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星使いの勇者  作者: 星宮 燦
第三章 星と悪童
199/247

3ー87 協力要請

 1週間後の休日。


 今日はロゼフィーネとかいう異天児の子と会う日だ。

 憂鬱だが約束した以上キャンセルはしにくい。


「いいじゃないですか。優人くんを尊敬する子、悪い子なわけありません」


「どういう根拠だよ……」


「女の勘です。よく当たるんですよ」


 当たる時にしか勘が働かないってことね。


 今日の服は先週来たものと同じ、白のシャツに金の装飾入り青のローブ。

 ちゃんと黒以外の服もあるのだ。


 ちなみに隣を歩く純恋の衣装は簡素なドレスっぽい服装。


 着るのがめんどくさいらしいが、威厳のためにとアルメフィアに懇願されたらしい。

 貴族は大変である。


 寮を出ると転移棟に着く。

 その入り口にロゼフィーネはいた。


「あ、優人様。お久しぶりです」


「お待たせしました。彼女が婚約者の純恋です。同席してもいいですよね?」


「も、もちろんですっ!あっ、ここで話すのはどうかと思うので、いいお店があるのでそこで話しましょう」




 徒歩10分のところにあった喫茶店みたいな店に3人で入った。


 最近よく見る魔法製の硬質な建物と違い、ギシギシと小さく聞こえるこの店は落ち着く。

 日本にいた時はそうはならなかっただろうが、魔法製は傷や汚れがなさすぎて逆に落ち着かないのだ。



 席について適当な飲み物を頼む。

 僕は紅茶で、ロゼフィーネと純恋はコーヒーだ。


 なぜ紅茶かって?

 コーヒーが飲めないからだ。

 僕を尊敬する人の前でジュースは格好がつかないから、そこそこ好きな紅茶チョイスである。


「それで、相談ってなんだ?」


 ここに来る道中、ロゼフィーネに普段の口調で話すように頼まれたので、敬語は外した。

 まあ、僕だってこっちのほうが楽だし、正直助かっている。


「あの、わたくしは異天児なのです」


「この前言ってたな」


「私も優人くんから聞きました」


 それを聞くと、できるだけ口外しないで欲しいと念押しした上で、


「わたくしには兄がいて、兄を立てるように言われて育ったのです。入学試験でも兄以下の点数を取るように言われましたし、日々の成績も基本的に家名をギリギリ汚さない程度に低いです」


 だから僕が知らなかったのか。

 入学試験の上位10人くらいは覚えたが、その中にないのも頷ける。


「ですが、優人様のお姿を見て感動いたしました。上級生に仕組まれた不利な試合をものともせず平然と勝ち、普段の授業では全て完璧にこなし、優秀で、その上婚約者の方をこれほどまでに大切にされる優人様を尊敬し、目標にしたいと思いました」


「優人くん、婚約者って言われましたよ!婚約者!やっぱり他の方から見てもお似合いなんですね、私たち」


「それには同意だけど、先にとりあえず話聞こっか。……それで、本題はなんだ?感謝を伝えるためだけに会ったわけじゃないだろ?」


 まあ、予想はつく。

 大方何かの協力要請だろう。


「わたくしはこれ以上手を抜きたいと思いません。ですが、それを兄が許しません。ですので、兄の説得の協力……せめて助言だけでもいただきたいと思い、この場を設けました」


 ……本気だな。声の上擦りがなくなった。それだけ本気ということなんだろうな。


 が、助けるメリットはない。


「無償ですか?」


 申し訳ないが、簡単に手を出すわけにはいかない。


「優人くん、助けてもいいんじゃないですか?」


 思った通り、純恋が尋ねる。


「いや、貴族の問題は家が絡むと面倒なことになる。勇者で王の庇護を受けているとは言っても、僕らは男爵だ。ヴァイスターク王国のためにも、利のない問題は避けたいし、国際問題なんて抱えない方がいいと思う」


 そう言うと、純恋は納得したように頷いた。

 続いて、ロゼフィーネが尋ねる。


「……優人様は何を望みますか?」


 ……動揺しないな。想定通りだったか。


 手を挙げて待ってほしいという意を伝えて純恋と考える。


「これからのことを考えると、僕はロゼフィーネのスキルを見ておきたい。純恋は?」


「私は特にありませんね。……強いて言うならお金でしょうか」


 ……ちょっと要求が小さい気がするから……ちょっと多めにお金を要求しようか。


「ロゼフィーネ、要求はスキルを僕らに見せることと、お金だ。具体的な額は大銀貨2枚」


 つまり20万円くらい。

 貴族であるロゼフィーネが1人で払えそうな額で、断られないと思われる額だ。


 多いように見えるかもしれないが、地球で例えるならただの一般ピーポーが政府の命令で国際問題を解決するようなものだ。

 20万なんて安すぎるくらいだ。


「分かりました。では早速ご助言をいただきたいです」


 この日の出会いが、いずれ一つの国を救うことになることはまだ誰も知らないことだった。


優人の衣装イメージはルフレの服です。

ちなみにロゼフィーネ、第三章が残り30話くらいですが、ほぼ登場しません。

彼女のメインは第五章ですね。共闘させようにもまだまだ弱くて共闘にならないので強くなって再登場します。

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