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魔法王国国立魔法学院魔法学科1年魔女見習いアーヤの夏休み

作者: 夢朱雀 琉鬼

……魔法王国がどこにあるかは知られていない……


美少女バトルアンドロイド・カーリンは、夏のある日の昼下がり、リフレッシュするために森の中を散歩していた……


清々しい森の中……チョコバードの鳴き声……甘い香り……カーリンは嬉しくなって歌を歌い始めた……


だが、すぐにカーリンは歌うのをやめた


なぜなら前方奥にある空間が突然グニャリとゆがみ、その空間が左右にゆっくり開いたかと思うと虹色にうごめく飴細工のような中から人族の形をした物体が転がり出してきたからである


カーリンがゆっくり近づいていくと、その物体は突然ムクっと立ち上がったので、カーリンは即座に戦闘態勢をとった


だが、見覚えのある顔だった……


「あれっ? カーリンお姉ちゃん?」


「えっ、アーヤちゃん?」


カーリンに話しかけてきたその物体はまぎれもなく魔法王国に住む、魔法王国国立魔法学院魔法学科1年の魔女見習いアーヤであった……


アーヤはアイスの魔女セリーナの従姉妹いとこである


カーリンは、麦わら帽子をかぶりサングラスをしたアーヤのそばに近づいた……麦わら帽子の上には学校の校章のようなものがデザインされた、割と大きめの旗が刺さっていた


「その頭の上に刺さっている旗って……というか何でここに?」


「あっ、この旗? これは魔法学院の紋章だよ……えっと、ここには、夏休みだから、セリーナお姉ちゃんのとこに遊びに来たんだよ」


「そうなんだね、じゃあカフェ・ド・セリーナに行くの?」


「うん、そう……カーリンお姉ちゃんも一緒に行く?」


「いえ、ごめんね、私はこれから行くところがあって……」


「分かった、じゃあ、またね、カーリンお姉ちゃん」


「うん、またね、アーヤちゃん」


カーリンはそう言うとそのままアーヤとすれ違い、ヘラ城へと続く道を歩いて行ったのだった


アーヤはしばらくその後ろ姿を見送っていたが、カーリンの姿が小さくなったところで空を見上げ胸いっぱいに深呼吸をするとカーリンが来た方向にあるカフェ・ド・セリーナの方に歩き始めたのだった……






月の女神アルテミスが治めるアルテミス国の森の中にあるアイスの魔女セリーナの店、カフェ・ド・セリーナに着いたアーヤはドアを開けた


まずアーヤの目に店内のオシャレな内装が目に飛び込んできた後、コーヒーのいい香りがしてきた


店の左側にあるカウンターの向こう側にいるこの店の店長、巨大な白熊の獣人、カゴシャンがアーヤの方を見て言った


「いらっしゃ……あれ、アーヤちゃんだ、セリーナ様、アーヤちゃんですよ!」


すると店の1番奥の席で、この店の近くの草原にあるコンビニエンスストア、ササーヤンマートのオーナーでもある大賢者ササーヤンと昼ごはんを食べていたセリーナがアーヤを見て言った


「えっ? アーヤじゃないの! 一体どうしたの?」


するとアーヤはセリーナのそぱまで歩いてくると言った


「ねぇ、セリーナお姉ちゃん、どっか連れてってよ……私夏休みにどこにも連れて行ってもらえてないんだよ……もうすぐ夏休みも終わっちゃうし……このままじゃ、新学期頑張る意欲が湧いてこないよ」


そう言ってアーヤは口をとんがらせた


「じゃあ、ササーヤン研究所にいくやん」


横から大賢者ササーヤンが割って入ってきた


「えー、嫌だよー、楽しくなさそう」


「どういうことやん!!!!」


「まあまあ」


ササーヤンが大人げなくアーヤに詰め寄りそうになったのを見てセリーナがササーヤンをなだめながら続けて言った


「とにかく、まず、ここに座って昼ごはん食べなさい、ランチでいいわよね?」


「う、うん……」


アーヤがしぶしぶセリーナの隣に座るとセリーナはカゴシャンにランチを注文した……






3人がランチを食べ終わると、アーヤが言った


「セリーナお姉ちゃん、デザートにホワイトチョコレートの板チョコアイスが食べたい!」


「えっ……ええ、分かったわ」


だがカゴシャンがホワイトチョコレートの板チョコアイスを持ってくると、アーヤは再び口をとんがらせた


「セリーナお姉ちゃん、これ、ちっちゃ過ぎるよ、私は、もっと大きいのが食べたいの!!!!」


「もう……仕方ないわね……」


セリーナは空中から魔法の杖を取り出すとホワイトチョコレートの板チョコアイスに向けて軽く振った


するとホワイトチョコレートの板チョコアイスは突然その場に浮かんだかと思うとどんどん大きくなっていき、およそ縦1m、横2mの巨大ホワイトチョコレートの板チョコアイスになりぷかぷか浮かんだのであった


