いのは後者だろう。敵は虎太郎を狙ってくる。
その考えを皆に伝えた。
『安心せい。我が常に側におれば何時でも虎太郎が我の枷を外せるからの。誘拐の段階ですでに破綻しておるわ』
「それは、側にいないと力を解放出来ないということと、虎太郎君の意識が奪われた場合などはやはり無理ということですか?」
『まあ、そうじゃが……今申したであろう。我と一緒にいる限り問題はない』
「……だといいんですが」
初対面の時は一人でしたよね? とは言わなかった。さすがに空気が悪くなりそうだったので。
『とにかくじゃ! 敵の居場所が割れたなら話は簡単じゃ。我が直接出向いて聖堂騎士どもを始末してくれるのじゃ』
確かに、わざわざ時間を置く意味も無し。このまま敵地に乗り込むのも悪くはないが。
「真田さん、あったのは防衛用の罠の類いだけだったんだよね?」
「たぶん、確認できた限りでは。ただ、さすがに祓魔師の術式にはそこまで詳しくはないからなんとも言えない。分かった事は、攻撃性の術式ってことと、あと……範囲は広めだけど効果が限り無く薄い結界が建物を包むようにあったこと。その結界は攻撃性のあるものじゃなさそうだから、警報用じゃないかな」
少し気にはなるが、恐らくはそうだろう。
情報通りなら今すぐ攻めるべきだが、今日この日になって簡単に敵の根城が判明したのが少し気にかかる、が。
『ワーハッハッハ!! 見ておれ孺子ども! 我ががいしゅーいっしょくじゃーーー!!』
鎧袖一触って言いたいだけのようなギーネだが、今さら止めるのも難しい。
仕方ない。ここは猪の背中に乗るしかなさそうだ。
★
その建物の外観は廃墟とは思えないほどには綺麗なものだった。いわゆるホテルだったものだと分かる程度には。
周囲にあるのは荒れ放題の地面と雑木林ぐらい。人里からも僅かに離れ、いったいどんなホテルを建てるつもりだったのか疑問になる立地だ。
『さて! 敵地に到着したぞ。ハンニバルよ、献策をせよ!』
「まさかとは思いますが、僕のことではないでしょうね? ドイツ人ならハンニバルよりロンメルでしょう」
『細かい事はよい! それともなにか!? 貴様はここまで来て何もせず帰れとでも言うつもりではなかろうな! 怖じ気づいたならば帰っても良いのだぞ? 本来なら我一人で事足りるのじゃからな』
「そうしましょう。みんな、帰ろうか」
「そうだね黒沼君」
「つまらない任務だった」
「じゃあ一人で頑張ってねギーネ」
『姫様ならきっとお一人でも切り抜けられましょう』
公浩に続いて次々と引き上げようとする面々に、ギーネは面食らう。
『あ、あれ? ひ、一人くらい、残っても……良いのじゃぞ? こ、これ黒沼公浩! と、おまけ二人! 貴様らは仁科黎明の協力者である我に協力する義務が――――』
「ありません」
「無いです」
「無いな」
『ぬおぅ、けんもほろろとは………こ、コタロー! ベネディクト! 主らは我の家臣であろう!』
「いや、僕は家臣じゃないし」
『家臣ですが帰ります』
『が~~~ん!! なのじゃ! ほ、本気で言うておるのか!?』
普通に考えて本気で言っているはずがない。
ギーネの弄られ体質はデフォだった。
『う……うぅ……我が……我が悪かったのじゃ~。みな、我を置いて行かないでくれ~』
直臣のベネディクトでさえこれというのはよほどギーネが弄りやすいのだろうか。泣き出したギーネに全員が振り向く。
「ははは、何を謝るんですか? 僕たちはあなたが憎くて去るのではないんです。あなたを信じてこの場を託すんですよ。そういうわけなんで………」
『ま、待ってくれ! 我を一人にしないでくれ~~~!』
ギーネが公浩の足下にすがり付いて来たところでほくそ笑む。
