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星使いの勇者  作者: 星宮 燦
第二章 幻帝戴天
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2ー56 髪の色

 出原奏が帝都を脱出する直前。

 場所は未だにフレーデンの神殿。


 梶原優人一行は未だに神殿にいた。



 ここに来てから既に2時間が経過しているが、彼らが立ち去る気配はない。






「ようやく気付いたけどさ、僕らの髪色変わってんじゃん」



 因みに、祝福を得てから30分が経過している。

 ここまで経って、ようやく気付いた。

 今まではホントに新しい補助スキルに夢中だった。



「わぁ、ほんとですね。なんだか……不良にでもなった気分です」


「でも色は綺麗だよ姉さん。染めるのと違って、このまま色が落ちないんだからいいと思うよ?」


「遥香はポジティブですね……」


 3人とも髪色が変わっていた。

 いや、今まで見た異世界人に派手な髪色の人はいたよ?

 でもさ、異世界人の生まれつきのもんなんだろって思ってたんだよ。


 まさか祝福で髪色が決まるとは思ってなかったが、なるほど。

 だからさっきの店の人、祝福受けてないことに気付いたのか。



「でもなんだか変な感じがしますね。今までずっと黒髪だったのでいきなり派手になると違和感しかないです」


「この中だと僕が1番黒に近いけど……もうちょっと別の色が良かった……青とか真っ白とか……」


 3人の髪色を言うと、

 まず、純恋が金色混じりのエメラルドグリーン。


 金と緑を混ぜたらバジル色になるって聞いたことがあるけど、なかなかどうして綺麗なバジル色になっていた。

 パステルカラーが純恋の大人しい印象に合っていてとても似合っている。


 流石は純恋と言ったところ。

 髪色も完璧に似合っている。



 続いて遥香。


 遥香はそのまんま、純粋な紫。

 ピッタリとまではいかないもののそれなりにいい感じに彼女の雰囲気と色とが噛み合っていた。

 普通に綺麗と言えるような感じ。


 まあ、口が裂けてもそんなこと言わないけど。




 最後に僕。

 黒髪に近いのはいいものの、なんだか1番残念な髪色。

 簡単に言うと白髪混じりの黒髪。

 割合としては半々。


 なんだか自分だけ老けたようだ。


 異世界でも白髪入りの黒髪は見たことない。


 それなのに……なんで……



「髪の色は神々の加護の中で最も力が強い神々の貴色に染まるんですよ。そのため水の女神と光の女神の力が強い純恋様は2色の混色のエメラルドグリーン。雷の神の御力が強い遥香様は紫。優人様は闇の神と氷の神の御力が強いのですが、全てを飲み込む闇の神の御力は他の御力と反発しやすくさらに、あらゆるものに終わりと始まりをもたらす氷の神の御力も反発しやすいため、2色に別れたというわけです」



 と、ユーノが言う。



 つまり、髪の中でバチバチ神様の力が戦ってるってこと?

 これからずっと?



 戦争じゃん。

 内戦じゃん。


 ダメじゃん。



「ぷっ……ククっ……ふっ、うっ………あはっ……ブフッ……グエッ!」


 取り敢えず、横でニヤニヤと笑っていた遥香には制裁を加えておいた。





 ***





「結局、お出掛けしたのにほとんど何もできませんでしたね」


 神殿から出ると既に日が傾いていた。

 夜の帳が下りるまではまだまだ時間があるもののそろそろ帰る時間である。


 遊ぶ場所も大してなかったし、服買って神殿行っただけなので遊んだ気にならないが、今からどこかに行く気は起きない。



 このまま帰るつもりだったのだが、

 このまま帰るか……と話していたところで純恋が


「だったら何処かで食べて帰りましょう!」


 と言ったことで外食が決まった。




 この後で面倒ごとに巻き込まれるとも知らずに。




 神殿から徒歩で20分ほど。

 宿までは5分ほどのところにその店はあった。



『森の肉屋』そう書かれた木製の看板が風に煽られ、ゆらゆらと揺れていた。

 森要素なんてどこにもないんだけどね。



 基本的に肉を提供し、毎日新鮮な肉を使って最高の肉料理を振る舞うことをモットーにしている肉専門店。

 しかもこの世界には珍しく、肉屋なのにちゃんと野菜も提供してくれる最高のお店。


 まあ、そんな店だからこの町ではそれなりに人気なのだが、運良く今日は待つことなく入店できた。




 目の荒い木製のテーブルについて肉料理と野菜サラダとよくわからない飲み物を適当に頼んで雑談をする。


 内容は専ら今日のお出かけのことについて。

 特に祝福について適当に話した。


 なんだかんだ言って異世界でしか体験できないこんなことは召喚から何日も、何週間も経っても興奮するのだ。

 魔法なんて男のロマンと言える。


 祝福から補助スキルに話題が変わった頃、漸く料理が届いた。

 今日はそこまでお腹が空いてなかったのでそこまで多くは頼んでない。

 量が量なので10分足らずで全ての料理が届いた。


 のだが……



「えっ……と、いいんだよね?食べても」


 同じことを皆思っていた。

 野菜の色がおかしいのだ。


 赤っぽい色をした葉っぱ。

 紫色の何かの実。

 上にかかっている青色のドレッシング的な何か。



 地球だったら間違いなく毒なんだけどね。


 周りに美味しそうに食べる人たちが居るんだから毒なわけがない。

 青い食べ物が危険なわけがないと、地球の経験達が必死に伝える。



 残すべきではない。

 だが、食べにくい。




 こう言う感じの奇抜な色の不思議野菜は何度か見たけど、ここまで毒々しいものは初めて見た。


 赤い実然り、茶色の菜葉然り、青色のくせして蜜柑味の飲み物然り、色々飲み食いしたが、どれも『あり得なくはない』の範疇だった。


 ……食べたくねぇ〜


 3人とも同じことを思っていた。




 3人で視線を交わす。

 そして、示し合わせたかのように、同じように肉に手を伸ばした。

 肉は地球と同じ。


 見た目が同じだから魔物の肉とは言っても食べることに抵抗はない。



 だが、魔物を食べる勇気はあっても不気味な野菜を食す勇気はなかった。



 ステータスレベルは高いくせに案外、こういうところでみんな臆病だった。


本編最終章までのストーリー展開がようやく決定しました!

頑張ります!!


ブクマ、星をお願いします!!!!!!

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