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星使いの勇者  作者: 星宮 燦
第二章 幻帝戴天
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2ー49 デート?

「観光、ですか?」


 神殿から帰ったあと、夕食、入浴を済ませて僕の部屋に集合していた。

 お金が集まったので今日からふた部屋に別れることにした。

 当然、女子二人と僕で分かれた。



「そ。ここ暫く戦いしかしてないからこの街もほとんど見てないだろ。だから明日はここの観光ができたらいいなって」


「何人で?」


「僕と純恋で。お前は留守番な。……冗だ「殺すよ?」……冗談だって!3人で行く」


「なら許す」


 なんだそれ。



「確か南に店とか集中してるから、そこら辺をぶらぶらできたらなぁって思ってるんだけど」


「いいんじゃないですか?私も観光はしたいですし、他のクラスメイト達が集まったらこの3人ではもう見て回れませんからね」


 そりゃそうだ。

 忘れがちだけど純恋はクラスのアイドルみたいな奴なのだ。

 それなのに僕が一緒に周ったら色々面倒なことになる。

 僕は面倒ごとなんて抱えたくない。



「じゃあ私も行く。ふたりきりになんてさせられないし」


「正直に行きたいって言えよ」


「あ"?」


「なんでもないです」


 明日のお出かけが決定した。




 ***




 翌日、四の鐘の頃( 10時ごろ)に宿の前に集まった僕らはそのまま街に繰り出した。



 が、ここで計画の穴に気付く。

 街に出たはいいがさすが異世界都市クォリティ、観光施設が何も無い。

 本当に店しかない。

 しかも、デパートとかあるはずがなく、屋台みたいな店が8割を占める。



 今まで読んだ異世界系小説になんで観光のシーンが無いのか分かったわ。

 観光に行く場所がないんだな。


 当然だ。

『日々の生活が大変』というような人たちが人口の大半を占める中、レジャー施設などを作ろうものなら政治批判が殺到すること間違いなし。

 反乱が起きてもなんら不思議ないほどのことだ。


 つまんね〜


「異世界なんですから日本ほどの観光を期待してはダメでしょう。ぶらぶらしてたら、いずれここでこその楽しさも見つかりますよ」


 そんな優人の心を読んだかのように苦笑を浮かべた純恋がいう。


 無意識に、ナチュラルに異世界をディスる彼女の天然は、今日も健在である。




 デート……デートなのか?2人じゃないけど。

 いや、デートは男女が日時を決めて会うことだから人数は関係ないはず。

 これはデートだ。


 まあ、だからなんだという話ではあるが。



 デートが始まってまず向かったのは洋服屋。


 いや、ここ暫く戦闘用の魔術師のローブしか使ってないし、下着類は申し訳なかったが純恋の【浄化】でどうにかしてもらってたからなんとかなっていたが、本来この状態はかなりまずい。


 僕は健全な男子高校生だ。

 その衣類を同級生の女子生徒に一任しているのだ。

 あり得ないくらいやばい。

 千利休がワイン飲んでるくらいやばくてあり得ない。


 まあ、浄化する役目を持つのが僕じゃなかったのが不幸中の幸いではあるが、そろそろ服のレパートリーも増やしたい。

 浄化をしているとはいえ、同じ服の着回しはかなり不衛生に見える。



 《ゼレニグム商会》


 宿で聞いてそこそこいい服をいい感じの値段で売っている人気の商会らしい。

 一般の平民も大商会の富豪も来店できるような幅広い商品販売を売りにしていて、多くの人が評価する大商会らしい。

 店は王国内全域に展開しており、5本の指に入るほど有名で人気である。

 本店があるのはヴァイスターク王都、ゼトロノーム。

 つまり、ここはゼレニグム商会の支店である。



 フレーデンでは土地のランクが領主の館に近づくほど高くなる。

 工業区や平民街はそこまで値段に差はないが、富豪の住宅街や観光区ではその差が如実に現れる。


 門の近くーーつまり、地価が最も低い地域は小さな個人商店や小規模商会が所狭しと乱立ーー治安が乱れるほどでもないがーーしている。


 逆に平民の住む街と貴族街を仕切る門である貴族門のすぐ側にあるゼレニグム商会のような大商会は広大な敷地に大きな店を堂々と構えている。



 貴族の屋敷には到底及ばないものの、敷地面積は貴族たちの別荘地と言われれても納得できるほどの大きさがある。




 扉前には……う〜ん、なんて言うんだろ、衛兵?みたいな人が立っている。

 胸部だけを守る簡易鎧を身につけ、手にはきちんと穂先が付いた鋭い槍が握られている。


 ……いや、普通こう言うのって長い棒を持ってたりするんじゃない?なんで穂先付きの普通の槍なの?殺る気満々じゃんか。


 衛兵っぽい人の指示通り冒険者カードを見せると彼らは一瞬驚いた表情を見せたが何も言わずに通してくれた。

 正直言って、かなりありがたかった。


 ……勇者って肩書きって便利だけど普通の人に見つかるとめんどくさいんだよね。





 衛兵の横を通ってドアに手をかけて押すとカランカランと木片同士がぶつかる軽快な音が店内に響いた。


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