[fgo 妄想]ツタンカーメンの回想
以下の内容はfgoのツタンカーメンの過去の回想をアンケセナーメン主軸に書いた作者の妄想です。
支離滅裂な文章なのは許して!
───光を觀た。
それは我々が知ってる光ではない。
我々が知ってる光であれば余達であっても納得はせずとも理解は出来る。
であればこの光は何なのか。
ただの現象?否
とうとう頭がおかしくなった?否
それとも彼方の宇宙から飛来した化物(ORT)?否
これは神秘の核心であり、究極の一であり、そして我々を救う光である。
光を求めようとしても既に光は無く、そして二度と会わないという事だけは分かった。
こうして、余の目的が決定した。
この光を創り出そう。いや、この光を超えた何かを創ろう。
不可能は無い。
なぜならば余は神の化身であるファラオなのだから───
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アマルナ とある刻
少女達とファラオ達は祈りを捧げている。
少女達の表情は何とも言えない複雑な顔つきが多く動きもどこか、ぎごちなさを感じる。
「まーた変な事してるナ!」
神殿の中にどさどさと入ってくるのは金髪の髪色を携え、猫耳を頭に付けた踊り子のような格好をしている少女である。
「バステト神、お前をこの地に来ることを許可した覚えはないぞ大人しくブバスティスに帰れ」
「そんな事言ってもこの娘達は猫に夢中だけど?」
「かわいー♥」
さっきの祈りとは裏腹に少女達は表情豊かになっている。
「・・・はぁ今日の祈りは中止とする。」
いつも同じ事が起きているのか、慣れた手つきで儀式をしまわせた。
何時と違ってたのは彼の妻であるネフェルティティが現れた事ぐらいだろう
「あらあら?今日の儀式はもう終わりですか?」
彼女の風貌を1言で表すなら殺生院キアラのような顔立ちをしており、娘達が美人揃いなのも納得な大人の美しさをしていた。
「おお!同士!久しいではないか!」
「ミタンニ王国の視察ご苦労であった!」
「ええ、我がファラオ(夫)。ありがとうございます。」
「ネフェルティティ・・・!」
バステトの先程の緩やかな表情が険しくなる。
「アメンホテプ四世、早くこの女と手を切ってテーベに戻れ。今ならラー様も許してくださる。」
「おのが権力欲しさに信条を捨て去る神官共と何もしない神々。」
「そんな腐った所に戻れと?」
「人間達に手を出さないのは神々と人間が共に歩む際に決めた約定があるからこそ。」
「それを忘れたわけじゃないよナ?アメンホテプ四世!」
「ふん!そんなのもの神ではあらず!神は災害でも無ければ何もしない木偶の坊では無い!」
「俺が求める神は完全な神だ!テクスチャの取り合いという腐りきったこの世を救う神である!」
「そんな神がもし仮に居たとしてもそんなのが顕現すればこのエジプトというテクスチャ自体が滅ぶだろ!?」
「それは永遠の国自体を否定する事になる!つまりは先代のファラオ達の否定だ!」
「そんなのはあまりにも悲惨だ。何かを残そうとした先人の侮辱だ!」
「───黙れ!不完全な神が作った不完全な永遠な国なんぞ行きたくもないわ!」
その言葉を聞いた瞬間、彼女の猫耳が怒髪天を衝く毛立ち表情もどこかの獣のようだ。
その威圧に気圧されたのか娘達が泣いている。
「はっ」
「ごめん、怖かったよナ?」
我に返り、あやすように手に持っていたシンドラムを手に振る
「ふん、信仰を集めるべき神が化物のように暴れ散らかすなど愚の骨頂よな。」
「言う事を聞かないバカファラオよりかは十分マシだと思うけどナ」
