表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
星使いの勇者  作者: 星宮 燦
第三章 星と悪童
136/247

3ー25 デート当日

「全っ然寝れなかった……寝みい……」


 デート当日にも関わらず呑気に欠伸をかますのは我らが主人公、梶原優人。

 異世界に召喚された勇者の1人で、【進化】のスキルを持つ者である。

【進化】というチートを持っているのにその上からさらに【星】というチートを重ね着した反則クソチート野郎だ。


 しかし、彼の天才的反則能力をもってしても、今日のデート予定を組むことは容易ではなかった。



 そもそも彼は王都についてほとんど知らない。

 彼が1人で予定を組むのならここの情報収集から始めなければならなかった。


 奏に言えば話は早かったのかもしれないが、水素を遥かに超えて電子より軽い口を持つことで評判の奏を利用するということは、勇者中に優人と純恋の結婚発表が飛び交うことを承諾する必要があった。

 だがしかし、それは無理だ。


 もし今みんなに向けて婚約発表をぶちかますと、嫉妬して嫌がらせをしてきた連中が不審死を遂げることになってしまう。

 そんなことは僕は望まない。



 だからこそのこの計画!

 自分1人で考えた至高の結晶。

 その名も『なるがままに流される計画』!


 計画に必要な時間が最短で(中身がない)、なおかつ全ての事象に対応できる(流されるだけ)完璧な計画。



 ちなみに、適当にやってふざけているように見える優人だが、これでも結構真面目なのだ。

 というか、彼女どころかデートどころか女子と話すことさえ殆どない彼の持つ想像力と計画性ではこの程度が限界であった。

 しかも異世界。

 昔なんとなく読んだ恋愛小説は全く歯が立たなかった。


 結果、無い知識を振り回してかっちりした計画を立てるよりかは、流れに身を任せるほうが楽しめるだろうという判断に至った。


 案外的を射ていると思っている。




「さ、着替えるか」


 まあ、こんな時に着れる服なんて黒地に青の刺繍が入った最近よく着るあの衣装しかないのだが。

 もっている服は寝巻きを除くと上下3セットしかないので、その中で一番今日という日に適しているのはこれだろう。

 後は防護魔法のついた訓練用のちょっとボロい服とパーティーとかで着るからといってフェルテに買わされた豪華な服しかない。


 ちなみにその豪華な服、まだ着たことがない。

 パーティー用の服は純恋と遥香も持っているのだが、先日の祝勝パーティーでは僕ら以外全員戦いの時に身につけていたものを着ていたので、僕らだけ正装というわけにもいかなかったのだ。


 ともあれ、機会があれば着てみよう。

 学園のパーティーとかもあるので、どうせその時には着ることになるだろう。



 右手に魔力を込めて泥の壁に穴を開けるような感じで空間に穴を開ける。

小宇宙(コスモス)】の応用で作った亜空間だ。

 そこから本日着用する衣装を引っ張り出す。

 クリーンな状態が保たれているその服を、万が一のことを考えて一通り確認してから着用する。


「うん。ちゃんと似合ってるな」


 この服を買った時は使っていたマジックバックの容量に限りがあったので、アクセサリーの類はあの時買わなかった。

 だからカッターシャツと着てその上からジャケットと言うかなんと言うか、とにかくそのセットになっている上着を着ると今日のコーデは完成だ。

 アクセサリーなんて持って無いけど。



 鏡を見て軽く髪を整えると部屋を出る。


 食堂でいつもの6人のメンバーで話しながらさっさと食事を終えると一旦自室に帰り、その後1人で純恋の部屋に転移する。


 待っている彼女の方もすぐに転移してくるのは分かっていたようで、然程驚くことなく差し出した手を握ってくる。

 それからもう一度転移して今度は王城前に。

 門前にいた兵士が腰を抜かしていたのがちょっと面白かった。



「さ、どうですか?今日の私は。大して……というか全くと言っていいほど道具を持ってないので、ちょっと変かもしれませんけど、無いなりに服装と髪型くらいは頑張りました」


「いつも以上に可愛いよ。流石純恋だ」


 純恋曰く、今日も一切メイクをしてないすっぴん状態だそうだが、この世界の純恋はメイクをしていないので正直なところ違いがわからない。

 また今度メイク有りの顔を見ればはっきり化粧品の差が分かるのだろうが、果たしてこの世界の化粧品はどのレベルか。

 これまでの経験上、あまり期待しない方がいいかもしれない。



 純恋の服装は白のワンピース。

 髪が最近黒からバジル色に変わっているのも踏まえて白を選んだのだろう。

 確か純恋は白以外のワンピースも持っていたはずだから、他にも選択肢はあったはずだ。


 自分の髪色まで考慮して服を選ぶあたり、流石だと思う。

 世の中の男子全員がそうなわけではないと思うが、少なくとも自分にファッションセンスはなかったので感心してしまう。



「優人くんにそう言われるように頑張ったんですよ」


 頬を赤らめながらそう言った自慢の彼女の頭を軽く撫でて、そのまま彼女の指に自分の指を絡ませた。


彼女が欲し〜〜〜い!!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