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防衛戦3

「うえぇ、気持ち悪い…」


攻撃で服が乱れ、体液でシャツが透け、糸の成分かねちゃねちゃになっている俺の姿は、たしかにキリが言うようにえろっぽいのかもしれない。自分視点だといまいち分かりづらいのだが。


「まあ、その体じゃエロいっていうよりマニア向けだなー」


ハハハと笑い飛ばしてくるキリ。悔しいとかそんなんではないがなんか腹立つぞ。


「どこにも向けてないから……。俺は男だぞ」


「その返答はおかしいってか男で供給すら満たしてしまうなんて恐ろしいやつめー」


「大丈夫ですよ。私的にどストライクですから」


「ひ、ひいっ!?忘れたころにアニスのロリコンが発動してきた!?」


無表情で手をわきわきさせてくるアニス。俺は何とか逃げようともがいたが、ねちょねちょの成分のせいで歩くことすらままならなかった。

そのままアニスに捕まってしまい、むんずと抱きしめられてしまう。


「えっ、冗談で終わらせないの!?ここでそのままセクハラするな!」


「ここじゃなかったら大丈夫でしょうか?まあ、私は構いません。どこであろうとリサ様とであればどこでもプレイルームです」


「だからそういうのじゃ…あっ、も、ちょっと、やめ……っ!!」


「……そろそろ話いいか?」


!!!と、この場の全員が振り返った。見ると、そこには先ほどのおっさんが。


いるのすっかり忘れてた。

というか話を遮ってくれて助かった。このままじゃ嬌声をあげるところだった。


「もうあげてたがな……ゴホン、まあ、遠くから見てたがよくやった。予想の何倍もいいチームじゃねえか」


「あ、ありがとうございます…?」


アニスが放してくれないのでそのまま会話する。というかねちょねちょのせいで俺ではどうしようもすることができない。アニスにも蜘蛛の体液が移ってしまったが、彼女は俺であればどこでも飛び込んでくるんだろうか。


「戦い方としちゃ及第点ってとこだ。各々能力があって、役割を果たせてる。……結構ハラハラした部分もあるが、高校生でここまで戦えりゃあ上出来だ。ギルドの下の連中にも見せてやりてぇくらいだ。……だが」


と、おっさんはそこで一度区切った。俺たちは何か言うのも躊躇われ、ごくりと唾を飲み込んで次の言葉を待つ。


「課題としてあげるとするなら、連携の拙さだな。役割分担がそこまではっきりしてんのに何をモタモタすることがあるんだ。互いを信じ切れてねぇんじゃねえか?……そこのチビが一番がんばれよ」


「は、はい……」


むむむ。分かっていたがはっきり言われると傷つく。しかし、ガサツに見えて的確にアドバイスくれる人だ。強いし教えもうまいとは、このおっさんの実力がうかがえる。


「まあ、今回はてめぇらの戦いと人員不足に免じて助けられてやる。ちょうどここが一番手薄だ。まあ俺1人で百人力なんだが多勢に無勢なんでな。今近隣に援軍を呼びかけてるからそれまで防衛を手伝ってくれ。分かったか?」


「は、はい!」


「よし、だらだらしてる時間もねぇ。簡単に説明するぞ。俺らの担当は左の一番高い迷宮から右に8個分までからの防衛だ。主なのはさっきまでお前らが戦ってたので大体だ。お前らは左から三番目らへんのを相手してくれ、ちょっと押されてる。色々疑問やらあるだろうが説教含めて全部後だ、行け!」


「はい!」


「は、はい」


「おっけー」


「了解しました」


各々返事をして走り出す。とはいえ俺とアニスは引っ付いたままだったが、アニスはそれをものともせずに俺ごと走り出し、ついで俺を名残惜しそうに引き剥がした。すぐにニーナがなんかの呪文を唱えて俺とアニスについた汚れを消滅させてくれた。


横一列になって急いで互いに状況を確認する。


「さっきの聞いたわね!前衛はアニスとリサ、後衛がアタシとキリ。守りはアニスがお願い、無駄な思考で足を止めないこと!いいわね!」


「はい。特にニーナ様とキリ様ですが、敵は気にせず魔法をお願いします。危ない時と前に出るときは言いますので」


「わたしは特になーし」


「お、俺も特に…?できるだけがんばるよ」


「よし、もう着くわ!行くわよ!」


戦線に到着した俺たちは、すぐさま攻撃を開始する。


まず最初に俺から。敵の横に回り込み、続けざまに蹴りを放ってゴブリンやらコウモリやら小型の魔物を吹き飛ばす。もみくちゃになって一箇所にまとまり、特に味方のいない後ろの方を一掃させた。


