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星使いの勇者  作者: 星宮 燦
第三章 星と悪童
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3ー40 神の証明

神様の掘り下げ回です。

 空間転移で移動した先は、久しぶりに戻ってきた洞窟。






 ーーのはずだった。



「太陽が見える……」


 そこには太陽があった。

 洞窟なのに。

 それも地下最下層の筈なのに。


 太陽が生み落とされ、光源となったことで地下の聖域は光に満ちていた。



 前見た、薄暗いながらも煌めく湖面とマッチして、神々しさを醸し出していたあの時とは違う。

 そこにいるのは変わらず1人。

 それなのに、地下の大聖域には活気とも言える何かがあった。




「久しぶり、ラツィエル」


「ええ、案外早かったですわね」



 その聖域にて、僕らは再会した。



「随分と大きく拡張したな。5倍は大きくなっただろ」


「ええ。魔力は有り余っているのですけど、することがないものですから。(わたくし)のような神は人間と気軽に接するわけにもまいりませんし」


 祠、と以前は呼んだ彼女の家は既に宮殿と呼べるような代物に成長していた。


 作り物の太陽と紛い物の水に草木さえ育て上げられ、まるでそちの世界のようだった。


 力があるのはいいけど、暇だからとかいう適当な理由でこんな人間離れしたことはやめて欲しい。


 ……まあ、そもそも人間じゃなくて神なんだけどさ。




 ***




 ラツィエルに付いて歩くと、森の中にひっそりと建てられた休憩所のような場所に辿り着く。


 白一色のガゼボ。

 照らす木漏れ日。

 小川のせせらぎ。

 土を踏みしめる音。


 そこは生き物こそいないが、『平和』というか言葉をそっくりそのまま形にしたような別世界に見えた。




「これがエデンの園か……」


「この程度をエデンの園と思われては困ります」


 最大限の賛辞のつもりでエデンの園を出したのだが、即刻却下されてしまった。


 ……ん?この世界の神って地球(こっちの世界)の神話とか知ってるのか?


 僅かに浮かび上がった疑問を思考を読めるラツィエルが即座に拾う。


「知っていますよ。と言いますか、あれを作ったのは(わたくし)です」


「……えっ!?どっ、どういうことだ?」


 ということは、地球の神話の神とこの世界の神は同じということになる。

 ラツィエルが地球の神に協力したという線もあるにはあるが、地球とこの世界の神ーーいや、もっと限定的に言うと、創世記に登場する神、たしかキリスト教かユダヤ教の神はこの世界の神と同一である可能性が極めて高いということになる。


「私の知識の中には神族は我々だけです。それから、質問を質問で返してしまうことになりますが、何故神話は正しいと思ったのですか?」


「……へ?」


「神の存在というものは、これ以上ない悪魔の証明です。神はいそう。でも誰も(わたくし)たちを見つけられないし、(わたくし)たちの存在を証明できない。地球ではそうです」


「そ、れは……」


「なぜ貴方は(わたくし)を神と信じたのですか?貴方は私を神だと証明することは出来ませんでした。……いえ、私が神だということは間違いのない事実ですが、貴方は悪魔と神を区別できないでしょう?(わたくし)が神の名を(かた)った悪魔であった可能性もありました」


「そ……う、ですね」



 返す言葉もない。

 あの時の彼女の姿は確かに美しかった。

 だが、それは所詮、見た目の判断。

 何の証明にもなりはしない。



 もしかすると、あの時僕らが助けたのは悪魔だったこともあり得た。


「冷酷になれとは言いません。既にかなりの苦しみを背負ったことがあるようですしね。……ですが、用心深くなりなさい。相手が何であっても油断はしないように。でなければ、いつか大切な何かを失う羽目になりますよ」


 我儘を言う子供を宥めるようにラツィエルは言葉を紡いだ。


 ……冷酷にならず、用心深く、か。でなければいつか大切な何かを……



 真っ先に純恋の顔が浮かんだ。


 たった1人の。

 世界でただ1人の心から愛せる人。


 守りたい。

 何があっても。


 苦しい思いなんてさせたくない。

 絶対に。



「ふむ、あの少女が好きなのですね。ならばもう一つ。彼女にとっては貴方も同じような存在です。ですから、彼女を庇って貴方が死ぬこともないように気をつけなさい。以前見た様子では、あの少女は自己犠牲の考えが強いようですから」



 知ってる。

 だから僕は彼女をはじめポンコツと言った。


「以前救ってくれた者です。(わたくし)も彼女を気に入っていますから、貴方が死ぬことも含めて、彼女が悲しむことがないようにしなさいね」


「はい」



 ***




「さて、話を戻しましょう」


 ラツィエルが指を鳴らすと、ガゼボの中央に置かれてあった豪奢な卓にティーセットが現れる。

 いそいそと席についた彼女は僕を手招きして椅子に座るように指で示す。

 そして僕が席につくと同時に、2人の前にカップが移動して紅茶が勝手に注がれる。


「何でもありですね。魔法ですか?」


 以前から神の扱う能力は何なのか気になっていたことだ。

 神もスキルを使うのかと思っていたのだが、スキルにしては万能すぎる。


「スキルでも魔法でもなく、神能です」


「神能?」


「ではまず、貴方は神を何だと思っていますか?」


 もったいぶらずに教えてくれたらいいのに。


「神……は、人間の……いや、全ての生命体の超上位存在、ですか?」


「それはそうなんですが、正確には違います」


 そこで少し間を開けて、再び口を開く。


「神はこの世の全てを統べる者。そしてその本質は『概念』です」


「概念……」


 ええ、と軽く頷くと、彼女はティーカップを持って優雅に紅茶を口にした。

 急かしたところでどうにもならないことは知っているので自分も同じように紅茶を口にする。


 ……あ、この味いいな。今までで一番美味しいかも。この茶葉持って帰れるかな?


 紅茶は色も味も匂いも地球のものと同じだった。

 後でラツィエルに聞いたことによると、彼女が地球のものを再現したかららしい。

 ちゃんと小さなところで気配りがなされていたらしい。



「神は概念そのもので、(わたくし)の神能は【神秘を司る者】です」


「その効果は?」


「効果は『()()()()()()()()()()()()()()()()()()』です」



 イカれてる。

 それだけは間違いなかった。




話、全然進んでおりません!!

本題どころか雑談ですら完結していません!!!(主に優人のせいで)



ついで情報:能力説明から分かる通り、神秘の女神ラツィエルは万能な女神です。

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