こうやって徐々に調教していけば、そのうち公浩なしではいられないようになり、依存するように仕向けられれば退魔師の、いや、調教師の面目躍如だろう。某カロイドとかは歌わせないが。
『黒沼公浩……恐ろしい男だ』
場の空気も和み、緊張も解れた。
ここからは真剣な空気で臨む。公浩は意識を切り替えて先頭に立った。
「ギーネさんがそこまで言うなら仕方ないですね。では行きますか」
公浩の言葉に『う、うむ! それが良いのじゃ!』とブンブン首を縦に振って頷いた。
そして全員で建物に近づいていく。
すると、軽い反発のような感触を受けながら、幸子が話していた結界らしき術式を通過した。
どうやら簡易的な物理結界だったようだ。通力の弱い者ならともかく、並の退魔師でも軽く越えられるレベルのものだ。
「あ、あれ? ちょ、ちょっとみんなー! 僕だけ通れないんだけどー!」
振り向くと、離れた場所で虎太郎が結界に阻まれこちら側に来れずにいた。
虎太郎は退魔師の端くれだが、その実力は推して知るべし。固有秘術以外は退魔師として底辺の力しか持っていない。
ギーネと離れられても困るので、結界を一部破壊することにする。
その時だった。
「っ!? これは」
『いかん!!』
地面をはしる魔法陣のような術式が光を帯び、建物を中心とした周囲を包んだ。
公浩と、ギーネの言葉を聞いたベネディクトが一斉に虎太郎の元へ駆け出し、拳とサーベルを結界に突き立てる。
ピシッ
小さくヒビが入っただけだった。壊すにはあと何度かの攻撃が必要そうだ。
一瞬のうちに結界の性質が変わり、ある程度の強度を持っている。
これは………罠。
『コタロー! 今すぐ我の力を――――』
解放しろ。その言葉が出る前に、その男は虎太郎の側に立った。
「うっ!?」
当て身を受けて倒れこむ虎太郎を支え、男はなんの予備動作も無くその場から姿を消してみせた。それは明らかに転移だった。
『“リベレイション・アーツ”か!』
大聖堂が定義した固有秘術の英名。
転移の顕や術式は未だに誰かが開発したという発表は無い。
士緒のように秘匿している場合もあるかもしれないが、大聖堂がそれをやる理由も無い。むしろ立場向上のために喜んで発表するだろう。
故に、今しがたの転移が固有秘術によるものという考えは至極当然のものだ。
『やったー! 作戦成功ー!』
英語でそう言いながら建物から出てきたのはセーラー服姿の女。見た目は若く声は幼いが、流石にセーラー服を着る年齢かと問われると首を傾げる容姿だ。
それに続くように現れたのは騎士の鎧に身を包んだ中年の男。
士緒はその男が誰かを知っていた。IRとして動いていた時は強者の情報は神経質なほど集めていたから。
記憶違いでなければ、目の前の男は特別な鎧を装備できる適合者。“大帝”という二つ名を持つこの男こそ、聖堂騎士序列2位、カール・デア・グローセ。
災害級と単騎で戦える力を持つ男だ。
「退魔師たちよ。私は聖堂騎士、カールという者だ」
カールは少しだけ訛りを含んだ日本語で語りかけてきた。
隣に立つ女も「やっほー。少年少女たちー」と日本語を口にしている。
「大聖堂の代行者として、ここに正式に依頼しよう。そこにいる“女帝”、ゲオルギーネの討伐に助力してほしい」
「難しい事はないよ。少しの間だけ引っ込んでいてくれればいいからさ」
大聖堂からの正式な依頼。そうなると末端とはいえ退魔師なら無碍には出来ない。公浩と幸子、颯馬は視線を交わす。公浩が肩を竦めて見せ、二人が頷いた事で意見の一致を確認できた。公浩が代表で話し始める。
「正式な依頼が聞いて呆れますね。あなた方が先日この町に来た退魔師たちを殺害したことはもはや明白です。極論を言えば、あなた方が本当に聖堂騎士かどうかも、こちらは疑わしく思っているのですよ」