「もういい、この地に居続けるなら居続ければ良い。」
「その代わり神々の加護は無に等しい。それがどういう事か身を持って知ることになれ!じゃあな!バーカ!バカファラオ!」
そう言うとそそくさとテーベの方角へと走っていき、あっという間に消えていった。
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「はぁお父様も大概よねぇ」
「全くアテンなんか本当にいるのかしら」
「こら、セテプ。アテン様を疑うなんて罰が当たりますよ。」
「でもメリ姉だって居るかどうかすら分かんない神様より実際居る神様の方が良いでしょ?」
「まぁ一理はありますけれども」
「何もしない神様なんて居ないとの同じようん」
「うーん・・・」
「なーに論破されかけてんのよメリ姉様」
「目で見えないから信じないってなら感情も愛も無いって事になるのよ。」
「愛はともかく、感情も無い人間なんて見たことある?無いでしょ?」
「むー」
「すいません、アンケ。私、頭と口を上手く動かすのは苦手で」
「身体を使う事なら得意なのですけれども」
そういうと豊満に実った身体を無自覚に左右に揺らす。
身体を動かす度に何かしらの文字が浮かび上がってさえ思えるほどの暴力的な身体だ。
「むおー!」
自分達の貧相な身体と比較したのか姉妹達はメリトアテンに襲いいかかる。
「きゃ」
「メリ姉さぁ、やっぱりわざとだよね?毎度毎度胸を右往左往させて胸を揺らすなんて天然じゃあり得ないって」
「だからわざとやってる訳じゃないですってぇ」
半泣きになりながらもいつもの日常を過ごす。
その日常はいずれ来る(きた)終末に対してのささやかな諦めを感じた。
そして彼女らの語らいによって刻は過ぎ、気づけば夕刻になっていた。
「あらもうこんな時間」
「それでは私は来客の準備をするからあなた達は部屋に戻りなさい。」
「「はーい」」
姉妹達と別れ、アンケセナーメンも自分の部屋へと戻るのであった。
しかし足取りは遅くなんたか考え事をしているかのようだ。
(アテンが本当にいるか、かぁ)
アテンとは日輪の形をした地方神である。
具体的に何の神かはわかってはいない。
昔はラーの一つの側面と考えられた事もあったらしいが他の神様みたいに直に会った事は無い。
(さっきは勢いよく論点ずらしで反論しちゃったけど私もどちらかというならアテン否定派なんだよなぁ)
何もしない神様なら居ない事と同じ。
確かにそうだ。
しかしそれを見守りと言い換えれる事も出来る。
神様が何でもやってくれるならそれは怠惰に繋がるし、神様が余計な事をする事で国が滅びるケースだってあり得る。
(現に大昔のエジプトはあの可愛らしい猫のバステトっぽい神によって滅びかけたらしいし)
「うーんでもなぁうーん・・・」
子育てのような終わりのない答えを自問自答をしているとなんだが頭に湯気が出てくるような気がしてきた。
「ま、いっか!難しい事よくわかんないし!」
そもそも私達は政の政略道具
ファラオになるためにどこかの人の妾になるかが大半でそれすら出来ないなら奴隷になって虐げられてしまう。
だからこそ、私達は『女』を磨きあげる。
それが私達の運命なのだから───
「ああ───それでも叶うなら──
もし、叶うのなら素敵な恋がしてみたかったなぁ」
脈絡のない独り言を呟くも居るのはそばに居ているお付きの奴隷だけ
その奴隷達も何の反応も示さない人形のような表情をしており、そんな状況下でこれ以上独り言を呟くと開き直りより虚しさが勝ってしまう。
「はぁ、さっさと帰って違う化粧でも考えようっと」
しかしそれは叶わない。
何故かって?
