第3話 難破師
健斗はゆなに3日間の猶予を与えてほしいとお願いしていた。その期間の1日目のことである。慶東病院に、また新たな医師が転属してきた。彼の名は一ノ瀬和夫。健斗と優斗は彼のことについて噂をしていた。
「一ノ瀬和夫は、優秀な精神科医だが、女癖が悪いことで有名だ。」
「前の病院でも問題になったらしいな。」
「横山先生、君は彼に好きな人を取られないよう気をつけたまえ。」
「好きな人?」
「悪いね。実はだいぶ前に君と田村先生がドライブデートしてるの見ちまって。まあ、せいぜい頑張ってくれたまえ。」
「あのなぁ、あれは彼女が車の運転を俺にお願いしてきてだな…」
健斗の説明を優斗は完全に聞き流している。院長に紹介を受けると、背の高い男が堂々と室内に入ってきた。
「よろしく、諸郡。今日からここの病院でお世話になる一ノ瀬和夫だ。この病院は前の勤務地に比べレディーの数が少ないな。」
「あの難破師のような喋り方何とかならんのかよ。」と健斗。
「女が多いとトラブルを起こすからこの病院に来たんだろうな。」、優斗も小声で呟く。それから、彼は田村ゆなに付き纏っていた。彼女が廊下でえづいていれば、
「大丈夫かい、レディー。」と言って面倒を見るし、ゆながベランダに出ていれば「美しい乙女よ。外に出るのは良いが、綺麗なボディを傷つけるのは辞めたまえよ。」というありさまだ。




