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星使いの勇者  作者: 星宮 燦
第三章 星と悪童
176/247

3ー64 試す者、試される者

 紗夜は負けた。


 本日一番の理不尽によって。


 敵の能力は【透過】。

 蓮斗のスキルと同一のスキルである。



 紗夜のスキル、【絶対領域】は結界内に閉じ込めた対象に命令を下す。

 だが、結界を透過して素通りできるこの敵は()()()()()()()()()()()()()()


 結果、スキルが一切効かないのである。


 ステータス値がもそれなりにあるとは言え、ここは一年……というより生まれた世界の差が出た。

 幼少期からレベルアップに勤しんでいた異天児に勝つことは、やはり容易ではなかった。



「さあ優人くん。勝ったら約束通りキスが待ってるので頑張ってくださいね!私の弔い合戦です!」


 死んではないのだが。


「大丈夫。勝ってくる」


 彼女の手前、カッコ悪いところは見せたくない。

 申し訳ないが、対戦相手のお前を噛ませ犬にしてやろう。




「さあ、自称最強の交流試合です!それでは初めっ!」


「【新星(ノヴァ)】」


 挨拶代わりの一撃。


 それを男はハエでも払うかのように軽くはたいた。


 途端に向きを変えてあらぬ方向へ飛んでいく豪火球。

 観客席を守る結界にぶつかって消滅した。


「私の能力は【スラッガー】。あらゆるものを吹き飛ばす能力だ」


「?」


 能力開示に僅かに狼狽えるも、気を取り直して両の眼をしっかりと開き、鑑定の魔眼を起動する。



 ……確かに厄介だな。


 それにしてもよくも見つけたものだ。

 遠距離攻撃の多い僕にはぴったりだ。



 まあいいや。


「僕の能力は「もう知っている」あ、そう」


 やっぱり事前に知ってたな。

 これは事前に学園に伝えた能力は全部伝わってるって考えた方がいいな。


 気色の悪いことをする。

 普通に戦えばいいものを。




「まあ……」



 ()()()()()()()()()()



 質問だ。

 遠距離を弾き返す奴をどう殺す?


 弾き返せない量を放つ、か。

 まあ悪くない。

 確かにそれも手の一つだろう。



 だが、



 遠距離が無理なら近距離で仕留めればいいという話。




「【十字衝(サザンクロス)】」


 右手に生まれ落ちる星の結晶。

 その力の集合体。



 そしてーー


「お前もしっかり味わうんだな」



 ーー展開ーー



「【離界天墻(ヴァガネミューノ)】」



 絶対っていう理不尽をよ。



 フレーデンの神殿で取得して以来一度も使ったことのない補助スキル。

『絶対』という効果が補助スキルであるにも関わらず発動するため、スキルと補助スキルの相違点は魔力消費量と継続時間となっている。

 しかし、星神の加護と【進化】の抱き合わせによる恩恵で、優人は他の同レベルの数倍の魔力量を有している。

 この程度の消費、枷にはならない。




 その効果は一切の術式効果の無効化。

 紛うことなき理不尽の権化。


 時間という制限はあれど、この敵を倒すに不足はしない。


「貴様は自分が何を言っているかわかっているのか?」


 男が心底わからないというふうに問いかける。



 ああ、まだ分からないのか。



「一言で言うと、僕の方が強いって話。さっさと来いよ、先輩」


「舐めた口を……!!」


 そしてダメ押しの一言。





「言っとくけど、試されてるのはそっちだから」





 僕はお前を試す側。

 血反吐吐いて頑張るのはお前のほうだ。




「それじゃあ……始めようか」


 血祭りを。

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