そりゃもちろん、素敵な初恋がやってくるのだから♪
突然、近くの部屋から物音と女性の悲鳴が聞こえた。
「お許し下さい!お許し下さいませ!」
「ん?なにこの声?」
声を探っていると左側通路の奥地にある扉が空いている事に気付く
「ここはクソ親父以外入れない立ち入り禁止の部屋・・・?でもどうしてここに女の声が
?」
「ああ!お許し下さい!このままでは私!満たされてしまう!(幸福になってしまう!)」
暴れる女は地べたを這いずりながらも必死に扉の方へと向かうが何か白い手に足を掴まれ反対方向へと向かった。
「いやああああ!」
その悲鳴は徐々に声が小さくなりまるでその悲鳴は初めから無かったかのように無音となる。
「・・・ふむ、統一化は成功したか。」
「アトラス院も中々の素材を提供する。たった1人で数十人程の魔力濃度とは」
「しかし、奴らがいつ敵になるかは分からん。これ以上の支援は返って危険か。」
そこに立っていたのはアクエンアテン。
クソ親父が立っていた。
「■■■」
「おお、言語体系を獲得するとは上出来だ。」
「■■■」
「自我が芽生えた瞬間、己の理ではある『解明』に奔走するか。良いだろう」
「そうさな、先ずはこちらから問おう。この国・・・この世界を見てどう思う?」
「■■■」
「確かにこの国は賢く知恵に長けている。しかし、知恵が長けているからとはいえ愚かでは無いとは限らん。」
「知らない方が最善だったなんていう事もあるものだ。」
「■■■」
「いやはやすまんすまん、含みある言い方で誤魔化してしまったな。なら本題に入ろう。」
「この世界は全てテクスチャで出来ており、この世界はテクスチャの陣取り合戦だ。」
「例えば北のギリシアであればギリシア独自の神が存在し、そのテクスチャ独自の物理法則に従って行われる。」
「ギリシアのテクスチャを我々エジプトのテクスチャが侵食をすれば我々エジプトのテクスチャの法則に従うようになる。」
「そしてこのテクスチャが存在するからこそ神は居続けるのだ。」
「逆をいえばテクスチャが無ければ神は存在出来ない。」
「つまり我々ファラオはこの地のテクスチャを維持と拡張を目的とした『楔』なのだ。」
「その楔は信仰心を大量に集めれる適性があれば誰でも良い。だからこそ血縁もない者がファラオになれる。」
「永遠の国という餌を与えてな。」
「■■■」
「別に我々の神々は人類に対して愛が無い訳では無い。」
「大昔はともかく今の神は人類と共に歩むという意識で一杯だろう」
「■■■」
「ならばなぜこんな事をしていると?そうさな・・・」
「余は許せなかったのだ。」
「主神さえコントロールできる女神イシス。月の究極の一に知恵比べで勝利し、全てのテクスチャに時間という概念を付与させたトート神。」
「そして圧倒的力を誇る主神ラー!」
「他のテクスチャと比べて圧倒的に聡い我らがなぜ!?人殺しを許容するのか!?」
「そうだ!我らは地位は全て誰かの血によって支えられている。」
「それが本当に正しい事なのか!?」
「だからこそ、余は我らを知る神を凌駕した神を創り出す!」
「余が求める完璧の『神』を!」
「■■■」
「我が妻(同志)も同じ考えかだと?」
「もし、そうなら余はこんな独り言のように言っては居ない」
「アレは同志であり、アテン神の信仰もあるが、目的として根本的にそして致命的に違う。」
「同志の最終的な救いは自分のみを救う救いだ。それではただのエゴでしか無い。」
「まぁ余も他の人間から見れば大差が無いのだろうな。」
自嘲気味に呟くと白い手が彼の周りを包み込む。
「■■■」
「確かに、この世界は『創作物(本物)に最も近しい現実(偽物)』だな。まさに言い得て妙とも言える。」
「だからお前が私を導いてくれ私の神、『トゥト・アンク・アテン』。」
「・・・」
ポツンと立っている少女アンケセナーメンの視線は父親にではなく白い球に向けられていた。
さっきの話はきっと世界基準で言うなら重要な事なのだろう。
しかし、彼女はそんな事はどうでも良かった。
否どうでも良くなったのだ。
「・・・あ、好き・・・」
頬を赤らめる。
呼吸が乱れ何だが風邪っぽい。
足もガクガクして歩き方を忘れた小鹿のよう。
───そう、彼女は神様に恋をしたのだ。
彼女は限界に達したのか、扉の前でへたりと座り込む。
