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星使いの勇者  作者: 星宮 燦
第三章 星と悪童
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3ー83 いつか、隣に

 お茶会を3日後に控えた今日の授業は、属性魔法を最低一つ行使すること。


 属性魔法とは光、闇、火、水、氷、雷、風、土の8つの属性ごとの魔法だ。


 じゃあ何が属性魔法じゃないんだというと、たとえば武器変形の魔法。

 たとえば契約魔法。

 たとえば身体強化。


 とはいえ無属性はこの程度で大半は属性魔法である。


 それで僕がなんの属性を扱えるのかと言うと、何と何と全部である。

 召喚直後に悲惨な目に遭って、なんだかんだ誰かに圧勝という経験が少ないせいで忘れがちだが、梶原優人はちゃんとしたチート野郎なのである。

 チート能力系主人公にしては敗北と辛勝が多すぎる気もするが、これでもラノベ定番ド直球のチーター勇者様なのだ。


 主神の加護を持つのは闇と氷。

 ただ、その二つが一番強いと言うだけで、他も上級神の加護を得てたりする。


 水の女神の第一神の癒しの女神アイゼンハイネ。

 火の神の第二神の再生の神ヒューレリノウル。

 風の女神の第三神の空間の女神ティアスティマ。

 雷の女神の第一神の秩序の神オルドヌング。


 土と光は持ってないが、ラツィエルの眷属となったことで光属性を与えられた。


 そして星の神アゼプシュトリウ。


 この神様は他の神と存在位置が少し異なる。

 光の女神の第四神でありながら闇の神の第四神でもある。

 そしてさらに、光と闇以外の主神を束ねる立場にある。


 昨日図書室で読んだばかりの内容で、たまたま目に飛び込んできただけの話なので詳しいことは覚えてないが、星の神は変わった立場にいるらしい。



 話を戻すと、星の神は光と闇以外の全ての神の上に立つ存在だ。

 つまり、星の神の加護ひとつで、全ての種類の属性が扱えるのだ。


 もちろん、星の神の加護では主神ほどの力は使えない。

 立場が上で、力も上というだけで、別に火や水は専門ではない。

 せいぜい第六位らしい。


 例えるならアレだ



 とにかく、メチャクチャな上位ではないが、力は使える。

 よって、僕は全属性だ。



 だから今回の授業で選択肢は多い。

 強いのはやはり闇と氷だが、別にどれを使ってもいい。



「優人は何をするんですか?やはり、闇と氷ですか?難しい顔をしてましたけど、何か困ることでもあったんですか?」


 アルメフィアにわかる僕の属性は髪色になっている二つだけ。

 別に困る要素が見つからない今悩んでいた僕が不思議なんだろう。

 まさかのまさか、選択肢が多すぎて困っているとは思うまい。


「まあ、ちょっと。ですがもう決まりましたよ」


 戦闘において、属性魔法を使う機会はなかなか無いだろう。

 使うとしたら、牽制だろうか。


 闇魔法は大規模なものが多いのだが、それでも【星】を越えられない。


 ()()()()



「全員訓練場へ移動だ!今すぐ来い!」


 アジュール先生の号令で生徒が一斉に移動を始める。

 僕もアルメフィアを純恋と挟む形で移動を始めた。


「時間内に何をしても良い。魔法を放つためなら基本的に全てを許す!」


 そう言っているが、これで訓練場ぶっ壊したらどうするつもりなのだろうか。

 そんなことを考えつつとりあえず魔力放出。


「エクティスム」


 そして発動。


 右手から黒いモヤが出て、小さい何かが吐き出された。


 ……あれ?失敗?


 入学前、サディークに魔法の呪文はほとんど習った。

 だから発動手順に誤りはないはず。


 闇属性は魔力消費が多めだが、僕の魔力で放てないということはないはず。


 ……なんでだ?


「優人くんの失敗は珍しいですね。いつもなんでも完璧にするのに」


 ……それは贔屓目が過ぎる。


 とはいえ失敗は本当に珍しい。

 そして失敗の原因がわからないのはもっと珍しい。


「エクティスム」


 モヤが出て終わった。

 そしてまたもや何かが吐き出される。

 どう言うことだ?


 ますますわからなくなった。


「……優人様?退魔のエクティスムは付与魔法ですよ?」


 ……なるほど。理解した。


 忘れていたのか、説明自体を受けてないのか。

 気になるところだが今はいい。


「【十字衝(サザンクロス)】エクティスム」


 金色の十字剣が黒に染まる。


 うん、できたな。

 失敗理由は単純に付与対象がなかったせいか。

 バカだな僕。



「何か発動された者から前に出て見せるように」


 んじゃ、速攻終わらせよう。

 そう思って前に出る。


「できました。確認してください」


「……何ですか?この剣は」


「付与するものがこれしかなかったのでこれに付与したんですが、何か不味かったでしょうか?」


 でも仕方ないと思うんだけどなあ。

 文句言うなら適当な武器とか置いといてくれや。

 こうも理不尽に怒られるのは気に食わ……


「スタッドはどうされたのですか!何のために先に武器変形を教えたのか理解されてますか!?」


 ……あ。


 優人、やらかしを理解する。


 ふむ、とりま全言撤回しよっか。


 前言じゃなくて全言ね。

 ここポイント。


「まあいいです。付与自体はできているようですので今回は合格としますが、次からは魔法を使うように」


 いきなり知らない剣が出てきて驚いたらしい。

 盛大なため息をつきつつ、文句を言われた。

 申し訳ない。



 さて。


 純恋たちの元へ帰るととりあえずスタッドで大鎌を生み出す。

 今更だが何で剣にしなかったんだろ。

 バカなことしたなあ。



「シュヴァルツ」


 付与するつもりで鎌に向かって魔法を放つ。


 そしたら鎌の変形が解けて杖に戻った。


 ……何で?


「優人様、シュヴァルツは魔力吸収の魔法です。魔力でできた武器に使えば変形が解けるのは当然です」


 ……なるほど。


「優人くん……何だか今日はポンコツですね」


 いっつもポンコツ気味の純恋には言われたくない。

 これでも魔法自体は成功なんだからな。


「そう言う純恋は何の魔法やってんだ?」


「やっぱり優人くんにできないことをしたいなと思い、回復系を極めようと思います」


 つまり水と光属性か。

 純恋の属性に合ってるからいいんじゃないかと思う。

 スキルもピッタリな感じのスキルだし、ちょうどいいんじゃね?


 そう思ったのだが、次の一言を聞いて優人は少し何を言うべきか迷ってしまう。


「もし私が回復役につけたら、優人くんの負担が減ります。そうすれば私も優人くんの役にたてます」


 だけど、心に僅かな心配が浮かんでしまう。

 モヤっとした形の定まらない曖昧な思いだった。


「そんな気負わなくていいよ?純恋が近くにいるだけで僕は結構助かってるから」


 そう言ってやる。

 役に立とうと必死にならなくてもいい。

 僕にとっては純恋の存在自体が大切で、助けだから。


「違いますよ」


 しかし、純恋は否定する。


「私は優人くんの隣に立ちたいんです。恋人であると共に、戦いの相棒として隣に立ちたいんです」


 守られるだけの女ではありません、と胸を張る。



 その眩しい努力に微笑が漏れる。


「そう簡単に追いつけると思うなよ?僕だってずっと成長し続けてる」


「それでも、ですよ。いつか認めさせて見せますから」


「楽しみだなあ」



 少し離れたところからアルメフィアが仲睦まじい光景に微笑んでいた。


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