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星使いの勇者  作者: 星宮 燦
第二章 幻帝戴天
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2ー32 素材

新キャラ登場まであと12話!!

「えっと、今日はこれから何をするんですか?」


「ん〜素材を交換して……そのくらいだな。お金ないから」


「交換はさっきの受付か?」


「多分な」




 そんな感じで戻ってきた受付。



「魔物の素材の交換をお願いします」


「えっと、さっきエメラルド級になられた方達ですね。かしこまりました。では、素材を机に並べてください」


 さっきの人とは違う、これまた綺麗な受付嬢の指示に従って、腰にある皮製のマジックバックから次々と素材を机に並べる。


 ……やっぱり受付の女の人って綺麗な人で揃えてるよね、絶対。それともこの世界の女性の顔面偏差値の平均がそもそも高いのかな?



 今まで見た異世界の女性は王侯貴族と美人統一疑惑のある受付嬢くらいなので比較も考察もクソもないのだが。




 ***




 今回交換するのはこれだけ。

 ・エラティディアの素材と回復系アイテムを除くすべてボスの、ドロップアイテム全部

 ・エラティディア(黒龍)の鱗、爪、牙

 ・迷宮とこの街までの道のりで会った雑多の魔物の素材

 ・倒した魔物の魔石の大半



 文章にすると大した量ではないが、形にすると大したものである。

 エラティディアの鱗とか爪とかって一個で僕らの掌くらいのサイズあるもん。




 ここで魔物の素材とドロップアイテムについて説明しよう。


 まず、すべての魔物には魔力がある。

 例外なく、魔法を使わない下級のゴブリンも、だ。


 魔物は例外なく魔力を持っていて、例えるなら第二の血液みたいなもんだ。

 当然血液も持っているが。



 魔物が死ぬと魔力が体の一箇所に集まり、魔石が生成される。

 魔石の質は死亡時の魔力残量によって左右され、多くの魔力を残した状態で死ぬと良質な魔石が残る。


 一応、魔石には魔力を込め直すこともできるし、普通に魔力を貯めたり魔術具を使ったりするときに魔力を注ぐ分には問題ないが、本人の魔力と魔力を込め直した他者の魔力がどうしても混ざるので魔力の質が落ち、魔術具作成などの繊細な作業には大きな影響となる。



 よって本人の魔力が多く残っている魔石は良質とされ、高値で取引される。




 魔石の大きさは魔物の体のサイズによって異なる。

 大きもので掌サイズ、小さいものだと小指サイズ。


 今回のエラティディアみたいな黒龍は竜種の中では上の下の位置にいるので本来なら結構な額で買い取ってもらえる。



 本来ならば。




 しかし、この黒龍は人口変異種であり、人の手によって人体実験ならぬ、龍体実験が行われており、すでに他者の魔力が混ざってしまっている。

 よって今回は低額交換となってしまう。



 まあ、サイズが大きいのでそれなりの額にはなるんだけど。






 続いてドロップアイテムについて。



 魔物を倒すとドロップアイテムを落とす。

 これが冒険者の貴重な収入源になるのだが、実はこれだけではない。



 死んだ魔物は体内のどこかーー大体は心臓に魔石を作る。

 魔石ができた魔物は時間経過に伴って徐々に迷宮に吸収されるのだが、吸収されるまでは体から自由に素材を回収できる。


 ただ、貴重な素材を持つ魔物の素材は基本的に大きいので高レベルの魔物討伐にはアイテムボックス持ちを連れて行ったり、マジックバックを持っていく必要がある。




 ただ、アイテムボックス持ちというのは一種の才能である。



 稀に、全く勉強してないのに高学力の天才がいるように、

 生まれつき、最高の美貌を持つ者がいるように、



 アイテムボックスというのは才能がすべての代物である。


 レベルの上昇に伴い、誰もが使えるようになるスキルとは違う、生まれたときに使えなければ例え天地がひっくり返っても、いきなり超能力が使えるようになるような奇跡が起こったとしても、一生使えないものである。


 だからアイテムボックス持ちは冒険の中でもランクを問わず、かなり優遇される。




 それから、マジックバックは素材が貴重なのでなかなか手に入らない。

 僕たち勇者は国からプレゼントされたから持っているが、普通なら一個で大銀貨数枚かかるレベルで高価な代物。

 ちなみに大銀貨は一枚で10万円程度。


 しかも、マジックバックの平均サイズでそれだから恐ろしい。


 バックのサイズによっては小さな家が買える。



 だからドロップアイテム以外の素材は貴重で高価だがなかなか手に入らない。


 多くの冒険者は持って帰ったとしても手に持って帰れるレベルの量しか持って帰らない。



 だから今回のエラティディアセットはかなりの値がつくはずだ。




 ***




「申し訳ございません。量が多いのとそれぞれの素材が高価なため、一度に報酬を渡せそうにありません。お支払いできる分だけお支払いしますので残りはまた後日、お金を揃えてからお渡しします。本当に申し訳ございません」




 暫くして他の職員から連絡を受けていた受付嬢がこちらに戻ってきてそう告げた。


 ……まあ、そうなると思ったよ。



 今、僕らの前の机には素材の山がこんもりと出来上がっており、どこからかやってきたおそらくアルバイトの少年数名が必死に素材の数と金額の計算に勤しんでいる。

 今や机は四つに増えており、所狭しと素材が並んでいる。


「大丈夫ですよ。僕らもここで待つのはめんどくs……大変なので」


「では皆さんが滞在されている宿の名前を記入してください。お金が集まれば連絡いたしますので。あ、一応聞きますけど、滞在日数は大丈夫ですか?」


「大丈夫です。ここから離れる予定はありませんので。もし離れることになったらまた伝えます」


「ありがとうございます」



 こうして僕らの冒険者ギルドのイベントは幕を下ろした。

 ところで受付嬢さん、お金の計算が面倒なのはわかるけど、もうちょっとポーカーフェイス頑張って。


 受付嬢は笑顔でキレていた。




 初めてのギルドイベントは大量の素材数えとお金関連の面倒ごとを全て押し付けられた受付嬢の笑顔の怒りで幕を下ろした。



アイテムボックスは才能です。

スキルと違って努力ではどうにもなりません。

そのためスキルより珍しいです。

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