その座り込んだ音は中にいる人が気づくには十分な音だった。
「しまった!?」
「何故ここにいる、アンケセナーメン。ここは立ち入り禁止だと言ったはずだ。」
「扉が空いてたから閉めようかと思いまして・・・」
「なるほど確かに外部から部屋を開けた痕跡は無いな。」
石版らしきものを確認すると納得するように頷く、どうやらこの部屋には何かしらの魔術的仕掛けがあるようだ。
「お前達家族には追々紹介しようと思っていたがまさかこんな形になるとはな。」
「紹介しようお前の異母弟になる『トゥト・アンク・アテン』だ。」
指さした「それ」は太陽らしき白き球
そして無数の手のような物が球から生えている。
そして、良く見ると球の中には赤児が埋め込まれており、白い手がへその緒のように赤児と連結している。
まるで女性の腹の中をそのまま外に出したかのような異質さだ。
奴隷達は「それ」を神ではなく化物のように見つめる。
それもそのはず我らが知っている神とは異質な赤ん坊の化け物なのだから
しかし、彼女だけ反応が違っていた。
彼女の表情はどこか恍惚としており、うっとりしている。
息もどこか荒く頬もどこか赤みを帯びている。
(ああ、やっぱり良い・・・♥)
一目惚れならぬ二目惚れ。
最初見た時より感情が大きく揺れでいるのが骨の髄まで伝わってくる。
それは家系的にも人間的にもインモラルな感情であった。
その視線に気付いたのかは最中ではないが、アクエンアテンの目は鋭く険しい表情になっている。
「娘は許したがお前達は駄目だ。」
「ここで消えてもらう」
「ひっ・・・」
矛先は奴隷に向かい、奴隷達は先程の女の末路が脳裏に浮かんだのかあんなに無表情だった顔つきが恐怖で歪んでいる。
「私達は何も見ておりません!どうかお許しを!」
「何でもします!だからどうか!」
「駄目だ」
「待ちなさい!」
切羽詰まる状況を変えたのはアンケセナーメンだった。
「確かにこの部屋の中を見たのは私含めて確かだわ。」
「でも部屋に入ったのは私だけよ。」
「ここは立ち入り禁止ってだけで見ちゃいけないなんて書いてないわよ。」
「それは詭弁だ。言葉を自分の都合よく解釈するな」
「なら私がこの全ての奴隷に言いふらしやるわ。信じなかったら無理やりこの部屋に入れさせてやる!」
「それとも身内でも遠慮せず消すのかしら?そんな事すればこの神様は救いというより独裁者の神様ね!」
「・・・はぁ、全くいつも以上に頑固な奴だ。」
「明日、同志や娘達にも神を紹介する。」
「それ以外には他言無用。破れば例え家族であっても相応の罰を与える。約束できるな?」
「ええ、約束するわ」
「アンケセナーメン様・・・!」
「それじゃあ失礼するわね」
そう言った後、彼女と奴隷達はそそくさとその場から後を去り、彼女の個室へと移動した。
数分前の無表情な顔つきとは違い、まるで命令すれば親でも恋人でもいとも簡単に成し遂げてしまいそうなそんな尊敬の念を感じ得れる顔つきだ。
「何か言いたげね。口を開ける事を許可するわ。」
「はい、ありがたき幸せ。」
「先ほどは大変誠にありがとうございます。」
「お嬢様には感謝してもしきれません・・・」
「別にただあそこで何もしなかったら印象が悪くなるんじゃないかって思っただけよ」
「私、アンケセナーメン様にご命令されれば何でも致します。何でもご命令くださいませ」
「さぁ!さぁ!ご命令を!」
彼女は自分に顔を近づけ、目は何か星型のようにキラキラと光っているように見え、鼻息が荒くなっている。
まるで女性の顔と身体をした男性のようだ。
「あーわかった、わかったわよ。それじゃあねぇ・・・」
「化粧のやり方教えてくれないかしら」
「え?」
「何よ。何か不満な訳?」
「い、いえ!そのような事は・・・」
「化粧ならアンタ達がやってくれるから覚えなくて良いのでは・・・?はっ!まさか私達の化粧に至らない所があるんじゃないかしら!?みたいな顔してるわよ」
「っ・・・!」
どうやら図星のようだ。奴隷達が同じ表情をしている。もはやこの人数が一斉に同じ反応を示すのは何かしらの美しさを感じ取れるだろう
「別にあんた達の腕に不満があるわけじゃないのよ。ただ・・・」
[ただ・・・?」
「ちょっと自分の考えた化粧でも試してみようかなって・・・」
