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星使いの勇者  作者: 星宮 燦
第三章 星と悪童
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3ー53 忠実なる僕

今日からまた優人視点です。

時間は結構飛びます。

 迷宮到着から1週間後。

 移動と休養日をを含めると2週間後。


 僕らは久しぶりに王都ゼトロノームに帰ってきていた。


 今回の迷宮攻略で到達したのは34階層まで。

 最高記録が64とか67層とかだったはずだから、たった2週間の滞在の成果としては十分なものだろう。


 自分の中でも成果に満足している。



 実際のところ、今回の迷宮探索ではレベルアップはさほどしなかった。


 聞いたところによると、ディアーナ周辺には幾つもの迷宮があり、今回僕らが行ったのは初心者用の迷宮。

 60階層を過ぎても幻獣種は現れないらしい。

 だから僕のレベルは1レベルも上がらなかったし、全てのボスを倒した純恋でさえ2レベル程度しか上がってなかった。




 しかし1週間が徒労に終わるのかと嘆いて迎えた休養日。

 申し訳なさでも感じたのか、ロキエラがもう1段階上の迷宮に連れて行ってくれた。


 ディアーナの周りには迷宮がいくつもあるとはいえ、その殆どが僕らが行った簡単な迷宮と同レベル。

 1段階上ではあるが、その下には5個の迷宮がある。


 さらに言えば、この上にある迷宮は一つだけ。

 1階層から幻獣種の超ハードな迷宮だけだ。




 現在分かっているところで15階層から幻獣種の層が始まる。


 そんな迷宮を天獣種の補助ありで10階層まで潜った。


 10階層の亀のようなボスのレベルは真獣種LV893。

 純恋が真獣種LV999のレベルカンストだから純恋が気を抜けば、どっちが勝ってもおかしくない試合だ。



 まあ、()()()()()()()の話だが。



 僕らの目的は真獣種を倒すことではないため、2人で一緒にさっさと倒す。

 どちらにとっても格下であるために驚くほどの経験値はもらえなかったが、久しぶりに【空間固定】を使って攻撃は全て純恋がやったため、殆どの経験値は純恋がゲットできた。


 結果、純恋はここの迷宮で合計3レベル上がり、この日満を辞して幻獣種に至った。



 その日は軽いお祝いをした。

 言ってしまえば部屋で2人でデザートを食べただけなのだが、喜んでくれたようでよかった。




 まあそれは置いておいて、迷宮に潜った目的のメインはやはり、【空間転移】で飛ぶポイントとして10階層のセーフルームを指定することだ。



 普通の冒険者の場合、深層に潜る時は数週間分の衣食、できればテントを持って行く。

 荷物担当の要員を準備することもあるほどだ。


 しかし、転移で移動できるとなると衣食住の用意は最低限でいい。

 最悪なくても困らない。


 無条件ではないにしても、距離をほとんど無視した移動が出来ることの利点はあまりにも大きかった。




 とまぁそんな感じで帰ってきましたよ、と。


 そんな感じで1週間前くらいに馬車で城に帰り、その後すぐにアルトムートが帰ってきて、ついさっきレイラとかいうアルトムートがお持ち帰りした異天児が到着したところだ。


「よくぞ戻った。ロキエラ、そして勇者たち」


 そう言うやいなや即座にマントを翻して階段を上がって行った。

 ロキエラに連れられて僕らも続く。





 行き着いた先は大会議室。

 アルトムートが上座につき、その後ろに何だか強そうな人とロキエラが立ち、そこから数人の貴族が並んで、そのさらに下座に勇者が座った。


 今日は学園に行かない勇者たちも集めて話すことがあるらしい。

 全員の着席が済むと同時に、会議が始まった。




 ***




 内容はアルトムートが話し合ってきたという、勇者の扱いについてだった。


 結果は帝国勇者を6ヶ国で分配。

 僕らはヴァイスターク王国でこのままの暮らしを続けることとなった。


 奏がエルリア王国の勇者ではなくロルニタ帝国の勇者だということは他の国々は知らないので、アルトムートが出原奏はエルリア勇者であるという前提で話をつけてきたらしい。


 やる時はちゃんとやってきたようだ。


 その他のことは特に気にすることはなく、他の国に行きたくなったら行けばいいということと、子供が生まれたとして、その子供をどこの国籍にするかは自由だということを伝えられた。


 まあ、大して関係のないことだ。

 まだ子供をもつことは考えてないし。


 それから、エルリア王国の生き残りはいい感じにルーンゼイト神聖国に与えられ、新たな民となった。

 ロルニタ帝国民は貴族は奴隷化、市民はヴァイスターク王国民化という流れになった。


 どちらがいいとかは甲乙つけ難い。

 ルーンゼイト神聖国は叛逆を起こしていない平和な国を手に入れたが、文化や身分の面で面倒が残っており、ヴァイスターク王国はごく一部を除き、ほとんどの貴族が処刑されたために手に入れた土地の管理者が足りないという問題に直面した。

 その極端な話に、他に分け方はなかったのか!と言いたくなるが、国を二分して報酬にすれば面倒がさらに増えるらしい。


 どちらがいいとかでは無いが、とりあえず僕らはその事情を知っておけばいいらしい。


 全員を集めた割にはあっさりした内容だったと思っていたら、最後に騎士団長を紹介された。


「ヴァイス・トレス・ユースティア。アルトムート様の忠実なる(しもべ)であり、この国に命を捧げる者だ」


 ジェラルドの時もそうだったが、何で騎士団長という生き物は変な挨拶をする奴ばっかりなんだろう。


『トレス』は侯爵を表す言葉だ。

 つまりヴァイスは侯爵。


 それなのに身分が低いって意味の(しもべ)って……


 ……う〜ん侯爵それなら僕らの立場どうなるんだろ。奴隷とか?



「ヴァイスはロキエラと同じく異天児だ。生まれながらにスキルを持っているわけだからな、其方らよりも強いぞ?訓練の時に会うことがあれば戦ってみるといい。良い経験になるであろう」


「アルトムート様、ヴァイス様のスキルは何でしょうか」


 普段ならアルトムートもヴァイスもさん付けにしただろうがこの場には他の貴族も並んでいる。

 男爵という立場上、ヴァイスにも様付けで尋ねる。


 ちなみに、なぜヴァイスに直接聞かないのかというと、公的な場で許可なく王を差し置いてその部下に話しかけることはマナー違反になるからだ。

 迷宮に行く前にサディークから習った。



 アルトムートが振り返って軽く頷き、それにヴァイスが頷き返す。


 そしてようやく口を開いたのはヴァイス。


「私のスキルは【鎖】。鎖を操るスキルだ」


 簡潔にそう返された。


【空間固定】は格下にのみ通用する拘束スキルです。

サブスキルが【星】になったせいでちょっとだけ条件が厳しくなり、大体50レベル以上の差、もしくは獣種の差がなければ格下とは見なされないようになりました。

【宙】だった時は1レベルでも違えば勝ち確だったのに。




補助をした時の経験値の分配ですが、ほとんど公平に分けられます。

止めを刺した人に多めに行き渡りますが、不公平と叫ぶほどの差は本来ありません。


今回経験値の大半が純恋にいったのは、防御力の高い魔獣を速攻でインフェルノでこんがり焼いたからです。

単純に優人の貢献度が低かったというだけのお話です。

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