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星使いの勇者  作者: 星宮 燦
第二章 幻帝戴天
90/248

2ー73 星

 さて、困った困った。



 本当は1発目から【宙の共鳴】ぶちこんで終わりのはずだった。


「それがまさかねぇ……こんなことになるとは」


 正直、【空間固定】をすれば終わりだが、それは僕のポリシーに反する。


「さて、どうするか」


「あ"あ?もう終わりか?雑ァ魚!!」


 お前の攻撃もまだ喰らってないけどな。


 いちいち行動が鼻につく奴である。




 それにもう策は考えた。



「【宙の共鳴】」


 取り敢えずこれを召喚する。



 そしてそれを()()()()()()()()()()


 そもそも、これは空間を無理矢理捻じ曲げた時に生まれたエネルギーを放出する技。

 元の素材は空間である。


 空間は絶対不可壊のモノ。


 例え相手が破壊のスキルであってもこれだけは壊せない。



 自分の周囲を取り囲むように展開して、その奥で新たな【宙の共鳴】を用意する。


 ここで問題なのが宮原の【再演】。

 どのくらいで解析できるかで勝負が決まる。


「出力最大」


 解析ご苦労様。

 もうこっちの準備は終わった。


 ゆっくりと盾役の【宙の共鳴】を解除して、同時に結界の縁に転移する。


「オマエっ」


「【竜の鱗牆(ガルダゲラ)】っ!!」


 西田が驚愕の叫びをあげ、長利が盾を張る。


「じゃっ、さよならっ!」


 しかし、限界まで圧縮した空間の圧縮砲は強固な鱗の盾をいとも容易く砕くと、3人を飲み込んだ。




「がああああああああああぁぁぁ!!!」


 言葉にならない誰かの叫びが聞こえる。




 バリバリと結界が鳴動する。


 普通の結界なら簡単に壊れているはずだ。

 恐らく、1秒と保たない。


 絶対不可壊の結界だからこそ、この衝撃にも耐えている。





 チラリと小見山を振り返る。



 今一番まずいのは小見山が失神して結界が消えることだ。

 モノリスがあるおかげで衝撃波は届いてないはずだが、戦闘慣れしていないと恐怖で倒れる可能性もなくは無い。




 ここまでやって、最後に気絶のせいでアイツらが蘇生なかったら社会的に僕が死ぬ。


 まあ、その心配は今回は杞憂だった。




 幸い、ガクガクブルブル震えてはいるがちゃんと意識は保っている。


「うん。よかったよかった」


 そのことに若干の安心を覚えたその時。





『レベルが上がりました』


『進化条件【破壊の権化】を達成しました』


『進化条件が揃いました』


『スキルが変質します』


『スキルを再構築します』


『【(ソラ)】→【(ホシ)】』




 連続して機械的な音が脳内に響く。

 あの時は絶望の足音に聴こえたこの音も、今となってはただの懐かしい声だ。



『あなたの未来が明るいことを願います』



 最後の一節が読み終えられる。

 進化の成功に歓喜すると同時に3人の死が確定したことが分かる。



 一泊置いて、

 揺れのおさまった結界内に3つの影が生まれた。

 間違いなく蘇ったようで3人ともピンピンしている。






 正直に白状すると、3人には蘇生の件は伝えてない。


 理由は蘇生を理由に手を抜く可能性があるからだ。

『俺さっきは本気じゃなかったぜ』

 なんて言われたら腹が立つ。



 どうせなら死ぬ恐怖と痛みを味わってもらおうと思ったわけだ。

 死んだことのない僕が言うのもおかしな話だが。



 そういうわけで、3人からしたら間違いなく死んだと思ったのに死んでいない不思議状況が出来上がってるということになる。



 予想通り、呆けた表情でキョロキョロと周囲を見回している。

 なかなかどうして、間抜けな表情だ。


 手元にスマホがあれば絶対に撮っていた。

 あったとしても、充電切れで使えないだろうが。



「な……ん、で……」



 何があったのかまるで理解できてない宮原の呆然として呟きが切り取られた世界に響く。



 ここまできてまだ説明をせずに裏で笑うのも酷だ。

 教えてやろう。



「ごめんな。本気で闘うために小見山に死なないようなルールをつけてもらってた」


「は?」


 当然、こんな説明では到底理解できないだろう。


「いや、さぁ。本気で戦って死んだ時のために小見山に蘇生する結界を張るように頼んでたんだよ。それでオマエら生き返ったってわけ。黙っててすまん」


 たっぷり10秒の空白。



 やがて、


「は?………おっ、えっ…おっ、オマエっもし失敗したら死んでたってことか!?なあ!?なんでそんなことしてんだよ!」


 西田が口を開いて捲し立てた。



 まあ、予想通りの返答である。


 この反応も当然だろう。

 一歩間違えれば死んでいたんだから。



 とはいえ、何の考えも保証もなくこんなことをしたわけではない。


 当然、奏にちゃんと結界が動いているかの確認はしてもらっている。

 だから、僕にとっては失敗の可能性は限りなく低かったわけだけど、他の人からするとたまったもんじゃないだろう。


 死が隣り合わせなんだから。






 ふと思って顔をあげると、未だに西田は何やら怒鳴り続けていた。

 どうせ罵詈雑言だろうから真面目に聞きはしないが、感謝だけは伝えておこう。

 彼らのおかげで目的が達成できたんだから。


だんだん頭イカれてきてる優人です。

ゆっくり進化させても良かったんですけど、メインの力は進化なので、星の方はさっさと進化させていきたいと思います。

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