少し頬が赤くなる。
どうやら喋りながらもあの赤ん坊のイメージが過ったのだろう。
「あらあら」
奴隷達が口を手に抑え何か言いたげそうだ。
「な、何よ!あんた等!?その表情ずっとしてるなら死刑にするわよ!?」
照れ隠し気味に怒りで誤魔化す。
「かしこまりました。では化粧の仕方なのですが・・・」
奴隷達の指南もあるが生まれて初めてやる事。
自分でやるという発想すら至らなかった自分にとっては化粧を行うなんてのはとても難しい事だった
「あー全然できなかったわ・・・」
「いえ、アンケセナーメンお嬢様。最初は誰でも出来ないものです。私達なんてこれ以上よりもひどかったんですから」
「あーはいはい。フォロー助かるわ」
「ですがアンケセナーメンお嬢様。化粧を行う人にとって一番重要な事。それは誰かに見てもらいたいと意識する事です。お嬢様はその意識が一寸の狂いも無く行き届いておりました。」
「まぁ、今日はそういう事にしておいてあげるわ」
「そういえばあんた達、明日だけはメリ姉様の担当の当番よね?」
「はい、担当するのは初めてになります。」
「なら目線に気を付けなさい。メリ姉様は足以外見ると即効死刑にするから」
「え?」
「メリ姉様は身内には優しいけど身内以外には容赦無いのよ。だから同性相手でも身体を見られるのは不敬行為として見られるから」
「私みたいに容赦しないから気を付けなさい!」
「はい!ではアンケセナーメンお嬢様!お休みなさい!」
互いに手を振り、残った奴隷達は部屋の外にいる衛兵と並び待機している。
部屋には私しか居ない。数少ない自由な時間だ。
「はぁ、今日は色んな事があったなぁ」
今まで無口だった奴隷達といつの間にか仲良くなってるし
あのバカ親父に一言言っちゃったし
それに・・・
「なんで彼から頭から離れないんだろう・・・♡」
確か名前は「トゥト・アンク・アテン」
略すならツタン君かな。
「ツタン君・・・ツタン君・・・ツタン君・・・!」
呼びかける毎にまたしても感情が昂る。
(もし許されるなら今すぐにでも彼に会いたい。会ってずっとお世話したい・・・)
赤ん坊の神様に恋をするなんておそらく全人類初めてに違いないだろう。
そもそも赤ん坊の顔なんて似たり寄ったりなはずなのにどうしてこんなにも好きという言葉が心から浮かびあがるのか。
そんな理由を探そうとしても答えは見つからない。
そしてふとある疑問が浮かび上がった。
それは彼の母親の存在である。
彼の近くに母親らしき人は居なかった。
そもそも私たちのように普通に出産した風には見えないためおそらく魔術的な何かで生み出されたのだろう。
しかしどんな風に生み出されたとしても人は人。
ということは母親代わりの乳母が必要になるだろう。
基本乳母は配下が行うがもし王家の中でやるとなると
王家の中で乳母の役割が可能そうな人物と言えば母様か、メリ姉ぐらいだ。
(母様は絶対やらないとしてメリ姉は喜んでやりそう)
そう思った瞬間、自分の中にあるピキッと何かが割れる音がする。
「羨ましい・・・妬ましい」
もし出来ることなら私が乳母になりたい。
一生どんな時も側にいて支えたい。
そんな思いが連なり胸が苦しくなる。
そしてその苦しみは徐々に殺意に近しいものへと転じた。
こうして彼女の中の優先順位が定まった。
ツタン君か、ツタン君以外か、だ。
「はぁ、ちょっと前は自分もまとも側だと思ってたのになぁ」
私の家族は異常者の集まりだ。
母様は表面上は王家の母親として振舞ってはいるが本性はただの自己愛に満ちただけの人
クソ親父ことアクエンアテンは何も争わない事を主軸にした救いであるがやってる事は国の衰退という異端な奇行。
姉妹達も色んな意味で特殊な人間が多い。
代表するならアン姉様だろう。
彼女は身内、つまり家族に対して異常な愛がある。
家族を守るためなら彼女は他人をいとも簡単に傷つけることができる。
そして私はそんな異常者を下に見て、自分のことを上だと思い込んでいるまともで矮小な人だった。
しかし彼と出会って全てが変わった。
例え全人類に異常者と誹りを受けようとも
例え全人類、全神様を敵に回してたとしても彼を愛したいと思った。
そして明日になり、ツタン君は私たち家族に受け入れられた。
