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荒野の椿  作者: クワ


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沢山の援助

 彼女の行動は早かった。

「この写真を見て頂けないでしょうか」

 ワザワザと周囲が言葉が漏れる。

「みなさん、翔陽の国会前でうら若き女性たちが抗議活動をしているのはご存じかと思います」

「これは、その女性たちの姿を映した写真です」

「彼女たちは自分たちの権利を獲得するために、秋川さんという女性司令官を押し立てて戦おうとしています」

「バンブースピアでプロイデンベルクの機甲師団に勝てるでしょうか?」

 視聴しているものがみな首を振る。

「それでも自由のために彼女たちは抗おうとしているのです」

 エリナの演説が終わると割れんばかりの拍手が沸き起こった。

 メリアンの国民はせめて装備品だけでもと言う運動が草の根で広がり武器、お金、食料など続々と集まり、そのお金で魔動歩兵や戦闘騎などの兵器が生産され続々と翔陽に送られた。

「西川さん、どうなされました?」

「あ、いや、凄いなっとだけ……」

「我が国は、正義を行うことが大好きな国民性ですから」

 そう言ってエリナは笑い寄付を集めている人々を見た。

 小さな女の子を連れた母親が、子供と一緒に募金箱にお金を入れている。

 西川は自然と頭を下げていた。

「あはは、西川さん、そこでアリガトをやっても伝わりませんよ」

 エリナは手を引っ張り西川を募金を行っている場所へ連れて行った。

 事実、メリアンの工業力はその他の国が束になってもそう簡単には勝てないだろうと思わせる勢いで生産できるのだが、国民が戦争を嫌がり生産は平時のままだった。

 しかしながら、プロイデンベルクがこのまま勝ち続けるといずれメリアン以外の国々を併合し、そうなってしまうとメリアン1国では対応できないことも国民は薄々気付いていた。

 そこでこの演説である。

 国民は武器やお金をを送るとことにより、自由を渇望する女性を助けたという自身の慈善とプロイデンベルクを抑えるという一挙両得を得る事が出来た。

 また、企業群や政府も集まったお金で生産することは、事が事なので利益をあまり取れないとはいえ懐が痛まずに売り上げにつながるので積極的にキャンペーンを行った。

 その結果、幾重にも連なった輸送船が兵器を満載しつつ翔陽に向かって出航していった。

 驚いたのは翔陽政府である。

 国会の前の騒動からメリアンに伝わり、少女たちへと無償の援助が届く。

 あらかじめ生産されてあった物や、旧型の物はすでに翔陽に向かって運ばれている最中でメリアンとの今後の外交を考えると無下に追い返すわけにもいかない。

 しかも、国内でひっ迫している物資なども大量に運ばれてくるというのは正直な所ありがたかった。

 そこで政府は、国会前で気勢を上げている女性や魔動歩兵、航空騎などの才能がありそうな女性を募集して1個師団を編成することに決め、陸軍大臣を通じ軍へ降ろした。

 軍としても女性だけという事に頭を悩ませたが、陸海軍の将校の娘だったり政治家、官僚の娘などで従軍を志望する者に即効の教育を行い予備士官として各所に配置を行い、訓練を始めた。

 それからしばらくして。

「あれが、デール社のサラブレッドにスカイコブラ、ウィリアム社のD-129とD-118、リロイ社のヘブンキャットにスノーキャット、グレン社のリベンジャーにヘブンダイバーそれにドナルド社のエアレーダー」

「こっちはルーサー社のシップにアランマルコム社のT-38、魔動歩兵もM4テムカセにM5クロウフォードとまあ見本市ですな」

「他は魔銃に魔砲、貨物魔動車、幾重にも積んである魔弾に蓄魔石に食料品」

「どれくらいあるのだ? 数えるのも骨が折れる」

「さすがメリアン、何という工業力」

「しかもこれは一部でまだ来るらしい」

 流石の官僚や軍人の秀才たちも圧倒的物量を目のあたりにし、認識を改めた。

「女性師団に行きわたらせた残りの物のうち、半分を千州に送り残りで1個師団を新設しよう」

「新たな女性主体の師団も考えんとな」

「兵器はまた来るし、我が国も製造しているからな」

「うむ」

 それから数日後、気をよくした軍は新たな発令を行った。

 すなわち、消耗の激しい第11、14師団を千州まで下げて編成しなおし、第6、15,16師団と五平の魔歩をオモテンキャブまで進出させるということである。

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