2ー15 素材集め
2時間の間に魔力も体力も回復したようで(どう考えても【浄化】による補正だが)術式も問題なく使えた。
「【空間転移】」
ドラゴンを移動させると2人から歓声が上がる。
「へ〜すごいですね。やっぱり城から出た時には変わってたんですか?あの時私たちに使ったのもこれですよね?とっても便利ですね!羨ましいです。やっぱり梶原君はすごいですね」
「そっちのスキルが便利なのも認めないことはない。まあ姉さんには劣るけど」
「お前はちょっと黙れ」
今まで褒められることがあまり無かった僕は純恋の言葉は嬉しかった。
自分の努力を認めてくれる人が存在することがありがたかった。
「鱗はできるだけ取っておいてくれ。機械の部分が多いから肉はほとんどないけど食べ物はあるからそこまで気にしなくてもいい。あ、歯も貰っとこう。2人は鱗お願い」
1時間近くかけて素材になりそうな部分を取ってから、実験動物として機械を付けられて束縛された生活を送っていたであろうエラティディアに3人で軽く手を合わせた。
死体は迷宮が回収してくれる。僕たちはもらった素材を大切にすることにする。
しんみりした雰囲気はこれで終わり!
ここからはドロップアイテムの鑑定タイム!
「今回は3つだな。ガチャガチャと2枚の鱗か。鱗あげようか?素材集め手伝ってもらったし」
「いえ、いいですよ。素材集めしかしてないですし。これって梶原君が死にそうになりながらゲットしたものでしょう?梶原君が使ってください」
「姉さんの言うとおりだ。梶原が取ったんだからお前が使えばいい」
なんていい奴らなんだ!
言っていることは正しいが、彼女らが口を揃えてそう言うのは優人にこれからの旅で守ってもらいたいからである。
何もいらないから守って欲しい、とかいうことを2人とも考えていた。
「それならいいんだけど……まあいっか。鑑定」
まずは鱗。召喚から数週間、何度も使ったこの魔術具に魔力を込める。
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黒龍の鱗
黒龍が使ったインフェルノの最高主力時の魔力が込められている。
魔力を吸収することでスキル【インフェルノ】が使えるようになるかも。
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インフェルノ
炎をレーザーとして照射する。
出力は時間経過と共に増加して、最大出力値は決まっていない。
攻撃中、対象の材質が変わると出力はリセットされる。
魔力消費量は時間経過で増加する。
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「あれだな。うまく使えば体力バカでも瞬殺できるやつ。防御力高くても待てば勝てるからなあ」
「それにしても、梶原君ってこんなに深いところにいたんですね」
「ああ、僕は迷宮の真ん中あたりに転移したんだけど、2人はどこに飛んだんだ?転移させた時、時間なくてランダムの場所にワープさせたからみんながどこに居るかわかんないんだよ」
「私達はこの洞窟の真上ですよ?遥香が入り口を見つけて、昨日初めてボスを倒したところです」
「え?じゃあどうやってここまで来たんだ?」
そう言ってから頭上の外まで貫通した光線の跡を見つける。
ああなるほどね。
察したわ。
「そう言うことです。歩いてたらいきなり前の方で爆音がして先を急いでみればボスの部屋が無くなってて真っ赤な炎が噴き出ていたんですよ?それはもう驚きました。遥香が勇者っぽい魔力があると言うので戦いが終わって静かになってから恐る恐る降りてきてみれば梶原くんが倒れていたんですよ」
マジ感謝。
「ありがとう」
「お礼はさっき聞いたのでもういいですよ。………困った時はお互い様です」
恥ずかしそうに、そして困ったようにそう言う彼女の顔はとても……なんというか、ぽやっとしていた。
「え、え〜とっ……そう!ガチャガチャね」
微妙な空気を変えるために強引に話を転換する。
「鑑定」
いや、多分ガチャガチャの中身を鑑定すべきなんだろうけど、やっぱ気になるじゃん?異世界のガチャガチャって。
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いろんな物が入ってるセットが出てくるガチャガチャ
ダンジョンの最下層のクリア報酬。
使うとマジックバックに入っているものがもらえる。
ガチャガチャは壊せない。
クリアおめでとー*・゜゜・*:.。..。.:*・'(*゜▽゜*)'・*:.。. .。.:*・゜゜・*
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ツッコミどころ満載のガチャガチャってことね。
なんだよ『いろんな物が入ってるセットが出てくるガチャガチャ』って。
ネーミングセンス壊滅的じゃん。
マジックバックは素直に嬉しい。
街とかじゃほとんど手に入らないらしいからね。
冒険者とかになるにしても、大量の物資を運ぶ手段が有るのと無いのとでは効率が段違いだ。
「これ……破壊不能って書いてあるけど【宙の共鳴】とか【インフェルノ】なら壊せるんじゃ………いや中身も一緒に消し飛ぶな」
ついつい悪いことを考えてしまう優人であった。