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星使いの勇者  作者: 星宮 燦
第二章 幻帝戴天
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2ー62 ただいま移動中

 今僕らは4人で山道を歩いている。

 4人とは勿論、

 梶原優人

 綾井純恋

 綾井遥香

 出原奏

 の4人である。



 そんなところで何をしているのかと言うと、帝国に向けて歩いているのである。






 遡ること2日前。

 朝の部屋で純恋と一悶着があった日である。



 あの後いきなり領主からの呼び出しがあって、館に行くと、僕らに命令が下された。

 何やら王都から指示が出たらしい。


「国王からの命令書だ。お前達3人は直ぐに街をたって帝国に向かって移動しろ。軍も直ぐに動く」


 簡潔にそれだけ言われて軍の進路が書き込まれた地図を渡された。


「書いてあるのは主な都市と軍の侵攻経路だ。お前達以外の勇者は全員既に合流していて一緒に行動している。だがな……あまりにも弱い。勿論、スキルがある分他の兵士に比べれば圧倒的に強いのだが……ステータスだけだと一般の兵士と同等程度しかない。敵に大勢勇者がいる可能性があるんだから、いくら強くてもお前ら3人では無茶が過ぎるだろう」


「そうですね。この前……というか昨日、1人帝国の勇者が味方についたんです。見た感じ結構強そうなスキルを持ってる奴なんですけど」


「お前らのことだから裏切られたりの心配はないが……気をつけろよ。諸刃の剣だ。うまく使えば切り札にもなるがな」


「裏切り対策はしたつもりですけど一応まだ警戒してます」


 見た感じ、あれは対象に祝福という形で能力を貸与する力だ。

 何種類の力を与えられるのかは知らないが……おそらく万能型だろう。

 どんな場面でも目を離すわけにはいかない。


 結構なダークホースだ。

 馬ではないが。


 いつでもどこでも盤面を狂わすことができる最悪のジョーカー。


 こちらにとっても、敵にとっても。


「常に行動を共にすることで監視を徹底します。大丈夫です。うまく使いこなして見せます」


「ならば、よい」











 そんな感じで一緒に仲良く移動中だ。


 一応、予定としては今日中にロルニタ帝国第二都市のローデリアにつく予定。

 ここで一旦、一足先に帝国に向かったヴァイスターク王国本軍と周辺国から集められた勇者が合流する。


 それからヴァイスターク王国軍はそこを拠点に周辺都市を攻撃。


 地理的には、ロルニタの南に位置するヴァイスタークが北進し、ロルニタ東の元エルリア王国領を東から南にかけて取り囲むように位置し、ヴァイスターク王国の西隣の隣国にあたるルーンゼイト神聖国が元エルリアを奪取するといった感じだ。



 僕らの予定はというと、ローデリアに集まった勇者の中から選抜された強い奴だけを連れて帝都に攻め込むというもの。


 勿論、奏は連れて行く。

 アイツを他の奴になんて任せられない。




 それで、なぜ今わざわざ山道を進むことを選んだのかというと、奏のレベルアップのためだ。


 奏に聞いて、真実の魔眼で嘘判定した結果、完全に奏は味方ということが確定した。

 その上で、彼のレベルが未だに原獣種上位だと聞いた……というか見せてもらったので、山を歩きつつ、魔物を見つけ次第奏に倒させるというのを行っている。


 奏のスキルはかなり強い。




 スキル【(ホン)


 その唯一の力である【世界の書(セルノ・アゼイシア)】の召喚


 それは支援スキル系の最高峰に位置すると言っても過言ではないスキル。

 最高峰ではないが。



 数多の祝福を与え、更に自分の強化もして戦う。

 術者への負担が大きいことのみが欠点だがその他に欠点らしい欠点は見つからない。


 祝福の数はとにかく膨大。

 そぼ種類による万能性が最大のポイント。

 万能性においては絶対的な一位を誇る。



 朝、模擬戦をした時はレベル差で僕が圧勝したが、レベル差の割に制圧に時間がかかった。


 なにしろ彼は未だに原獣種である。



 本来、原獣種と幻獣種が戦って制圧に10分もかかるなどあり得ない。

 普通は30秒。

 かかっても1分。


 このレベルでこの強さとは末恐ろしい。


 それでも、まだ暫くは負けないと思うし、スキルが【宙】から上がれば一気に強くなるので僕にも伸び代はまだまだある。

 伸び代ばかりだ。



 今更になって気付いたが、スキル進化の条件が2つ解放されていた。

 一つ目が『闇の神の加護を得る』

 二つ目が『頼れる仲間』


 二つ目に関しては泣いてからすぐ寝たから気付かなかったんだろう。



 そんなことを考えていると敵の姿を捉えた遥香から声が届く。


「出原!そっちにオークが2体行ったぞ」


「あ〜わかった」


「それから姉さんの方にもオークが一体。一緒に戦います」



 ……いやなんでだよ。1人で十分だろ。原獣種と真獣種の戦いだぞ?


 純恋も苦笑を浮かべている。


 まあ、他に魔物は居そうにないからいいけど……






 戦闘開始から僅か約15秒。

 無傷の4人の前には集団リンチの餌食となった哀れな魔物の死体が転がっていた。





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