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星使いの勇者  作者: 星宮 燦
第三章 星と悪童
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3ー84 お茶会当日

星ください!

 3日後、ルーンゼイト神聖国主催のお茶会の日になった。



 ここで現在のヴァイスターク王家の在校生について話しておくと、この学園にはアルメフィアともう1人、王子オルテノートも在学している。


 普通、国を跨いだお茶会で招かれるのは最優先で王子。

 第一王子が最優先で招待され、次いで第一王女。

 その後は年齢順で呼ばれる。


 結果、第一王子は女性だけのお茶会などの特別な場合を除いてほぼ全てのお茶会に出席することになる。

 当然辞退もできるが、辞退のしすぎは心象を悪くする。

 結果、ほとんどに参加せざるを得なくなる。



 しかし、オルテノートという男は今までほとんどのお茶会を辞退してきた猛者である。

 例によって例の如く、今回も不参加を決め込んだ。

 ルーナによると、軽い体調不良だそうだ。

 お茶会の日に毎回都合よく体調不良になるのがオルテノートの隠れた力である。


 まあ、建前だろう。

 お茶会のたびに崩す体調はもはや体調不良の範疇に収まるものではない。

 しかもここは異世界である。

 普通に体調不良は魔法で治る。


「妹に全部任せて逃げる兄って何なんですか?」


 ルーナが怒りの声をあげる。


「いいんですよ。本当に大事な時は参加されますし、困った時には頼りにできますから」


 本人がいいと言うならこれ以上言うつもりはないが、どうやらめんどくさがりの父親の遺伝子が多めに含まれているようだ。

 メフィア、苦労するだろうなあ。


 自分に迷惑がかからない限り、他人事である。




 ***




「では参りますよ」


 アルメフィアを先頭に、寮を出て、中央棟をまっすぐ突っ切る。


 今僕らがいるのは転移棟。

 寮の扉は転移陣で、扉をくぐると転移棟に移動している。

 そして、目的地のお茶会室がある教員棟は中央棟を挟んで転移棟のほぼ対面に位置する。


 最近になってようやく施設の位置関係を把握できた。


 五角形の頂点を取るように五つの大きな棟があり、それらに守られるように、渡り廊下で接続された中央棟が構えている。

 そして、寮は五つの棟取り囲むように、等間隔に建てられている。




 中央棟を突っ切るとすぐに渡り廊下があり、そこを抜けるとお茶会室に着く。

 お茶会室はいくつもあるが、今回使われるのは最も大きい部屋だ。


 少し遠い、大きい部屋まで歩く。




 入り口には2人の側仕えらしき少女がいた。


「ヴァイスターク王国のアルメフィア様のご一団ですね」


 そう言うと、扉を開けて僕らの到着を中へ知らせる。


 それを待って、アルメフィアから入室する。




 お茶会の時、席は基本的に自由だ。

 しかし、例外もある。

 それが今日である。


 誰もが納得するような明確な順位がないため、大して親しくない者同士でお茶会をすると、席次で問題が起きる。

 誰もが自国が一番と思っているため全員上座に座ろうとする。


 結果、円形の机が作られた。

 それ以降、仲がいいわけではない者同士のお茶会では円机を使うことが通例となっている。



 しかし、まだ座らない。

 円卓を横切って、アルメフィアが向かう先にいるのは1人の男。

 今回の主催国ルーンゼイト神聖国の王子であるレクルクス・フォン・ルーンゼイトだ。


「お初にお目にかかります。ヴァイスターク王国王女、アルメフィアです。以後、お見知り置きを」


 アルメフィアの挨拶に合わせて僕らも礼をする。

 椅子に座った男は横柄に頷くと、口を開いた。


「よくおいでくださいました。オルテノート様から返事が一向に来ないので心配しておりましたが、杞憂だったようです」


 形式的な挨拶を終えると、さっさと立って席に向かう。


 その時。


「オルティゴウスはミディエラティオルに大変嫌われておられます。闇の象徴たるアルメフィア様と後ろの護衛にオルドヌングの祝福が与えられる日が来るといいのですが」


 ……ふむ。……つまり……なんだ?オルティゴウスが闇の神でミディエラティオルが光の女神だったな。それで、オルドヌングが……なんだっけ?秩序の神だっけ?



「心配には及びませんわ。ミディエラティオルの加護はなくとも、ホーネイアは微笑むでしょう。貴方こそ、オルティオウスを軽んじてはコルエリイェンは御手を見せないでしょう」


 ……ふむ……なるほど?


 梶原優人は思考を放棄した。

 故に、ダメージゼロだぜぇ!!である。


 ちなみにレクルクスが言ったことを完結にまとめると『お前らみたいな光の女神にとことん嫌われたやつが平和に生きれる日が来ればいいな。まあ来ないと思うけど』だ。

 藍色という、闇属性が強いのが一目瞭然な髪色のため、嫌味を言うのに都合が良かったのである。


 そして、それに対するアルメフィアの返答(こたえ)が『光の女神の加護がなくても平和は訪れるよ。っていうか貴方には関係ないよね?他人(ひと)の心配の前に自分の心配しなよ』である。


 互いに喧嘩腰。

 バチバチと火花が散っているが、これが貴族のお茶会である。


 親睦を深めるというのはあくまで建前。

 その中身は貶し合いをはじめとした嫌味の応酬である。



 席に着くと、待機していた側仕えが近づいてきて、


「すぐにお茶会が始まりますので、護衛の方のうちお一人は別室に移動してください」


 と言った。


「私が残るので優人くんは少し休んでてください」


 するとすぐさま純恋が僕に休みように言う。

 大事にされてる感じがして嬉しかった。



 話しかけてきた側仕えの人に連れられて、僕は1人で別室に移動した。


 事件の1時間前の出来事である。


星ください!ついでにブクマも。あ、感想も歓迎します!

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