そこでようやく交戦している人達に気づかれたようで、


「お、おい!お前ら何者だ!?危ないから下がって…」


「髭の大剣のおっさんに許されたんできました!今は気にしないでください!」


「え、髭でって……あ、なら分かった!気ぃつけろよ!」


「はい!」


俺は高めに飛び、全体を確認する。敵味方入り乱れていて分かりづらいが、ギルドの者らしき人達が明らかに押されているところがあった。俺は元の場所に戻り、ニーナ達に報告する。


「オッケー、じゃそっちね!行きましょう!」


俺たちの姿を確認した小型の魔物の群れが一部こっちに来たが、ニーナの魔法により吹き飛ばされた。この程度なら造作もないらしい。


目的のところにたどり着くと、さっき戦ったジャイアントスパイダー3匹と交戦しているパーティに出くわした。大きめの盾と長剣を持った人とハンマーを抱えた人が攻撃を防いでおり、もう1人は後ろで魔法の雨を降らしていた。まだ見たことない魔法だったが、威力はだいぶ高いように見える。だがさっきの個体と同じく背に核がないのかあまり聞いていないようだ。

あと弓兵もいるようだが、同様に有効打を与えられていない。


「くっそ、まだかロス!俺も流石にきついぞ!」


「やってるよさっきから!…なのにクソ、全然くたばらない!さっきまで割と余裕だったのに…!」


よく見てみると、周辺にジャイアントスパイダーの死体がごろごろ転がっていた。どれも同様に腹部が破裂しているところを見ると、どうもあれは奴の特性らしい。……ニーナも早く言ってくれればよかったのに。


しかしさっきの口ぶりからすると、他の個体の核は背中にあったんだろうか。なら手こずるのも無理はないだろう、初見ならともかく慣れた相手の弱点の位置が変わってるなんてそう思いつかないだろう。


と、一足さきにアニスが防衛に加わり、素早くその情報を伝える。


「あ、誰だあんた…て、それまじか!?早く考えときゃよかった!おいゼン、頼んだ!」


「分かってる」


「はあっ!?おいトージ、ゼン!何やって……て、それ!」


ゼンと呼ばれた無精髭の不潔そうな男が、すぐさま体を捻ってハンマーを上に向かってフルスイングした。するとなんと、俺ら4人でようやくひっくり返した巨大な化物を、直角にまで跳ね上げてしまった。


「トージ!」


「おう!ロス、準備しとけ!」


今度は盾と長剣の男、トージとやらが腹部の装甲めがけて剣を叩きつけた。一度ではヒビが入った程度だったが、続けざまに何度も振りかぶっていともたやすく装甲を剥がしてしまった!


「よし、離れろ!……ファイア・レイ!」


魔法使いの男が、太い炎のレーザーみたいなものを放った。一瞬で核に到達し、腹を突き抜ける。


「ギィィイッッ!!」


蜘蛛は奇声をあげ、腹部を破裂させて息絶えた。体液が飛び散ったが、さっきほどではない。もしかして火で焼き殺したらそういう感じになるんだろうか。


と、いつの間にやらハンマー使いが別の個体も同様に跳ね上げ、それを弓兵が続けて倒した。矢の先に火が灯されていたから、やはりアレは蜘蛛対策なんだろう。


と、さっきまでの劣勢はなんだったのか、瞬く間に敵を一掃させてしまった。予想以上に強力な人達だった。


「ありがとよ、まさか腹にあるとはな。何度も戦った相手だから思いもしなかったぜ」


「君ら高校生か。今は事情を聞いてる暇ないな。……次は、アレだ」


無精髭の男が差したのは、大型二体と小型の群れ。明らかにこっちを狙い済ましている。


「君達戦えるっぽいし、申し訳ないけどここは協力してくれ!行くぞ!」


「はい!」


状況変化が激しすぎて描写が追いつかないぞ。ともかくそういうのは後か。この俺らとは正反対なむさ苦しい男パーティと共に、魔物に突っ込んでいく。

ちょっと短いです

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