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メンヘラDr.ゆな  作者: finalphase
The First Season 医療危機発生
2/29

第2話 合理的配慮

慶東病院に、新しい医師が来ることになった。名前は、田村ゆな。この病院にはたまたま女性の精神科医は少なかった。よって、新たにここに勤務することになる彼女は自ずと注目の的になった。院長である東蓮人から、医局の全員を対象に通達があった。

「彼女は自閉症スペクトラム障害と統合失調症、及び独自の精神疾患を抱えている。この病院に勤務するにあたって、彼女には合理的配慮が必要だ。彼女の抱える具体的な困難は、敬語が喋れない、方向感覚が分からない、文字が読めない、時々情緒不安定になる、人の名前が覚えられない、礼儀や作法が分からない、人と会話するのが苦手、車の運転ができないということだ。精神科医としての実力は確かなので、皆もし彼女が困っていたらサポートしてあげてくれ。」とのことだ。

合理的配慮とは、障害のある人が社会生活で直面する障壁を取り除くために、個々の状況に応じて行われる配慮のことだ。障害を理由とする差別の解消を目的としており、人権と基本的な自由を保障することを基本としている。

「合理的配慮か。そんな言葉初めて聞いたぜ。」と健斗。

「しかし、自閉症スペクトラム障害も統合失調症も現代の医学においては、明確な治療法が確立されているから日常生活に困りごとはないはず…独自の精神疾患というのが気になるな。にしても、精神科医として優秀だといってもね、あの量の困りごとをすべてサポートできるかっつーの。」と優斗。

目の前のドアが開いて、噂の女が入ってくる。健斗は息を飲んだ。だいぶ前に目にした、夜道を歩く女子中学生らしき人物の姿がそこにあった。彼女の隣には院長が付き添っている。

「私、今日から、この病院にお世話になる田村ゆなっていうの、みんなよろしくね。」

彼女はたどたどしく話した。見た目は完全に女子中学生だが、実年齢は三十路前後らしい。

「あいつ本当に大丈夫なんか?」、健斗が優斗に話しかける。

「さあな、それより何なんだよ、あの服装。」

「あれは地雷系と言ってな、まあ要するに昔の言葉で言えばメンヘラっぽいダークでかわいいファッションってとこだ。」

「そんな言葉聞いたことねーぞ。」

「ったりめーだろ。現在では完全に死語だからな。」

「何か雰囲気暗め出し、やばい雰囲気が漂ってるよな。」

その日は、健斗も優斗も患者の予約がいっぱいだったため、彼女の様子を見ることはできなかった。

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