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星使いの勇者  作者: 星宮 燦
第二章 幻帝戴天
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2ー74 帝都行きメンバーと訓練

「あ〜、私残るから〜」


 そう、安田佳穂は皆に告げた。



 何から残るのかと言うと、当然、帝都行きのメンバーからである。



 まあ、これは許容範囲だろう。

 小見山と蒼弥が首を縦に振っただけでよしとしよう。



 安田のスキル【煌落天】は広域破壊を得意とするスキルだ。


 攻撃力が高い代わりに細かい操作が困難。

 そして、攻撃全振りで防御の力が殆どない。

 つまり、レベル上で同格な者との戦闘に頗る弱いのだ。



 逆に、格下との戦闘では圧倒的に強い。


 本人もいじめっ子気質のあるこのスキルが好きになれないらしい。

 さっき本人が言っていた。



 でもまあ、ここに残る判断もあながち間違いではない。

 と、僕は思っている。




 攻撃力全振りなら守ってくれる人がいればいい。

 防御が苦手なら安全な城から一方的に攻撃すればいい。



 乱戦場では味方への被害を考慮して使いにくい広域破壊スキルも守城戦や攻城戦では役に立てる。


 だから、ここに残る判断は正しいとも言える。

 まあ、行くと言う判断が間違いとも思わないが。




「わかった」


 簡潔に了承の返事を送る。


「はぇ?」


 行かない宣言にあっさり許可が出るとは思わなかったのか、ポカンと呆けた表情を晒している。

 行かなくてもいいって言ったはずなんだけどなぁ、僕。


「いや〜、てっきり私と一緒に居たい〜ってだけかと思ってた〜」


「ちょっと何言ってるのかわからないです」



 何だその過剰な自信は。

 なんでそんな発想に至ったんだ。


 それから、一体僕を何だと思ってるのか。

 本当に心外である。



「ふ〜ん……ちょっと心外」


 それは僕のセリフだ。







 出発予定日は明日を予定している。

 明日から、帝都攻撃に出る軍と共に僕らは帝都を目指し、残りの勇者と軍はここ、ローデリアを守りつつ、周辺の城を落として回る。


 帝都攻撃はヴァイスターク王国メインで行い、周辺の城の攻略は北の隣国のラフィカノー公国がメインで行う。



 妥当な割り当てだろう。

 どうしても勇者を保有しているヴァイスターク王国の負担が増えるがそれが勇者を持った国の責任とも言える。

 強大な力を保有するのならば相応の仕事をしなければならない。



 と言う感じで、明日から戦いが始まる。



「ってことで今日はみんなで戦い……じゃなくて訓練だ」


 そうみんなに告げた。





「………訓練?」


 そんなウンザリした顔するなよ。

 こちとらみんなのことを考えてるんだぞ。


「やりましょう!」「いいよ」「わかった」


 こう言う時にノリがいいのはやはりいつものメンバー3人。

 頼りになる。




 それから、オマエらどうする?と視線を残りの人に向けると小見山と蒼弥が参加の意思を示した。

 いやいやという感じではないので、さっきは周りの反応を伺っていたのかもしれない。




 ちなみに蒼弥とは結構仲がいい。


 知り合ったのは高校でだが、蓮斗の次くらいには仲がいい。

 たまに3人で遊びに行くこともある。


 顔面偏差値は僕と同じくらいで中の上。

 目にかかりそうな髪を7:3で分けている。


 因みに彼女はまだ居ない。

 はず。

 多分。

 そうだったらいいな。





 小見山紗夜はおとなしめの本好き少女。


 聞いたことないが、もしかしたら純恋と仲がいいのかもしれない。

 黒髪の綺麗系の少女で男子からの人気もまあまあ……だったと思う。

 でも、彼氏は本好きがいいらしく、彼氏はいない。

 生粋の本好き以外お断り系女子である。




 恋愛感情は抱いてないが同じ本好きとして、仲良くなるくらいはしてもいいかもしれない。




 さて、自分を含め6人が賛成したところで参加者の名乗り上げは止まった。

 でも6人居たら訓練はできるのでこのまま初めて問題ないだろう。


「空間転移」


 スキルは変質したが、以前の能力は無くならない。

 今まで通り空間転移は使えるし、モノリスとか宙の共鳴も使える。


 機会がないので使ってないが初期能力の天候変化とかも一応使える。

 天気を変えたからなんなんだという気がするので使うことはないが。








「それで、どうやるつもりですか?みんなで大乱闘ですか?」


 純恋……いつからそんなに乱暴な思考になったんだ?

 誰のせいだよ。


 僕のせいか。

 僕しか居ないもんな。



 初めはやりすぎってくらいに丁寧だったんだけどなあ……


「さすがに無茶だろ。誰かが死ぬぞ」


「蘇生しろなんて言わないでくださいね」


 もう二度と蘇生なんてしません、と小見山が唸る。

 もう一度頼むつもりだった僕はギクリと頬を引き攣らせる。




「大丈夫だ。蘇生を頼むつもりはなかった」


「嘘だよね。梶原くんめちゃくちゃわかりやすいよ」


「………マジ?」


「私もわかりやすいと思います」


「えぇ………」


 どうせならもっと早く教えて欲しかった。


「タイマンでいいんじゃない?俺はその方が楽だし、いいけど」


「僕もそっちの方がいいな」


 これでタイマンが決定。


「組み合わせはどうしますか?やっぱり出原君と優人くんですか?」


「そのつもり。だけど……純恋と遥香は戦わない方がいいと思うよ」


「小見山さんと九重くんの相性悪いからね。多分九重くんが一方的に負けるよ」


「蒼弥でいい。名前で呼んでくれ」


 珍しい。

 蒼弥がもう名前呼び認めるなんて。

 変なもんでも食ったかな。




「私の方がいいですか?」


「うん。天魔反鉾(あまのさかほこ)使ってじゃんじゃん結界壊していいよ」


 これで純恋VS小見山が決定。


「じゃあ私が九重な」


「それでいいぞ。もしお前が負けたら今日僕が純恋と一緒に寝るからな」


「っざっけんなよ!!んなことしたらぶっ殺すからな!!」


 遥香はそのくらいでいい。

 それに、檄があってもなくてもどうせ遥香が勝つ。


 あいつまだ雷剣使ってないからあれも見てみたいな。







 そんなことを考えながら既に戦闘準備を終えた奏を振り返った。




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