もちろん、それは少し盛った話ではあるが、それだけカールたちの信用が無いこと、敵対も辞さないことを分かりやすく伝えたに過ぎない。
カールが渋い顔をこちらに向けてくる。
「それは、退魔師が“悪魔”に加担する行為と受けとるが、それでも構わないか?」
「あなた方に協力したとして、どうせ後で討伐の手柄を独り占めするためにこちらを消すのでしょう? この予想が単なる妄想かどうか、分かってから後悔してもつまらないので」
公浩とカールが睨み合いになる。その様子をワクワクと見ていたセーラー服の女が口を挟んだ。
「そう来なくっちゃ! 言ったでしょカールくん。悪魔に味方する人間は残らず消毒だー」
セーラー服の女はスカートの下から無骨なナイフ……ソードブレイカーを取り出してそれを明確に公浩へと向けた。
「アタシ好みの君はぁー、あっちで良いことしよっか」
どうやらご指名らしい。
他に祓魔師がいるはずだが、それを抜きにしても、相手にカール・デア・グローセがいる以上は戦力的には大差ないだろう。
要はギーネを守りつつ、虎太郎の居場所を突き止め、虎太郎を救いだすのに戦力を割くだけの話だ。としたら、セーラー服の女に一人、残りをカールに充てる以外に僅かな可能性もない。
女は恐らく聖堂騎士。各個撃破を避けるなら公浩かベネディクトが適任だ。
もう一つ、ヴォルフラムなるギーネの配下の動きがいまだに読めないが、姿を見せない以上あてにするわけにもいかない。
とりあえず、公浩が女の相手をすることに問題は無さそうだ。
「セーラー服と組み合わせるならナイフより機関銃の方が良いですよ。コスプレお姉さん」
「あははー。よく分からないけど、もう……やっちゃっていいんだよね?」
殺気が公浩に届くと同時にナイフが公浩の首元を掠める。確実に殺しに来ていた。
公浩は瞬時に身を引いて躱し、代わりに蹴りを女の腹部に突き刺す。
その蹴りは当たり前のように躱され、女は嬉しそうにステップを踏んで距離を取る。
戦いの火蓋はすでに切って落とされている。公浩は攻撃を止めず切り裂くような蹴りと、穿つような拳を女に繰り出した。
「あっぐ!!」
公浩の拳は女がガードのために回した左腕にめり込み、骨と筋肉があらぬ形に変形している。
「あは、あははは……すごいや。今の攻撃、なんの躊躇いも無かった。これなら、女だからって差別される心配は――――」
ギュルン
女の腕からそんなオノマトペが聞こえてきそうな奇怪な動きをして腕が元通りに戻っていた。
「無いよね」
退魔師が比較的に己の肉体面で戦えるのに対し、祓魔師や聖堂騎士は外付けの装備で強さを増す事がほとんどだ。今のも外付けのオラクルによるもののはずだが、女が装備しているのはソードブレイカーとセーラー服、内側はどうか知らないが、見た目からはその二つだ。
どちらかが瞬間回復のようなオラクルと見るべきか。
「カールくーん。なに突っ立ってんの? さっさと残りを潰しちゃってよ。どうしても殺したくないなら捕まえて、後で記憶操作できる奴でも呼び寄せればいいんじゃない?」
少し苛立ち混じりに女はカールに言う。
カールは「やむを得ないか」と呟き、グレートソードを鞘から抜いた。
『子供たちは生かすよ。文句は言わせない』
『了解』
英語による短い会話を交わし、カールがグレートソードを背後に一振りした。
ズガンッ!!
という音とともに廃ホテルは斜めに切れ込みが入り、ズルズルと一部分……小さくない範囲が崩れ落ちる。同時に結界も壊れた。
手加減は苦手だから早めに引いてくれ。そう意図を込めて。
「聖堂騎士序列2位、カール・デア・グローセ………参る」
次の瞬間、フルフェイスのヘルメットがカールの頭部を覆い、戦闘が開始された。




