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星使いの勇者  作者: 星宮 燦
第二章 幻帝戴天
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2ー4 反省と準備

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 決意した。


 直後、今までで1番の強敵に襲われる。

 その名も睡魔。


 本当に眠かった。


「そう言えばまだ寝てなかったな」


 そうなのだ。襲撃で城を追われた後、ぶっ続けで洞窟で魔物と戦い、ボスも一体倒した。


「よくあんな無茶したな」


 戦闘中に睡魔が来ていたら間違いなく死んでいた。


「次からはちゃんと準備しないとな」


 そう呟いている間にも睡魔の腕は脳を侵していき、意識が遠のいていく。


「……でも……いまはいいか……」


 その言葉を最後に僕はボス部屋に倒れ込むと、泥のように静かに眠った。













 うめき声が聞こえる。

 まるでゾンビのような不気味な言葉にもならない声。

 視線を上げると腹にぽっかりと空虚な穴があいた、人間だった者の姿があった。

 肉が腐って酷い匂いを放っている。

 肌はカビが生えたかのように緑に変色しており、臓物が体から飛び出していて地面を引き摺られている。


『お前が死ねばよかったのに』


 死体に服を掴まれる。

 振り払って逃げたいのに体が全く動かない。

 抵抗すら許されず、強い力で地面に押し倒される。


『お前が何で死んでないんだ』


『まだ死にたくなかった』


『やりたいこともあったのに』


『お前が……』


『お前が……』


『お前が……』


 死体に死体が重なり、僕の上にのしかかる。

 みんな体を傷だらけにしており、みんなの赤黒い血が僕を染め上げる。

 知ってる顔がいくつもある。

 クラスメイト、王国の兵士、国王様、そしてジェラルドの顔もある。

 みんな罵詈雑言を浴びて心が壊れそうになる。


 決意はした。

 だからもう大丈夫だと思っていたらしい。


 でも決意ができるのと過去と決別できることは違う。


 少なくとも僕は、まだ過去を捨てきれてなかった。



「あ、あ、ぁぁぁあああああああああああああああ!!」


 耐えられなかった。

 無我夢中でみんなを押し退け逃げ出す。

 物語の勇者なら亡霊を一喝して自分の目的をしっかりと胸に刻むのだろうが、僕は普通の高校生だ。

 亡者を前に情けなく背を見せて逃げ出した。


 しかし、すぐに恐怖で足がもつれてすぐに転んで地面に体を打ちつけ……









「うわぁぁぁあああああああ!」


 跳ねるようにして、物理的に飛び起きる。


 そして、夢を思い出して苦笑する。


「はあぁ……そうじゃないだろ」


 決意したにもかかわらずあの出来事が忘れられない自分に嫌気がさすと共に、その感情を封じられる自分に少し安心した。


「これから償うんだ」


 自分を勇気づけるように呟く。


 朧げに記憶に残っている夢を思い出したが、まだ決別できそうになかった。


「これからだな。……とりあえず」


 仕方ないと割り切って空間探知の目で通路を逆戻りし、外を見ようとして気づく。


「目を飛ばすんじゃなくて外の空間に目をつければいいじゃん」


 そこまで気付いてため息を吐く。


「はあ、今になって自分の発想力のなさに気付くとはな」


 これが前からできればボス部屋の中に何がいるのかも事前に知れる。

 ズルのような気がしないでもないが。




 洞窟外の空間に『目』を付けて外の景色と太陽の位置を確認する。

 ちなみに、この世界の太陽の動きは地球と同じだ。地球の知識はそのまま使える。

 太陽が真上にあるということは、今は昼で半日ほど眠っていたのか?


 優人はこう考えたが、違う。

 実際のところは1日半眠っていた。


 よって、今は洞窟に来て3日目の昼である。

 よほど疲労が溜まっていたようで、一度も起きることなく死んだように眠っていた。

 まあ、今はどうでもいいことだが。



「これからの計画だけど、まず力をつけないとな。……そう言えばステータスどうなったんだろ」


 そう言えば随分前から見てなかった。


「ステータス」


 呪文と同時に半透明の板がその場に現れる。






 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 《ステータス》

【梶原 優人】


 種族 真獣種


 LV54


 HP:14086

 MP:40994

 攻撃:8378

 防御:9832

 体力:12594

 速度:7324

 知力:166

 精神:11729

 幸運:61



 スキル……進化【宙】



 補助スキル

 格上耐性



 称号

 星神の加護 狂戦士 不屈の精神 反逆者 復讐者

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 格上耐性


 自分より遥かに格上の者と戦った者に与えられる。

 格上との戦闘中、全ステータス10%上昇。

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 反逆者


 国を追われた者に与えられる

 帝国軍との戦闘中、全ステータス5%低下

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 復讐者


 復讐を誓う者に与えられる。

 帝国軍との戦闘中、全ステータス10%増加

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「反逆者に復讐者か……皮肉だな…」


 自分たちを殺そうとした者たちへ復讐をしろと言わんばかりにそれ専用の異能が与えられている。

 帝国は自分たちを殺しにくる死神を自分たちで生み出したわけだ。


 これを皮肉と言わないで何と言う。



 帝国を敵とする国は多い。

 どこか国が決まれば情報も上がりやすくなるし、帝国を滅ぼす役にたつ何かが集まる可能性もある。

 ここを出たら近くの国に行ってみよう。


「ステータスは案外上がらなかったな。真獣種になったからか?」


 正直、あんな出鱈目な敵と戦ったんだからLV100とか200とか軽く超えてるんじゃないかと楽観的に考えていた。


「よくよく考えたら、勇者の大半が幻獣種止まりなんだからこのぐらい遅くて当然か?」


 むしろ早い方だろう。

 召喚後、僅か二週間で真獣種になる者は今までの歴史を振り返っても20人程度しかいない。


「まあいいか。ボスはまだ10体以上いるんだし。」


 今、彼がいるのは第22階層。つまり22体目のボスを倒したところだ。

 つまり21体のボスはワープで飛んだわけだ。


 だが、そもそも残りのボスは10体どころではない。

 優人は知らないが、ここは階層数50階層のそれなりに大きい迷宮である。

 ボスはまだ20体以上残っている。


 だからまあ、周到な準備が必要なわけで。


「もうしばらくこのあたりに止まるかな……」


 そう言う他なかった。


スキル自体は大きく強化されましたが、まだまだ使いこなせてません。

ここからいろんな技が登場していきます。

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