そんな思いを重ね、私は彼のお世話係として数年の時が経った。
いろんなことがあった。
いろんな悲劇があった。
国は衰退し始め、神々も人も混乱の最中にいる。
しかし、私はそんなのを細かく覚えてはいない。
私が覚えていることはただ一つ
ツタン君が無事に生きている重要な事実だろう。
しかし、彼には重大な疾患があった。
それはある種神々の呪いに近しいものだろう。
神々も自分たちが消されないよう躍起になっている。
意地汚く陰湿な神々とも言ってもいい。
そして更に問題があった。
それは───
「己は人が大好きでありまする。」
「大好きだからこそ己は人の事をもっと知りたい。己の力で汝達の事が知りたい」
「だからこそ、己は人のために世界のためになるのであれば何でも致しまする。」
彼は唯一神らしく全ての人類を愛していた。
極悪非道な人も聖人のような善人も等しく愛を向けていた。
そして私のことも愛しているのだろう。
しかし、それは人が人に対する愛では無い。
表面上はそう見えるかもしれないが本質は全く異なる。
彼の本質は『人類愛』
全人類を味方にする『人類愛』の神様だ。
しかしそんな神様の本質と在り方は違う。
アテン神は存在し続けるだけでテクスチャを剥がす。
つまりは星を元の姿に戻す漂白する力を持っている。
どれだけ人を愛そうとしても彼が人を知る度にその力は大きく増す。
つまりは彼は古代エジプトにおける『人類悪』の終末装置だった。
しかしこの終末装置は他のテクスチャさえも剥がせる力を持っていた。
そしてエジプトの神々は決断した。
その決断とはツタン君の在り方を変えようとする事である。
ツタン君を殺害しても意味はない。ただ爆弾が爆発するだけだ。
だからこそ、ツタン君の在り方自体を変えるという事だ。
その方法とは神々の名に名を変える事。
言葉だけ見るなら簡単そうに見えるが実際には全く異なる。
在り方を変えるという事は自身の器にその在り方を変えるという事だ。
身体の負担も大きく疾患も増える。
ツタン君は世界のために人のためにその提案を受け入れた。
何故ならば彼は人類にとっての都合の良い神様なのだから。
そしてそれを止めるには私の力はあまりにもちっぽけだった。
そしてツタン君は様々な在り方を与えられた。
ある意味人格も変わるほどの激痛が伴う行為を行いだった。
この行為により、ツタン君の中にいるアテン神は封じ込められたのだ。
これにより、アマルナは滅び、テーベへと移り変わった。
もはやこの頃にはクソ親父も死んでいるだろう。もはや歴史にすら無い。
そして彼はファラオとして祭り上げられた。
傀儡に近いファラオだ。
人類に奉仕する神様というのは言うなれば都合の良い親のようなもの。
人々は都合の悪い事をツタン君に押し付け堕落していった。
そしてツタン君は器の限界が来たのか、またしてもアテン神が暴走してしまう。
神々はまたしても人のためにと人々を人質に彼に対して命じた。
その命令とは「歴史から名を消して死ぬ事」
アテン神という存在自体を完全に無くす事によりエジプトの神代は守られる。
そのために彼の死は絶対という事。
私は怒り狂った。
散々使い捨てのように使われたのにも関わらず何にも報われず
名すら残らない。
そんなのがあっていいのか。
彼は何のために生まれたのか。
そんな怒りがもし、力に変えれるなら間違いなく私は神々を滅ぼしていたに違いないだろう。
しかしその命令さえもツタン君は承諾し、ツタン君は死んだ。
感情が暴走した私か誰かに殺されたのか、それとも悲運な運命という名の神々の謀略かは定かではないが
結果としてツタン君は死んだのだ。
そしてツタン君の葬式が早々と行われた。
まるで作業のように淡々と行われあっという間に彼は地に埋められた。
自身の名を消して
「あーあ。ツタン君は死んじゃった」
「でも仕方ないよね。それが『運命』なのだもの」
そっけないようにふるまうも声が震えている
そんなはずがない!そんな運命認められない!
そう言えればなんとよかったのだろう。
そして私ももうすぐ死ぬ。
どんな死に方は覚えてはいないが最後にこう思った。
ツタン君に真の幸福を
その願いは神々に対してでもなく、人に対してでもなく
そう、運命に対して───
完
「
なんかあんまり上手く書けなかった・・・




