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星使いの勇者  作者: 星宮 燦
第二章 幻帝戴天
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2ー26 現れし怪物

<門前の兵士、ジャード視点>






 中堅の商人の商隊のステータス確認が全て終わり、ゆっくりと数台の馬車が門を潜る。



 ここは第三都市、フレーデンの門前。

 俺、ことジャードはここで門番の仕事をしている。


 ここの街は国境が目前の第三都市ということもあって人の出入りが激しい。

 だからこそそんな大都市に不届きものを侵入されないために一生懸命、入街者に目を光らせている。




 今は昼前で、1番人の出入りが激しい時間帯だ。

 人数が増えるんだから、必然的に怪しい人物も増えてくる。



 つい先程も商隊が来て、ステータスのチェックをしたところだ。

 元の目つきが悪いのと兵士という職業柄、わざと顰め面してるのが相まって、いつもイライラしていると思われているらしいが、別にそんな短気なわけではない。


 断じて、無い。


 もう一度言う。


 断じて、短気では無いっ!!





 別に気は短く無いのだが、仕事は門に来た人のステータス確認をするだけなので大抵は暇だ。


 一応、門番の役目は街に犯罪者を入れないことと犯罪歴のあるやつを暫くの間監視する事だが、逃走中の奴らはおろか、犯罪歴のある奴も滅多に来ない。



 どうせこっそり入ろうとしても入り口でバレるのだ。

 こんな街に潜伏しようとする奴なんていない。



 いるとしたらよっぽどバカなヤツくらいだ。



 まあ、バカが脱獄やら脱走やらできるわけないのでこんな仕事、あって無いようなものだ。




 故に、



 暇。



……商隊の後ろには……チッ、まだいるのか。しかも子供(ガキ)3人かよ。美人な女、しかもまだ小せえ子供の女2人も連れてるとか、なんてガキだ。……1人寄越(よこ)せよ。




 例え相手がガキだとしても手を抜けないのがこの仕事。


 確認しなくても良いとは思うが、それがバレて減給されるのは御免(ごめん)だ。


「ステータスを見せろ」



 普段の2割増しくらいに無愛想な顔を作ってイライラを全面に出した最低級の態度で、来た客を出迎える。



「「「ステータス」」」


 3人の前に青みがかった半透明の板が現れ、そこに数値が刻まれている。



「え〜とぉ?」



 ボードを見るために回り込みながら更に舐め腐った態度を更に全面に押し出す。






 それから、名前の欄に浮かぶ漢字(知らない文字)とその下に映し出されているスキルを見て。



 ん?と思った。

 あれ?と思った。


 そして(ちまた)で噂になっている勇者の話と、勇者のステータスボードにのみ書かれている難解な文字についての話が頭の奥底から引っ張り出されてくる。


 動揺しながらも何とか一緒に働いているボレルを振り返り、

 

同じように狼狽えて入り同僚の姿が視界に映った。


それを見て、まさかと思った。





 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 《ステータス》

【梶原 優人】


 種族 真獣種


 LV834


 HP:17823

 MP:74718

 攻撃:14990

 防御:16212

 体力:22519

 速度:11983

 知力:177

 精神:16937

 幸運:81



 スキル…進化【宙】



 補助スキル

 格上耐性

 領域構築補助

 自己治癒強化




 称号

 星神の加護 狂戦士 不屈の精神 反逆者 復讐者 殲滅魔法の使い手 世界の作り手 ボスをボコボコ

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 《ステータス》

【綾井 純恋】


 種族 原獣種


 LV367


 HP:3257

 MP:5472

 攻撃:1933

 防御:2971

 体力:2946

 速度:2758

 知力:211

 精神:3970

 幸運:13



 スキル……浄化



 補助スキル

 攻撃耐性



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 《ステータス》

【綾井 遥香】


 種族 原獣種


 LV362


 HP:3283

 MP:6881

 攻撃:1927

 防御:2130

 体力:2845

 速度:1997

 知力:190

 精神:1773

 幸運:低すぎるため測定不能



 スキル……魔力探知



 補助スキル

 創造

 魔力超速再生

 スキル範囲強化

 隠蔽




 称号

 クソガキ



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 何だ?真獣種のLV800オーバーって?



 何だ?魔力量7万越えって?



 何だ?スキル『進化』って?



 何だ?あの称号の数は?





 考えれば考えるほど頭が疑問符で埋め尽くされる。


 あのステータスのこと以外考えられない。



 この年で真獣種LV800になる奴なんて聞いたことがない。



 スキルって何だ?そんな物を持つのは異天児と勇者とかいう奴らだけなんじゃ……


 信じられん。

 こんな子供が勇者!?



 本当に信じられん。


 でも実際に目の前でそれが起きてしまっている。



 どう言うことだ……



 そこで思考の邪魔をされる。

 横を見ると焦ったような表情を浮かべ、額に汗をびっしりと並べたボレルが必死に目で俺に何かを訴えかけている。



 ……はっ!そうだ、仕事!



 コイツ……いや、この人はヤバい。

 もし本当に勇者なら領主様に報告しなければ。



「あの……?」


 あの子供の声がした。


 

とりあえず謝罪だ。

さっきの舐めた態度の謝罪だ。


 謝るしかない。


「「申し訳ありませんでしたぁ!!」」



「え?いや、え?」


 謝罪に対して返ってきたのは困惑。


 もしかしたら許してもらえるかもしれない。


 そんな期待が心に浮かぶ。


「勇者様だったとは知らず尊大な態度をとり、本当に申し訳ありませんでした!!すぐに領主様の城にお連れしますっ!!!」




 エルリア王国で勇者召喚が行われたことは聞いている。

 そして、その勇者がロルニタ帝国に負けて何人も殺されたことも。


 その生き残りがこの子供か。

 


「え?あ、あぁ………わかりました……」


 勇者様は今も困惑を浮かべている。

 ホントに大丈夫か?


 いや、困惑してると言うことは俺らのことを罰しようとは考えてないってこと。


 何とかなるかもしれん。



 ああ、アルカナよ。

 どうか俺たちに罰がありませんように

この門番たちは勇者を一体なんだと思っているのか。


次話は領主との対面です。

明日と明後日の投稿で貴族社会について軽く情報公開します。

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