2ー46 冒険者カード
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「こんな態度をとっておいて悪いが私も大して思い付かない」
「「「……………」」」
「だからこの話は一旦置いておく」
「………」
「仕方ないだろう、思いつかぬのだから。本当は君たちが案をあげて即実行、みたいな流れを想定してたのだ」
なんだその根拠のない自信は。
「僕らをなんだと思ってるんですかっ!」
「取り敢えず、だ!…………ギルドから連絡があった」
声のトーンを一段下げて机に肘をつきこちらに鋭い視線を向ける。
彼が本気モードになったことが察せられて僕らも一度姿勢を正す。
「……君たちは面白いね。見ておて飽きないよ。ギルドからの連絡は金の準備ができたことと冒険者カードを取りに来いっていう連絡だ。別に緊張することはない」
今の真面目な顔は何だったのか。
思わずため息が漏れる。
「怒るな怒るな、もっと寛容になれ。女には好かれんぞ?」
フェルテただただウザかった。
ここで話は終わりらしく、僕らは挨拶もそこそこに足早に屋敷を出た。
そこから迷わず歩を進めている。
行き先は言わずもがな、冒険者ギルド。
話に出た通り報酬と冒険者カードを貰いに行くのだ。
ふざけんなと怒ったばかりだが、兎にも角にもお金は欲しい。
何をするにしてもお金がなければ始まらない。
実をいうと現状、宿代は借金みたいになっている。
一応素材をすでにギルドへ提出していたので担保的な感じで大目に見てもらっていたが、身も蓋もない言い方をすれば、借金の返済を先延ばしにしているだけだ。
なんで異世界に行ってまで借金みたいな現実的で面倒な問題を考えなくちゃいけないんだ。
異世界だぞ?ここは地球じゃないんだぞ?
別に地球に借金が溜まってウンザリしてたわけじゃないけどさ。
でもそんな借金生活ともおさらばだ。
今日お金がまだ手に入らなかったら危うくまた3人で同室就寝する羽目になってたよ。
流石に何度も何度も遥香に睨まれながら居心地悪く寝る勇気は自分にない。
他の男子なら喜ぶのかもしれないが、別に僕にはそこまでの気持ちはない。
彼女らは大切な友人で、戦いの相棒で。
関係も気持ちもそれ以上でも以下でもない、そんな関係。
グッと一度背中を逸らして伸びをすると小気味良い音がポキポキと聞こえた。
ん〜、と声をあげて固まった体を治すと扉を開けて受付に向かった。
「これが皆様のカードです」
暫くして出て来たのは赤い布が敷かれた小さめのトレイにのった3枚の金属板のようなものだった。
それぞれに名前が刻まれていてそのほかにもランクとスキルと………まあ簡潔に言えば簡略化されたステータスボードが載っていた。
色は無色透明。
名前欄の横に一箇所だけ緑に輝く場所があるがそこ以外は完全な無色。
後ろの布がはっきり見えるほど透き通るような透明だ。
おそらく魔石を加工したんだろう、見た感じこれは魔術具だ。
大方、改竄不能でも掛けられてるんだろう。
……だから門のところでカードがあるかって聞かれたんだ。へぇ〜
僕らはボードを見せたが普通はこれを見せるのだろう。
これならばいちいち隠蔽無効持ちを門に置く必要はない。
はっきり言って全部の門にあの補助スキル持ちを置くなんて現実的に考えてほぼ、というより絶対不可能だ。
補助スキルというのはいつ得られるか、またはどれが得られるか、一切不明のランダムなのだ。
そもそもの話、人数が揃わない。
「ここにある魔石の色が皆さんのランクを表しています。皆さんは今エメラルドランクです。ここからランクアップしてサファイアランクになられると、青に変わります」
それから、と一拍置いて話を続行する。
「皆さんご自身のカードを手に取ってください」
言われた通りに手に取ると、わずかに魔力が吸われる感覚がして、カードが端から順に色に染まっていく。
色は黒……と白。
なぜか中央で色がくっきりと2色に分かれている。
文字は見やすいようにという配慮からか、黒地の部分は白に、白地の部分は黒に変わっている。
見にくいことこの上ない。
白と黒以外の色はなかったのか。
何だか目がチカチカする。
純恋は謎にキラキラ光る淡い緑、遥香は紫となっていた。
「なんかさぁ、僕だけ悪役キャラの雰囲気ない?」
たかが色ではあるが、黒と白の半々はなんか嫌だ。
「ハッ。似合ってるだろ、悪役」
「躊躇いなく心抉ってくるね。泣きそう」
厨二病真っ盛りの男子諸君にはカッコイイ色に見えるかもしれないが、結構微妙。
薄緑、紫ときて黒白は微妙。
はっきり言ってダサい。
「この色は何ですか?」
隣にいた純恋が質問する。
黒白に悩まされていたが、そうなのだ、問題は『色が何を示すのか』ということ。
これに何も意味が無いわけないはずだ。
「色は皆様の魔力適性を表しています」
さて、魔力適正って何だろう。
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