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星使いの勇者  作者: 星宮 燦
第二章 幻帝戴天
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2ー64 秘匿された勇者

 兵士を助けたからと言って彼らと合流するわけではない。


 というよりできない。



 何故なら本来、勇者を侵略行為に従軍させるのは禁じられているから。

 今回は、国同士の戦いの途中に勇者が戦闘に巻き込まれたということになる。


 ……らしい。

 フェルテが言っていた。



 かなり微妙な言い訳で、強引に事を進めるらしい。

 殆どルール違反だろ。


 だがしかし、今回は周辺諸国も許可を出した。

 理由は当然、ロルニタ帝国が自国にとって脅威だから。


 ルールというものは例外なく人が作る。

 ならば、その人が認めれば、黒も白になるというもの。

 自論だけど。




 ***




 それから約2時間後、僕らは視界にロルニタ帝国第二都市・ローデリアを収めていた。


 が、少しおかしい。


 ここは名前通り、帝国で2番目に大きい都市だ。

 そんな簡単に落とせるはずがない。


 だからこそ僕らも参加したのだが、おかしい。

 もう陥落している。



 勇者にそんなに強い奴がいたのか。

 知らなかったな。

 実戦向きな能力のやつがいたのかもしれない。

 もしくは戦闘センスがいいやつ。

 連れて行く候補だな。



 脳内メモ欄に今日のことを走り書きした。




 ***




「は?既に落ちていた?」


 城内に疑問符が浮かんだ。

 浮かべたのはもちろん僕ら。


 でも、浮かべるのは当然だ。


「どういうことかな?」


 質問を飛ばすのは奏


 余裕そうな表情を浮かべている彼だが、額にはうっすらと汗が滲んでいる。


「はっ!何者かが我々より先に此処に到着し、攻め落とした模様です!」


 今、僕らはこの街を落とす主戦力であるヴァイスターク王国騎士団から説明を受けている。

 騎士団長はルーンゼイト神聖国の騎士団長と会議中らしく、ここにはいない。

 おそらく元領主の館にいるんだろう。


 説明をしているのは第一軍長だ。

 ヴァイスターク王国騎士団は第一兵団から第八兵団までの小隊が存在していて、第一が最も強く、第八が一番弱い。

 そしてその兵団の長が軍長だ。




***




 第一軍長は騎士団のNo.3に当たる人物。


 名前はユグレイというらしい。

 長ったらしい本名は知らない。

 というか、忘れた。


 理由は長いから。



 そもそも、長い本名はなかなか使わない。

 フェルテによると、表彰の時くらいらしい。


 貴族同士の社交の場でもアレは使わないようだ。


 それもそうだ。

 お茶会で名前を呼ぶたびあんな名前をずらずら呼んでいたらなかなか会話が進まない。




「それで、ユグレイさん……」


「ユグレイとお呼びください!」


「ユグレイ、誰がやったか心あたりは?」


「ありません!」


 4人で顔を見合わせる。


「気にしすぎるのもよくないんじゃない?」


 そう言うのは奏。


「いやあ、不確定な要素入れたくないんだけどな……」


 おそらく、奏の言うとおり、このまま考えても埒が明かない気がする。

 でも僕としては危険な戦いに不安を残したまま挑みたくない。

 不安は事前に取り除くに限る。



 そうこうしているとユグレイに近くの騎士が近づいた。


 そして何かを小さく伝える。


「優人、今連絡が入った。ここの街の調査が終わったらしい。………領民は全員死亡。皆殺されている。それから敵は勇者の可能性が高いようだ。死体から一種類の魔力しか探知されていない。おそらく1人で街を落としたのかと」


「マジですか」


「ああ」


 ヤバくない?

 いるじゃんか、規格外。


 僕らレベルかそれ以上のバケモンいるじゃん。


「遥香、この魔力知ってる?」


「見たことないと思う」



 帝国勇者が帝国の都市を落とす筈がない。

 間違いなく第三勢力。

 それもかなり強い。



 ただの第三勢力なら良いのだ。

 勝てばいいんだから。



 だが今回は問題だ。


 遥香が知らないということはエルリアの勇者でもない。

 しかし、現在、公的に認められた勇者で存命なのはエルリアの勇者だけだ。


 ならば、ロルニタ帝国以外に不正召喚された勇者がいる可能性がある。


「秘匿された勇者、か………」


 何人いるんだろうな。

 1人ならいいんだけど……


 嫌な予感がする。

 そして、こういう嫌な予感はだいたい当たる。



 このレベルの敵は僕らが本気で相手しないといけない。

 2対1は望ましくない。

 タイマンが望ましい。

 むしろ1対2がいい。


「難しいこと悩んでも仕方ないと思いますよ。今できることを考えましょう。ね?優人くん?」


「まあ、そうか。そうだな」


 わからないものは仕方ない。

 わからないものはいくら考えてもわからないだろう。



 それに僕らなら何とかできるだろう。

 この4人なら、多分。




 そう割り切って城内を見て回ろうとする4人を追いかけた。


どうでもいい情報ですが、名前は『名前』・『爵位』・『家名』でできています。適当にカタカナ並べてるわけじゃないんです。まあ、今は覚える必要のない情報です。第三章で長ったらしい名前がたくさん出るので、その時に「あーこの人は侯爵家か〜」って思ってください。覚えなくても問題ないと思いますけど。

気分がノったら詳しく書くかもです。

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