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星使いの勇者  作者: 星宮 燦
第二章 幻帝戴天
51/248

2ー35 久しぶりの

 翌日、2と半の鐘の頃(午前7時ごろ)に、完全に準備を終えた僕らは宣言通りに転移し、今は始まりの迷宮にいる。



 現在、交戦した魔物はまだゼロ。

 ただ、別に魔物が一斉にいなくなったわけではなく、単純にまだ会っていないだけだ。

 事実、空間探知によるとこの先に3体の魔物がいる。



 が、あえてその存在は伝えない。


 遥香には魔力探知のスキルがあるのだ。

 このくらいできるようになってもらわないといざとなった時に困る。


 そして、困るのは僕ではない。

 困るのは遥香と純恋だ。



 ここで何も言わなくても役割を果たすのが遥香の役割。



「この先に魔物がいるぞ。数は……3体か?多分3体」


「うん、正解。ちなみにオオカミ型の魔獣ね。2人よりも強いから気を付けて」


「えぇ!?勝てるんですか!?負けませんよね!?大丈夫ですよね!?」


「………さあ?死にそうになったら助けるから死にはしないけど。……でもそれ、EXだかOverだか、めっちゃ強い武器じゃん」




 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 天魔反戈(あまのさかほこ) EX



 伊邪那岐と伊邪那美が使ったと言われる鉾。

 触れたあらゆる魔法やスキルを強制解除する能力を持つ魔術師殺しの逸品。

 長さを自由に変えることができ、さらに、自由に曲げられる。

 破壊不能。

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 ……ほんと何これ、強すぎでしょ。EXじゃないでしょこの能力。俺の神器(熾星終晶刀)と同レベルで強いでしょ。強制解除ってやばすぎ




 おそらく、天魔反戈はEXでもかなりの上位にある武器だ。

 神器とは書いてないが、あれは神話で出てくるような代物。


 神器と同レベルの強さを持っているはずだ。


 能力が既に使用可能状態にあることを加味すると、熾星終晶刀よりも優れていると言っていいかもしれない。






 道の向こうから3頭のイモータルウルフが走ってくる。


「さあ、戦って」


「はい!?」「分かった」


 まずは遥香が周囲の石を材料に、石球を創造。

 あの時遥香が得た補助スキル【創造】は周囲にあるものを材料にあらゆるものを創造するというもの。

 そして、作った物の品質は材料の品質に左右される。






 バスケットボールくらいのサイズの球が周囲に浮かび、一斉に標的に向かって射出される。



 直後、轟音が響いて先頭の一頭が後方に大きく吹き飛ばされる。




 とそこでようやく純恋が復活する。


「あっ、えっと……っ」


「天魔反戈使ったら?伸び縮みするんだから操作ミスんなかったら安全だし」





 目を閉じて集中する純恋。




 待つこと5秒。





 突如、構えていた鉾が伸びると遥香が作っていた土壁を貫いてその奥にいた一頭に刺さる。



 遥香が土壁を解除して見通しを良くするとすぐさま石球を作ってできた順に次々に発射する。




 刺さった鉾はそのままウルフを貫き、直後90度回って隣のウルフにも突き刺さる。


 天魔反戈の能力である、触れた対象が発動中のスキルと魔法の強制解除。


 しかし、強力無比とも言える能力だが、完璧ではない。




 イモータルウルフの不死性。

 これはスキルでも魔法でもなく、イモータルウルフの種族特性。

 努力で手に入れるものではなく、




 故に、解除できない。



 そのため、鉾に体を貫かれながらもジタバタと四肢を振り回す。


 単純で弱々しい抵抗ではあるが、これが結構面倒くさい。

 というか厄介。




 純恋は鉾の扱いに慣れていない。

 今日初めて鉾を触ったような素人がバタバタともがくウルフのせいで狙いがズレるとどうなるか。




 前方で本物の剣並みの馬鹿げた鋭さを持つ石の剣を振るっている遥香に穂先が迫る。


「遥香っ!!」


 純恋の悲鳴が聞こえる。



「【空間転移】っ!!」


 転移場所を決める時間はない。

 転移する場所は『近く』

 近くの定義が何メートルかなんて知らないし、それを決める時間もない。




 一瞬の時差をあけて遥香の姿がそこからかき消え、そこを穂先が通過する。



 次に視線を上げた時、視界に遥香の姿はなかった。


 でもまあ、今はそこまで大変な事態ではない。


「あっあのっ……………ごめん、なさい。すみません、でした」


 今にも死にそうで、泣きそうな弱々しい声が響く。



 穂先が壁に刺さった鉾を手から放し、地面にペタンと座り込んだ純恋がいた。


「いいよ。多分あいつ死んでないし、すぐ連れ戻すから。謝るのはその後でいい」



 そう言いながら空気の剣でイモータルウルフを絶命させーーーようとして、経験値が自分に来ることを思い出して発動をやめ、代わりに空気のハンマーで意識を奪う。


 それから次すべきことを考える。




 まあ、こういう時自分がすることはもう決まっている。



【空間探知】の範囲には見知った影が映っていた。

 魔力を軽く集め、今度はしっかりと場所を指定してから術式を発動する


「【空間転移】」



 一瞬空間が歪む。


 直後、遥香が転移し、僕に向かって石球が5つ飛んできた。



イモータルウルフの不死性は不死鳥が不死身なのと同じ感じです。

それから、遥香の【創造】は、熾星終晶刀の製作者である天野竜聖の持っていた、スキルの【創造】の下位互換です。

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