「わぁー、すごい! セリーナお姉ちゃん、ありがとう!」


「ええ、でも、このアイス、とっても美味しそうね、私も食べていい?」


「うん、いいよ」


「じゃあ、私も食べるやん」


「えっ、ササーヤンお姉ちゃんも? まあ、いいけど……」


3人は縦にぷかぷか浮かんでいるホワイトチョコレートの板チョコアイスの後ろ側に回り込み、フォークやスプーンでガリガリ削りながら食べたのであった


それをチョコの表側から見ていたプーシャンはつぶやいた


「えっ、ホワイトチョコレートの板チョコアイスから足しか見えなくなってるけど……セリーナ様……他のお客さんがいる中で何をやってらっしゃるのか……やれやれ……」


だがプーシャンの心配と他のお客さんの視線をよそに、そのホワイトチョコレートの板チョコアイスはものの10分足らずで完食されたのであった


ただ、ホワイトチョコレートの板チョコアイスの8割はアイスの魔女セリーナがものすごいスピードで飲み込むように食べたのであったが……






「あっ、そうだ、忘れてた!」


セリーナは突然そう言うとパチンと指を鳴らした


すると身長50cmくらいの中世の貴族のドレスを着て日傘をさしている、まるで貴婦人のような女性が現れたのだった


しかも、その貴婦人の背中には妖精のような羽がついており羽ばたいて空中を飛んでいる


「お呼びですか? セリーナ様」


その貴婦人が会釈えしゃくをしながらセリーナにそう言うとセリーナは言った


「ああ、ごめんなさい、レディ・シャーベット、例のものを取ってきてくれるかしら」


「かしこまりました、セリーナ様」


そう言うとレディ・シャーベットは厨房の奥に飛んで行ったかと思うとすぐに戻ってきた


手には……いや両手で抱えているのは、3枚のクッキーであった


「アーヤ、これは今度から食後にお客様へお配りしようかなって思って私の使い魔レディ・シャーベットと開発中のフォーチュン・クッキー、つまりおみくじクッキーよ! クッキーの中におみくじが入ってるから食べてみて」


「う、うん……分かった」


アーヤはセリーナから手渡されたフォーチュン・クッキーをかじると中からおみくじが出て来た


「さあ、開いてみて」


「うん」


セリーナに言われてアーヤがおみくじを開くと、そこにはこう書かれていた


大当たりだよ! アーヤちゃん! あなたをアリーシャ公国にあるテーマパーク、アリーシャランドへ、ご招待しちゃうね! 夏の思い出、いっぱい作ろうね! アイスの魔女セリーナより


「えっ、ええー、あ、ありがとう、セリーナお姉ちゃーん!!!!!!!!」


アーヤはセリーナにしっかりと抱きつき、セリーナはしっかりとアーヤを抱きとめたのだった


「でも、セリーナお姉ちゃん……アリーシャランドがあるアリーシャ公国へどうやって行くの? 遠いよ」


「まあ、まかせときなさいって!」






その夜のこと……2人、いや3人は、なぜかエルフの国にあるエルフ湖のそばを歩いていた……


「ちょっと、ササーヤン、なんであなたまで着いてきてるのよ!」


「えっ、だって、どうやってアリーシャランドまで行くのか気になるやん」


「とかなんとか言っちゃって、ササーヤンもアリーシャランドに行きたいんでしょ」


「バレてるやん」


その時、突然ゾンビが、次から次へと地中からボコボコ現れた


「わっ! ゾンビだ、セリーナお姉ちゃん、怖いよ」


「まかせといて」


セリーナはすぐに魔法の杖を取りだし、たくさんのゾンビたちに向かって魔法を放った


「グラビティ・ショットガン・レベルファイブ!!!!!!!!」


すると重力魔法により、たくさんのゾンビたちの体がどんどん重くなり、すぐにゾンビたちは1歩も動けず膝をつき、両手をつき、さらに這いつくばり、ついにはゾンビ自身の重みで地中に沈んでいったのであった


「さすが、セリーナお姉ちゃん!!!!!!!!」


アーヤはそう叫ぶとセリーナに抱きついた


セリーナはアーヤの頭をでると、そのまま、3人は再び歩き出したのであった






「さあ、着いたわよ」


「ん? ここは、エルフレイクサイドアリーシャホテルやん」


「そうよ、ここは、ハーフエルフであるアリーシャ様の叔母様、エルフの国の女王様がめいのアリーシャ様のためにエルフ湖のそばに建設されたホテルよ……この深いエルフの森に囲まれた大きなエルフ湖のそばにあるこのホテルはまるでお城のように見えるでしょ……外観だけじゃなく、本当にお城のように頑丈な作りなのよ……それは、元々アリーシャ様がここから海軍士官学校に通うつもりでおられたから、アリーシャ様を、お守りする近衛兵や側近達も住めるように守りを固めた事実上お城そのものというわけよ……そしてその時、私はアリーシャ様に呼び出されて、あるアイデアを出し魔法をかけて差し上げたの」


