表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
星使いの勇者  作者: 星宮 燦
第三章 星と悪童
167/247

3ー55 ダークホースがいっぱいです

第三章、書き終えた!!エピローグまで書いて作者は激動の第四章にレッツゴーです!

 アルメフィアに面会することなく迎えた学園の受験。

 それが行われるのは各国の城だ。


 大講堂に集められた200人近くの貴族の子女たち。

 彼らの表情は暗い。


 学園ーー正式名称はミズガルズ貴族学園。

 そこに受かるのは簡単なことではなく、貴族になるための最初で、おそらく最後の難関だ。

 ここを卒業することで正式に貴族として認められ、爵位を親から受け継ぐことができる。


 そして、一族で誰も合格者が出なかった場合、お家の取り潰しもあり得るため、一族総出で受験者を支援する年一回の最も緊張する行事である。

 子が1人しかいない家は気が気ではない。

 たった1人に家の命運が握られているのだから。


 ちなみに本当に落ちた時は親は養子を取る。

 そして養子に家を継いでもらうのだ。


 落ちた者に貴族としての価値はない。



 とはいえ、どの親にとっても自分の子に家を継いでもらいたいのが本音だ。

 だから一家全員で支援する。


 ーー()のために。





 試験は各国で行われるのだが、試験官として各国から文官が派遣される。

 不正防止は重要だ。


 ……まあ、スキル持ちはスキルで公認の不正に(いそ)しむんだけど。


 僕はしない。


 やっぱり不正は良くないからね。

 僕は自力で解いてみせる。


「暗記の段階で不正があるじゃんか」


「覚えんの速すぎんだよ」


 純恋、何か言ってやれ。


「大丈夫です。不正をした優人くんに教えてもらった私も同罪です」


 そうだな、そうじゃないけどそういうことにしておこう。

 別に純恋はスキルの恩恵受けてないんだけど。


 それに、


「試験中にしなかったら不正じゃねぇ」


 いいんだよ、試験前のバレない不正は。


「それただの屁理屈」


 紗夜、どうせお前も領域開いて自分の点数書き換えるんだろ?



 試験直前にも関わらず、僕ら勇者の空気は全体的に柔らかいものだった。




 ***




 試験結果は何と、試験終了5分後にはもう発表される。

 ラフィカノー公国から来た試験官が持っている魔術具に7ヶ国全ての生徒の試験結果が映し出され、ランキングで発表される。

 そしてその魔術具の画面らしき場所を拡大の魔術具が壁に映し出す仕組みだ。


 何と公開処刑である。

 最下位まで余さず載せてある。

 名前だけでなく家名まで載せてある。


 低得点者への配慮というものは欠片(かけら)も存在しなかった。






 試験前と同じように5人で結果表を眺めているわけだが、暗い顔の者は誰もいない。

 他のクラスメイトを見ても問題はなさそうだった。


 まあ、勉強時間のなさをカバーできる規模のスキルが使えるんだから当然か。

 勉強にあまり関係のないスキルのやつも合格圏内には入っていた。



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

<ミズガルズ貴族学園筆記試験結果>

 1位 300 小見山 紗夜

 1位 300 宮守 加那

 3位 296 アルメフィア・ユノ・ヴァイスターク

 4位 293 オルガ・テトラ・ノエイデン

 5位 281 梶原 優人

 5位 281 村上 直哉

 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 51位 244 綾井 遥香

 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 128位 189 九重 蒼弥

 129位 185 綾井 純恋

 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 主人となる予定のアルメフィアはなんと不正を散々した勇者を実力で抜いてトップ3位についていた。

 聞いたことないが、どうやら優秀なようだ。




 だが今はそんなことよりも。


「おい蒼弥」


「ん?何だ?成績がどうかしたか?」


「なに焦ってんだよ。ん?」


「焦ってないけど?」


 口調がぎこちない。

 緊張がバレバレだ。


「お前、みんなの点数落としたろ?」


 僕は知ってるぞ?

 遥香も多分、知ってるぞ?


「なあ親友、どうせバレねえって思っただろ?なあ」


「くっ……思ったさ。思ったに決まってんだろ……!バレるわけねえって思うじゃんか!!」


 さほど悔しいと思ってなさそうな顔で地団駄を踏む親友。

 その様子を見て、なぜ分かったのかと純恋が不思議そうに聞いてくる。


「下を見るんだ、純恋」


 スッと純恋の視線が下に移動する。


「笑えるだろ?マイナスついてんぞ」


 0点はいない。

 しかし、まさかのマイナスポイント。

 流石にこれは予想外だったろう。


 冷や汗ダラダラ垂らす気持ちもよく分かる。



「僕に不正って言っておきながらなに全員不正してんだよ!」


 僕の言いたいことはその一言に尽きる。



 紗夜は点数改竄の命令を下した。


 宮守加那は奇跡を無理矢理起こした。


 村上直哉はおそらく、中身だけ変身とかいう無駄に高度なことして僕の脳をコピーした。

 高得点が分かりきってる紗夜に変身しなかったのは女子の思考を勝手に写し取るのに申し訳なさを感じたからだろう。


 僕は事前に不正。


 蒼弥は自分を上げずにみんなを下げるという暴挙。

 どうせ絶対の命令は覆せずに、奇跡は【堕天】の暴挙込みで奇跡を起こして落とせなかったんだろ?


 まじふざけんな。


 蒼弥(おまえ)がスキル使わなかったら純恋が勝ってたぞ。

 それからアルメフィアも同列1位だったぞ。



 それから遥香は……


 遥香は……なにやったんだ?


「私真面目に受けたんだけど」


「嘘だろ」


「嘘じゃないし」


 まさか幸運値が覚醒をーー!


「だから自力でこれなんだって。山張ったところが全部当たったんだよ」



 まさかのまさかで遥香が51位。

 姉だけが妹を信じている。

 他はみんな不正を疑っている。


「そんなバカな……あんな幸運値で山が当たるとか……」


「やっぱステータスなんて信じるもんじゃないってこと」


「いいんだぞ?本当のこと言っても。誰も責めないから」


「だーかーらー、実力って言ってんだろ!」


 とどのつまり、不正仲間がもっと欲しいのだ。



「ま、実技で僕が一位取って逆転だな」

「俺詠唱するから俺が勝つな」


 ……ん?待てよ。

 あの2人の能力なら試験結果がどうであれ、結果のみを書き換えるから……負けても勝つ、みたいな?



 紗夜と宮守、突然のダークホース化。


「私、補助スキルのおかげで【インフェルノ】絶対当たるから」


 まさかのもう1人ダークホース。


【インフェルノ】には【モノリス】を壊された苦い記憶がある。

 オリジナルには劣るからもしかしたら耐えられるかもしれないが、油断できない。


 そして、魔力を連鎖させるという補助スキルの存在。

 近くの対象に魔力を自動で連鎖させる仕組みのせいで【宙の箱庭】を使っても防げない。



 実技になっても波乱はまだまだ終わりそうになかった。


堕天の効果は弱い人ほどよく働きます。そのためアルメフィアは4点ダウン程度ですが、下の方は100点以上マイナスされている人もいます。

裏話ですが、遥香の山が当たったのは、宮守加那の技術不足によって彼女のスキル範囲に偶然遥香が入ってしまったからです。奇跡の力で遥香は山が当たりました。あの幸運値で山を張ろうとする遥香もどうかと思いますが、一応遥香目線では実力です。

それから4位のオルガ、彼女はアルメフィアと同じく純粋な実力でこの点数です。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