「アイデアと魔法ってどういうことやん?」


「ええ、それは、あの当時はアリーシャ様もご自分に危険が迫っているかもって感じておられてて、もしもの時の逃げ道を用意したいとおっしゃられて、私に何かアイデアはないかと訪ねられたから……それなら、このエルフ湖とアリーシャ公国のアリーシャランドの中にある湖とを繋ぐ魔法の鍵をセットしたらどうでしょうと提案したら、是非にとおっしゃられて」


「それでそれで? 魔法の鍵をセットとはどういうことやん!」


ササーヤンはいつになく興奮している……


「魔法の鍵をセットっていうのは、ある条件がそろった時に、このエルフ湖からアリーシャランドの湖へワープできるように魔法をかけておくことよ」


「ある条件とは何やん!」


「そのある条件とは、このお城みたいなホテルの壁の周りというか、ホテルの上には、いろんな遊園地みたいなアトラクションとか彫刻とか不思議な物がいっぱい引っ付いているでしょう?」


「たしかに、不思議な物がいっぱい引っ付いてるやん」


「まあ、ほとんどフェイクの為につけてもらったんだけど、その中で重要なのは、お城の壁のいたるところに張り巡らされているジェットコースターのレールと、お城の上にある観覧車とメリーゴーランドなの……観覧車とメリーゴーランドは隣同士にあって、その間をジェットコースターのレールが通ってるんだけど……まずジェットコースターの前に着いているアリーシャ公国の紋章を、観覧車とメリーゴーランドの間に来るように止めて、次に観覧車の中のゴンドラで、外側にアリーシャ公国の紋章が着いているゴンドラの紋章をジェットコースターの紋章の真横に来るように止めて、最後にメリーゴーランドの1番豪華な馬車にだけ着いているアリーシャ公国の紋章をジェットコースターの紋章の真横に来るようにして、ちょうど3つの紋章が1列に並んだ時、魔法の鍵は開かれ、エルフ湖からアリーシャランドの湖に続く扉が開かれるように魔法をかけておいたのよ」


セリーナの説明が終わりエルフレイクサイドアリーシャホテルの入り口には鍵がかかっていることを確認した3人は来た道をエルフ湖のそばまで歩いて行き、振り返ってホテルの方を向くとセリーナは、おもむろに魔法の杖を取り出し勢いよく頭上に振り上げ、ササーヤンに言った


「そして、その時に、そのお礼としてアリーシャ様から、6セットのネックレスとイヤーカフをいただいたのよ」


「えっ、驚きやん、つまり、それは……」


「じゃあ、いくわよ」


そう言うとアイスの魔女セリーナは、一気に魔法の杖を振り下ろした


その次の瞬間、突然ジェットコースターと観覧車とメリーゴーランドの電源がつき、それぞれがゆっくりと動き出した


そしてものすごい勢いでホテルの壁の周りを進み出した紋章のついたジェットコースターが観覧車とメリーゴーランドの間でピタッと止まった


次に観覧車の紋章のついたゴンドラがジェットコースターの真横でピタッと止まり、メリーゴーランドの紋章のついた1番豪華な馬車もジェットコースターの真横でピタッと止まった


3つの紋章が一直線に並んだその瞬間、それぞれの紋章が光だし夜の闇を明るく照らし始めた


そしてその強い光が徐々に収まっていき完全に消えた次の瞬間、エルフ湖の湖面から天まで登る光の群れが鮮やかに虹色に光り、湖面のさざなみが湖の端からまるで鏡面のごとく美しく変化し徐々にエルフ湖全体に広がっていったのであった


「さあ、行くわよ……」


セリーナに続きササーヤン、アーヤもエルフ湖の虹色に光る美しい鏡面のような湖面の中に消えていったのだった……






3人は気づくとテーマパーク、アリーシャランドの中にいた


「さあ、アーヤ、夏休みの思い出に精一杯遊ぶわよ!!!!」


「うん、ありがとう、セリーナお姉ちゃん!!!! これで、新学期から頑張れる気がする!!!!」


セリーナとアーヤが喜び合っているとササーヤンがダルそうに言った


「でも、もう夜遅いからアリーシャランドは閉まってるやん」


「えっ、そ、そうね……あっ、ササーヤン、今日はアリーシャランド併設のホテルに泊まりましょうよ」


「えっ、嫌やん、街の宿屋に行くやん」


「なんでよ、ホテルがいいでしょ!」


「街の宿屋がいいやん」


「もう、仕方ないわね、じゃあ、ジャンケンで勝った方の意見に従うというのはどう?」


「のぞむところやん」


「じゃあ、いくわよ! ジャーン、ケーン、ポン……アイコ、でしょ……アイコ、でしょ……アイコ、でしょ、アイコ……」


2人の勝負はいつまで経ってもつかず、アーヤは満天の星空を眺めながら、これから起こるであろう楽しいことを考えながら1人ワクワクしていたのであった……

お読みいただきありがとうございました。


星評価いただけますと、ありがたく存じます。

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